世界のヤギ飼養頭数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）の1975年のデータによると、ヤギの飼養頭数ランキング1位はインド（7,250万頭）、2位は中国（6,617万頭）、3位はパキスタン（1,997万頭）でした。これらの上位国は、主に農村部の生活においてヤギが重要な役割を果たしている地域に位置しています。一方で、日本はランキング94位（11万800頭）と、遥かに下位の水準に位置しています。このデータは、地域ごとの気候、地理、経済、社会的背景がヤギの飼養にどのように影響を与えているか明確に示しています。

順位	国名	地域	飼養頭数(頭)
1	インド	アジア	72,500,000
2	中国	アジア	66,170,000
3	パキスタン	アジア	19,971,008
4	トルコ	アジア	18,746,000
5	ソマリア	アフリカ	15,292,000
6	イラン（イスラム共和国）	アジア	15,055,882
7	バングラデシュ	アジア	11,000,000
8	メキシコ	南アメリカ	9,067,185
9	ブラジル	南アメリカ	7,101,000
10	ニジェール	アフリカ	6,995,087
11	モロッコ	アフリカ	6,800,000
12	ナイジェリア	アフリカ	6,344,000
13	インドネシア	アジア	6,315,000
14	南アフリカ	アフリカ	5,271,000
15	マリ	アフリカ	5,000,000
16	モンゴル	アジア	4,574,400
17	ギリシャ	ヨーロッパ	4,476,063
18	ネパール	アジア	4,400,000
19	ケニア	アフリカ	4,260,900
20	タンザニア連合共和国	アフリカ	4,161,300
21	アルゼンチン	南アメリカ	4,000,000
22	アフガニスタン	アジア	3,000,000
23	イエメン	アジア	2,889,000
24	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	2,792,550
25	イラク	アジア	2,785,000
26	コンゴ民主共和国	アフリカ	2,583,500
27	ブルキナファソ	アフリカ	2,400,000
28	スペイン	ヨーロッパ	2,392,291
29	モーリタニア	アフリカ	2,330,000
30	チャド	アフリカ	2,325,000
31	アルジェリア	アフリカ	2,269,070
32	ウガンダ	アフリカ	2,168,700
33	フィリピン	アジア	2,025,000
34	ペルー	南アメリカ	2,010,800
35	ジンバブエ	アフリカ	1,953,000
36	ガーナ	アフリカ	1,935,000
37	カメルーン	アフリカ	1,820,000
38	リビア	アフリカ	1,696,847
39	ナミビア	アフリカ	1,400,000
40	アメリカ合衆国	北アメリカ	1,350,000
41	エジプト	アフリカ	1,321,000
42	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	1,304,000
43	マダガスカル	アフリカ	1,246,000
44	サウジアラビア	アジア	1,242,216
45	ハイチ	南アメリカ	1,100,000
46	アンゴラ	アフリカ	1,050,000
47	コートジボワール	アフリカ	980,000
48	フランス	ヨーロッパ	959,000
49	イタリア	ヨーロッパ	958,000
50	レソト	アフリカ	886,400
51	セネガル	アフリカ	844,300
52	チュニジア	アフリカ	840,000
53	シリア・アラブ共和国	アジア	814,017
54	チリ	南アメリカ	800,000
55	ベナン	アフリカ	776,300
56	トーゴ	アフリカ	739,000
57	中央アフリカ共和国	アフリカ	712,000
58	マラウイ	アフリカ	693,374
59	ポルトガル	ヨーロッパ	677,700
60	アルバニア	ヨーロッパ	672,000
61	ブルンジ	アフリカ	655,097
62	ルワンダ	アフリカ	633,001
63	コロンビア	南アメリカ	626,071
64	ボツワナ	アフリカ	600,000
65	スリランカ	アジア	546,651
66	ミャンマー	アジア	542,600
67	ジブチ	アフリカ	510,000
68	ヨルダン	アジア	473,918
69	ルーマニア	ヨーロッパ	442,687
70	モザンビーク	アフリカ	422,293
71	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	400,000
72	ギニア	アフリカ	373,552
73	マレーシア	アジア	358,751
74	ドミニカ共和国	南アメリカ	345,000
75	ジャマイカ	南アメリカ	320,000
76	オマーン	アジア	300,000
77	ブルガリア	ヨーロッパ	299,014
78	ザンビア	アフリカ	272,429
79	エスワティニ	アフリカ	261,370
80	レバノン	アジア	260,000
81	大韓民国	アジア	250,211
82	アラブ首長国連邦	アジア	250,000
83	エクアドル	南アメリカ	229,600
84	キプロス	アジア	200,000
85	東ティモール	アジア	190,000
86	ベトナム	アジア	189,000
87	中国、台湾 中国省	アジア	188,176
88	リベリア	アフリカ	170,000
89	ギニアビサウ	アフリカ	142,000
90	ガンビア	アフリカ	140,000
91	イスラエル	アジア	137,500
92	フィジー	オセアニア	129,000
93	シエラレオネ	アフリカ	121,000
94	日本	アジア	110,800
95	パラグアイ	南アメリカ	107,800
96	ドイツ	ヨーロッパ	102,731
97	コンゴ	アフリカ	92,138
98	キューバ	南アメリカ	90,000
99	クウェート	アジア	85,991
100	コモロ	アフリカ	82,000
101	グアテマラ	南アメリカ	76,000
102	スイス	ヨーロッパ	72,000
103	オーストラリア	オセアニア	70,000
104	ノルウェー	ヨーロッパ	69,463
105	モーリシャス	アフリカ	66,000
106	ガイアナ	南アメリカ	60,000
107	ニュージーランド	オセアニア	60,000
108	グアドループ	南アメリカ	52,500
109	ガボン	アフリカ	52,000
110	カーボベルデ	アフリカ	50,000
111	タイ	アジア	48,230
112	オーストリア	ヨーロッパ	45,590
113	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	43,000
114	カタール	アジア	42,000
115	レユニオン	アフリカ	40,100
116	ラオス人民民主共和国	アジア	32,000
117	オランダ	ヨーロッパ	30,000
118	ホンジュラス	南アメリカ	25,777
119	プエルトリコ	南アメリカ	23,600
120	マルティニーク	南アメリカ	18,000
121	カナダ	北アメリカ	18,000
122	バルバドス	南アメリカ	17,000
123	ブータン	アジア	15,900
124	ハンガリー	ヨーロッパ	15,000
125	バハマ	南アメリカ	13,300
126	バーレーン	アジア	13,200
127	ウルグアイ	南アメリカ	12,000
128	フランス領ポリネシア	オセアニア	11,670
129	エルサルバドル	南アメリカ	11,000
130	マルタ	ヨーロッパ	10,523
131	バヌアツ	オセアニア	10,150
132	ニューカレドニア	オセアニア	10,000
133	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	9,520
134	セントルシア	南アメリカ	8,055
135	赤道ギニア	アフリカ	8,000
136	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	7,000
137	スリナム	南アメリカ	6,100
138	ニカラグア	南アメリカ	6,000
139	パナマ	南アメリカ	5,900
140	トンガ	オセアニア	5,836
141	ドミニカ	南アメリカ	5,350
142	グレナダ	南アメリカ	5,000
143	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	3,350
144	セーシェル	アフリカ	3,000
145	サントメ・プリンシペ	アフリカ	2,800
146	クック諸島	オセアニア	2,300
147	シンガポール	アジア	2,200
148	フィンランド	ヨーロッパ	2,000
149	コスタリカ	南アメリカ	1,300
150	パプアニューギニア	オセアニア	1,250
151	ブルネイ ダルサラーム	アジア	1,000
152	ベリーズ	南アメリカ	900
153	フランス領ギアナ	南アメリカ	830
154	中国、香港特別行政区	アジア	400
155	アイスランド	ヨーロッパ	284
+ すべての国を見る

