ITU(国際電気通信連合)が発表したデータによると、マルタでは、人口100人当たりの携帯電話の契約数が1991年の0.618から2022年には131.592まで増加しました。この期間において、携帯電話普及の急速な伸びが見られ、特に2000年以降の普及拡大が顕著です。一時的に契約数が停滞する時期もありましたが、2022年には新たな最高値に達しました。
マルタの100人当たりの携帯電話の契約数推移
年度 | 100人当たりの携帯電話の契約数 |
---|---|
1991年 | 0.618 |
1992年 | 0.941 |
1993年 | 1.412 |
1994年 | 1.981 |
1995年 | 2.825 |
1996年 | 3.244 |
1997年 | 4.549 |
1998年 | 5.74 |
1999年 | 9.48 |
2000年 | 28.667 |
2001年 | 59.533 |
2002年 | 68.411 |
2003年 | 71.265 |
2004年 | 74.87 |
2005年 | 78.979 |
2006年 | 84.331 |
2007年 | 89.431 |
2008年 | 93.283 |
2009年 | 101.584 |
2010年 | 108.794 |
2011年 | 123.178 |
2012年 | 123.801 |
2013年 | 127.227 |
2014年 | 122.352 |
2015年 | 114.802 |
2016年 | 125.179 |
2017年 | 126.124 |
2018年 | 125.277 |
2019年 | 125.962 |
2020年 | 122.851 |
2021年 | 123.383 |
2022年 | 131.592 |
携帯電話の契約数は、国の通信インフラの整備状況や技術進歩、市場競争の影響を受ける重要な指標です。マルタの人口100人当たりの携帯電話契約数データを見ると、1991年の約0.6という低い水準から、1990年代後半にかけて緩やかな増加を見せ、その後急激な成長に転じました。この背景には、インフラ整備の推進と、携帯電話技術がアナログからデジタルへ移行したことが挙げられます。特に2000年には28.6と急伸しており、この時期に伸びが加速したのは、市場の活性化や製品の低価格化が進んだためと考えられます。
さらに注目すべき点は、2010年以降の100%を超える契約率です。これは、一人が複数の携帯電話番号を契約する傾向が高まったためで、多くの国でも見られる現象です。このような複数契約の背景には、個人用と業務用の携帯電話の使い分けや、異なる通信会社のサービスを併用することが挙げられます。マルタでも、2011年以降は契約率が安定的に上昇し、2022年には131.592に達しました。
しかしながら、2014年から2015年、また2020年から2021年にかけては一時的に契約数が減少しています。特に2020年には、世界的なパンデミックである新型コロナウイルスの影響が考えられます。この時期、多くの経済活動が停滞し、観光産業が主要な経済基盤であるマルタでは、訪問者数の激減がこれに拍車をかけた可能性が高いです。それでも、2022年のデータでは契約数が再び増加し、過去最高を記録しており、マルタの市場が回復基調にあることが示されています。
他国との比較では、2022年のマルタの契約率131.592は非常に高く、例えば日本(約130台)や韓国の記録に匹敵します。一方、発展途上国やインドのように、契約率がまだ100を大きく下回る地域もあり、こうした地域とのデジタル格差が依然として課題として残ります。マルタのような小国では、人口が少ないことが市場のサービス提供の効率化に寄与していると考えられます。
今後の課題としては、一人あたりの契約率がすでに高水準であるため、さらなる契約数の伸びは限定的である点が挙げられます。その代わり、通信品質の向上や、新しい通信技術(例えば5G、6G)の導入拡大が注目課題となるでしょう。また、観光業依存の経済構造を持つマルタでは、観光客向けの一時的な通信契約といった市場拡大の工夫も求められるかもしれません。
将来を見据えると、政府や通信業界は、通信ネットワークの安定化と先端技術導入に向けた投資を継続する必要があります。さらに、パンデミック時のような外部ショックへの柔軟な対応や、デジタルサービス全般の普及促進のための政策も重要です。マルタはその地勢的特性を活かし、国際的な通信ハブとしての役割を目指すことも可能でしょう。