世界のヤギ飼養頭数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が発表した1973年度のヤギ飼養頭数データによると、インドが69,000,000頭で世界トップ、中国が61,340,000頭でそれに続きました。上位2国の占める割合は全体の約40％以上を占め、ヤギ飼養がアジア地域で特に盛んであったことが読み取れます。日本は137,000頭で世界90位にランクインしており、上位国との飼養規模には大きな差が見られます。

順位	国名	地域	飼養頭数(頭)
1	インド	アジア	69,000,000
2	中国	アジア	61,340,000
3	トルコ	アジア	18,463,008
4	パキスタン	アジア	16,925,008
5	ソマリア	アフリカ	15,000,000
6	イラン（イスラム共和国）	アジア	14,192,000
7	バングラデシュ	アジア	10,200,000
8	メキシコ	南アメリカ	9,177,000
9	モロッコ	アフリカ	7,500,000
10	インドネシア	アジア	6,665,000
11	ブラジル	南アメリカ	6,394,000
12	ニジェール	アフリカ	5,575,324
13	アルゼンチン	南アメリカ	5,500,000
14	南アフリカ	アフリカ	5,252,000
15	ナイジェリア	アフリカ	4,977,000
16	モンゴル	アジア	4,338,400
17	ネパール	アジア	4,300,000
18	ギリシャ	ヨーロッパ	4,261,315
19	ケニア	アフリカ	4,000,000
20	タンザニア連合共和国	アフリカ	3,996,500
21	マリ	アフリカ	3,800,000
22	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	2,645,030
23	チャド	アフリカ	2,600,000
24	イエメン	アジア	2,526,000
25	モーリタニア	アフリカ	2,500,000
26	イラク	アジア	2,500,000
27	コンゴ民主共和国	アフリカ	2,486,600
28	スペイン	ヨーロッパ	2,463,682
29	アフガニスタン	アジア	2,450,000
30	アルジェリア	アフリカ	2,406,940
31	ブルキナファソ	アフリカ	2,400,000
32	ウガンダ	アフリカ	2,100,800
33	ペルー	南アメリカ	1,988,800
34	ジンバブエ	アフリカ	1,974,000
35	アメリカ合衆国	北アメリカ	1,775,000
36	カメルーン	アフリカ	1,750,000
37	フィリピン	アジア	1,700,000
38	ナミビア	アフリカ	1,400,000
39	ガーナ	アフリカ	1,386,700
40	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	1,289,000
41	エジプト	アフリカ	1,264,000
42	ハイチ	南アメリカ	1,200,000
43	マダガスカル	アフリカ	1,019,775
44	リビア	アフリカ	1,000,000
45	イタリア	ヨーロッパ	950,300
46	アンゴラ	アフリカ	950,000
47	レソト	アフリカ	942,600
48	コートジボワール	アフリカ	924,000
49	セネガル	アフリカ	900,000
50	フランス	ヨーロッパ	898,700
51	チリ	南アメリカ	865,000
52	サウジアラビア	アジア	836,859
53	ベナン	アフリカ	776,350
54	チュニジア	アフリカ	770,000
55	ポルトガル	ヨーロッパ	758,394
56	アルバニア	ヨーロッパ	705,300
57	ボツワナ	アフリカ	682,000
58	中央アフリカ共和国	アフリカ	650,000
59	トーゴ	アフリカ	639,000
60	コロンビア	南アメリカ	637,087
61	ルワンダ	アフリカ	628,301
62	シリア・アラブ共和国	アジア	607,925
63	ブルンジ	アフリカ	589,528
64	ミャンマー	アジア	574,000
65	モザンビーク	アフリカ	568,330
66	マラウイ	アフリカ	565,580
67	スリランカ	アジア	549,347
68	ルーマニア	ヨーロッパ	534,390
69	ヨルダン	アジア	501,700
70	ジブチ	アフリカ	500,000
71	キプロス	アジア	380,000
72	ギニア	アフリカ	364,019
73	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	360,000
74	ドミニカ共和国	南アメリカ	335,000
75	レバノン	アジア	330,043
76	マレーシア	アジア	323,185
77	アラブ首長国連邦	アジア	304,000
78	ブルガリア	ヨーロッパ	301,515
79	ザンビア	アフリカ	300,164
80	ジャマイカ	南アメリカ	300,000
81	エスワティニ	アフリカ	265,092
82	エクアドル	南アメリカ	200,000
83	東ティモール	アジア	197,453
84	大韓民国	アジア	194,105
85	ベトナム	アジア	189,000
86	中国、台湾 中国省	アジア	177,606
87	オマーン	アジア	172,000
88	リベリア	アフリカ	160,000
89	フィジー	オセアニア	138,000
90	日本	アジア	137,000
