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カンボジアの100人当たりの携帯電話の契約数推移

ITU(国際電気通信連合)が発表した最新データによると、カンボジアの人口100人当たりの携帯電話契約数は、1993年の0.047契約から急成長し、2012年に129.2契約、2013年には135.1契約とピークを迎えました。その後は減少傾向を示しており、2022年には116.3契約となっています。このデータは、カンボジアにおける携帯電話普及の進展と、その後の市場成熟や他の技術的要因の影響を反映しています。

年度 100人当たりの携帯電話の契約数
1993年 0.046
1994年 0.096
1995年 0.129
1996年 0.206
1997年 0.293
1998年 0.525
1999年 0.748
2000年 1.077
2001年 1.811
2002年 3.025
2003年 3.897
2004年 6.618
2005年 8.017
2006年 12.774
2007年 18.836
2008年 30.386
2009年 44.278
2010年 56.746
2011年 94.394
2012年 129.205
2013年 135.1
2014年 134.457
2015年 135.239
2016年 127.463
2017年 117.323
2018年 121.166
2019年 132.151
2020年 128.603
2021年 119.958
2022年 116.326

カンボジアの携帯電話の契約数推移を振り返ると、1993年以降、急速な成長を遂げたことがわかります。この上昇は特に2000年代中盤から顕著となり、2004年から2008年にかけての年平均成長率は飛躍的でした。例えば、2004年の契約数が6.6契約だったのに対して、2008年には30.4契約と4.5倍以上に増加しています。この急成長は、携帯電話市場の開放、経済発展、そしてインフラ整備といった複数の要因が重なった結果と考えられます。

さらに、2010年台初頭には100人を超える契約数を記録し、携帯電話の普及がカンボジアで新しい段階に到達したことを示しています。2013年の135.1契約というピーク時点では、携帯電話の普及が成熟市場の域に達した可能性が高いですが、同時に、その後の減少傾向は興味深い現象です。この変化は、人口の増加や再契約の頻度低下、あるいはスマートフォンを含むより高度な通信機器との契約への移行による影響かもしれません。さらに、携帯インターネットやデータ通信など新しいサービスの利用が主流になり、契約内容が多様化してきたことも一因と考えられます。

カンボジアと他国を比較すると、日本の2022年の人口100人当たりの携帯電話契約数は177.3契約に達し、カンボジアを大幅に上回っています。同様に、韓国(142.0契約)やアメリカ(137.0契約)も高い契約数を記録し、先進国での契約数が成熟段階であることがわかります。一方で、カンボジアの契約数の減少が続いていることは、全国的に通信サービスが飽和状態に近づいていることを示唆します。

地域課題を考えると、カンボジアでは都市部と農村部の間における通信インフラの普及率の差が依然残っています。都市部では通信サービスが高度に発展を続ける一方、農村部ではインターネットアクセスや4Gサービスへのアクセスが制限されることが多いです。このギャップは、国内全体で情報格差を生む可能性があり、経済発展のみならず教育や医療へのアクセスに大きな影響を及ぼすことが予想されます。

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響も契約数の減少に関連していると考えられます。感染拡大に伴う経済活動の停滞や所得減少、さらには人々の生活スタイルの変化が市場動向に影響を与えた可能性があります。

今後の課題を解決するためには、政府や通信事業者が協力し、特に農村部での通信インフラへの投資を強化することが重要です。そのためには、国際機関や地域間協力を活用し、持続可能な通信サービスの拡大を図るべきです。また、5Gなどの新世代技術を積極的に導入し、携帯電話契約数の減少を通信技術の高度化という形で吸収できるような政策を進めることも考えられます。

要約すると、カンボジアにおける携帯電話契約数の推移は同国の経済成長と技術進化を反映していますが、現状の課題を克服するためには、持続可能なインフラ整備と地域間の不平等解消が不可欠です。これには、国だけでなく国際社会全体の協力と支援が求められています。