1975年のヤギの飼養頭数データは、各国が農牧業にどのように依存しているかを理解するための貴重な指標です。このデータは、特に農業国や発展途上国の生活様式や経済活動の一端を鮮明に示しています。ヤギは、肉や乳の生産だけでなく、皮革や繊維、および農村部の小規模な家畜業の経済活動において重要な資産です。また、荒れ地でも飼育が可能で、耐寒性や耐乾性が強いため、多様な気候条件の下でも繁殖が続けられることが特徴です。

インドが7,250万頭で最多であり、中国（6,617万頭）が僅差で続いています。両国は広大な農村地域と多様な気象条件を持つため、ヤギの飼養が特に盛んです。アジア全域での高い飼養数は、肉や乳の消費文化と深い関係があり、栄養源として不可欠な役割を果たしています。一方、3位のパキスタン（1,997万頭）や4位のトルコ（1,874万6,000頭）、そして5位のソマリア（1,529万2,000頭）といった国々も、農牧業が主要産業の一端を担っています。これらの国では、ヤギが家計を支える資源であり、多くの家庭で自給自足的な利用が行われています。

これに対して、日本のヤギ飼養頭数は11万800頭で94位に位置し、ごく少数に留まっています。この数値は、農業が大規模化され、稲作や畜産が中心となる一方で、小規模農牧業が限定的になっていることを反映しています。また、都市部の拡大や土地利用の制約も、ヤギ飼養を制限している一因と考えられます。同様に発展した国であるアメリカ（1,350,000頭、ランキング40位）やドイツ（102,731頭、ランキング96位）、フランス（959,000頭、ランキング48位）でも、ヤギの飼養は比較的少ない水準にとどまっています。

しかしながら、人口増加や食料供給問題という課題が世界的に大きくなる中、ヤギの役割は新たな側面から見直される可能性があります。例えば、乾燥地帯や高地といった農耕が難しい地域では、ヤギは重要な食料源としての価値を一層高めるでしょう。同時に、持続可能で小規模経済活動の柱としての意義も浮上します。

地政学的背景にも注目する必要があります。例えば、ソマリアやニジェールのように農業が経済の基礎を成し、かつ紛争や自然環境の過酷さという挑戦を受けている国々では、ヤギ飼養の安定性が食料安全保障に直結しています。また、中東地域では乾燥地帯が多く、他の動物より負担の少ないヤギの飼育が推奨されています。これらの地域での地政学的リスクや気候変動の影響は、今後の対応を具体的に考えるうえで重要な議論となるでしょう。

以上を踏まえ、未来に向けた具体的な提言として、まず各地域の特性に合わせた家畜資源の最大活用を目指すべきです。国際組織や農業政策団体は、ヤギ飼養に適した地域への技術支援や資金提供を行うとともに、現地特有の知識や技術の継承をサポートすべきです。また、気候変動による作物収量の減少が懸念される地域で、ヤギを含む持続可能な農畜産業への投資が重要となります。そして、ヤギ産品（乳や肉）の加工・付加価値創出を支える市場の形成と地域内外の輸出促進を進めることで、それぞれの国や地域の経済的自立を後押しする形が理想的です。

結論として、1975年の統計は、その時代の経済・社会・環境の状況を色濃く反映しています。現在の世界的な課題に対応するためには、データを基に各国や地域の特性を踏まえた政策設計を行うことが求められます。ヤギという資源が果たす役割はいまだ大きく、その多様性を活用し持続可能な未来を目指すべきでしょう。