ITU(国際電気通信連合)が発表したデータによると、コスタリカにおける人口100人あたりの携帯電話の契約数は、1992年の0.09契約から増加を続け、近年では150契約を超える水準に達していることが示されています。特に2000年以降、携帯電話の普及が飛躍的に進み、2013年には148件と急激な伸びを記録しました。ただし、2018年以降は増減を繰り返し、2022年の段階では152.025件となっており、成長の鈍化が見られます。
コスタリカの100人当たりの携帯電話の契約数推移
年度 | 100人当たりの携帯電話の契約数 |
---|---|
1992年 | 0.09 |
1993年 | 0.133 |
1994年 | 0.2 |
1995年 | 0.524 |
1996年 | 1.272 |
1997年 | 1.721 |
1998年 | 2.846 |
1999年 | 3.541 |
2000年 | 5.318 |
2001年 | 8.066 |
2002年 | 12.188 |
2003年 | 18.581 |
2004年 | 21.705 |
2005年 | 25.517 |
2006年 | 32.975 |
2007年 | 33.968 |
2008年 | 41.905 |
2009年 | 42.74 |
2010年 | 67.68 |
2011年 | 88.742 |
2012年 | 113.543 |
2013年 | 148.428 |
2014年 | 144.921 |
2015年 | 153.937 |
2016年 | 168.459 |
2017年 | 177.025 |
2018年 | 168.539 |
2019年 | 143.769 |
2020年 | 146.637 |
2021年 | 152.008 |
2022年 | 152.025 |
コスタリカでの携帯電話の普及についてのデータは、通信技術の進化と市場の成長を物語っています。1992年時点では、100人あたりたったの0.1件という状況でしたが、その後はスマートフォンや通信インフラの発展に伴い、急速に普及が進みました。2000年代初頭には、多くの開発途上国で同様に見られた携帯通信技術の爆発的な広がりを反映しており、特に2010年以降は劇的な契約数の増加が記録されています。2013年の148.428件という数値は、すでに1人が複数の契約を保持している状況を示しており、これは先進国と比較しても高水準にあります。
しかし、2018年以降は、契約数が170件を超えた後、徐々に減少し、2019年に143.769件という明らかな落ち込みが見られています。この背景には、スマートフォンの普及に伴う契約市場の飽和や、通信料金の増加、そして経済的な要因が関与していると考えられます。また、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年以降は、契約数が再び増加傾向にあるものの、2017年の水準を下回ったままの状態が続いています。
コスタリカは人口規模が比較的小さく、通信インフラの整備が他国と比較して進みやすい環境にある国です。そのため、人口100人あたりの契約数が150件を超えるというデータは納得のいく結果です。他国と比較すると、日本の2022年時点での同指標は約128件、アメリカは約120件、韓国は約140件であることから、コスタリカの通信普及率は非常に高いといえます。しかし、中国やインドのような広大な市場では、依然として契約数の伸び代があり、数値がコスタリカより低い場合が多いことがわかります。
コスタリカが通信分野における高い普及率を持つ一方で、いくつかの課題も浮かび上がります。例えば、減少傾向が見られた2018年以降の市場は、契約数の変動から市場の成熟が示唆されており、さらに高度な通信サービスやネット接続を含む付加価値サービスの開発が求められる段階にあります。また、現在の契約数は市場飽和や経済成長との関連性の中で、一時的に増えることもあれば、再び減少に転じる可能性もあります。このため、政策立案者や企業は、単なる契約の拡大ではなく、5Gやキャッシュレス決済システムの更なる利用促進など、デジタル技術を活かした新たな価値創造が必要と言えるでしょう。
加えて、地政学的なリスクや自然災害も無視できません。コスタリカは中米地域に位置し、台風や洪水などの自然災害のリスクが比較的高い国です。こうした災害時には、通信インフラの安定が非常に重要となります。そのため、災害による通信遮断に備えるバックアップシステムや、公共通信の強化が検討課題と言えます。また、地域の安定性や接続性を向上させるため、近隣国との通信協力も大きな役割を果たすでしょう。
これらを踏まえた上で、コスタリカ政府や通信事業者がとるべき対策として、先進的な通信インフラの導入や他国との技術連携の強化が挙げられます。また、デジタルリテラシーの向上を目的とした、人口全体への教育プログラムの展開も重要です。こうした取り組みにより、単なる通信契約数ではなく、社会全体のデジタル活用の質を高めることが今後の鍵となるでしょう。