91	ドイツ	ヨーロッパ	136,329
92	イスラエル	アジア	134,500
93	ギニアビサウ	アフリカ	132,000
94	ガンビア	アフリカ	130,000
95	シエラレオネ	アフリカ	113,000
96	パラグアイ	南アメリカ	100,000
97	ニュージーランド	オセアニア	90,000
98	キューバ	南アメリカ	86,000
99	コモロ	アフリカ	81,000
100	コンゴ	アフリカ	79,000
101	グアテマラ	南アメリカ	77,000
102	クウェート	アジア	76,924
103	ノルウェー	ヨーロッパ	72,370
104	オーストラリア	オセアニア	70,000
105	スイス	ヨーロッパ	69,206
106	モーリシャス	アフリカ	65,000
107	オーストリア	ヨーロッパ	50,734
108	ガボン	アフリカ	50,000
109	ガイアナ	南アメリカ	50,000
110	グアドループ	南アメリカ	46,500
111	カタール	アジア	44,000
112	カーボベルデ	アフリカ	40,000
113	レユニオン	アフリカ	39,800
114	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	39,000
115	ラオス人民民主共和国	アジア	37,000
116	ハンガリー	ヨーロッパ	35,000
117	タイ	アジア	31,000
118	オランダ	ヨーロッパ	25,000
119	ホンジュラス	南アメリカ	22,000
120	プエルトリコ	南アメリカ	21,800
121	マルティニーク	南アメリカ	18,000
122	カナダ	北アメリカ	18,000
123	バルバドス	南アメリカ	18,000
124	バーレーン	アジア	17,000
125	ブータン	アジア	15,700
126	バハマ	南アメリカ	13,600
127	エルサルバドル	南アメリカ	13,000
128	ニューカレドニア	オセアニア	13,000
129	マルタ	ヨーロッパ	12,964
130	ウルグアイ	南アメリカ	12,000
131	フランス領ポリネシア	オセアニア	11,500
132	バヌアツ	オセアニア	9,800
133	セントクリストファー・ネイビス	南アメリカ	9,500
134	セントルシア	南アメリカ	8,055
135	赤道ギニア	アフリカ	7,000
136	グレナダ	南アメリカ	6,700
137	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	6,500
138	ニカラグア	南アメリカ	6,400
139	スリナム	南アメリカ	5,600
140	パナマ	南アメリカ	5,600
141	ドミニカ	南アメリカ	5,250
142	トンガ	オセアニア	4,500
143	セントビンセントおよびグレナディーン諸島	南アメリカ	3,250
144	セーシェル	アフリカ	2,800
145	フィンランド	ヨーロッパ	2,000
146	シンガポール	アジア	2,000
147	サントメ・プリンシペ	アフリカ	1,400
148	ベリーズ	南アメリカ	1,300
149	コスタリカ	南アメリカ	1,300
150	パプアニューギニア	オセアニア	1,250
151	ブルネイ ダルサラーム	アジア	1,000
152	クック諸島	オセアニア	880
153	フランス領ギアナ	南アメリカ	800
154	中国、香港特別行政区	アジア	280
155	アイスランド	ヨーロッパ	228
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1973年のヤギ飼養頭数ランキングにおけるデータは、当時の農業の産業構造、文化的要因、地理的条件など、さまざまな背景を反映しています。上位にランクインしているインドや中国は、広大な農村地域、伝統的な農村社会システム、および多様な環境条件により、古くからヤギの飼養が盛んでした。特にインドでは、ヤギが食肉や乳製品の原料として重要な役割を果たしており、小規模農家にとっては収入源としても活用されています。一方で、2位の中国も地理的多様性があり、異なる地域で多種多様な理由でヤギが飼育されています。これには耐久性のある家畜として、乾燥地帯や山岳地域で特に適合した性質が影響していると考えられます。

また、3位のトルコ以下の国のデータを見ても、中東、南アジア、アフリカ諸国など乾燥地帯や放牧文化が根強い地域が名を連ねています。これらの国々では、ヤギが農村部における食料供給や家計の中心的な存在であり、文化的にも経済的にも重要とされています。たとえば、ソマリアやイランなどでは、ヤギは乳や食肉の供給だけでなく、家畜市場での収益や貧困対策にも寄与しています。

対照的に、先進国であるアメリカは1,775,000頭で35位、ヨーロッパではフランスが898,700頭で50位、ドイツが136,329頭で91位と上位には含まれておらず、主要な産業としてのヤギ飼養の比重は高くありません。同様に、日本も飼養頭数は137,000頭と世界の90位に位置し、規模は限定的です。日本では、伝統的に牛や豚、鶏といった家畜が農業や食卓において主流であり、ヤギの飼養規模は農業全体における一部にとどまっています。

こうした地域間の差異は、地理的条件や各国の食生活の違いに加え、地政学的背景や社会構造によるものです。アフリカ内陸国や中東においてヤギ飼養が盛んな理由の一つは、他の利用価値が限られる土地での生産性の高さにあります。ヤギは乾燥地帯や高温地域でも飼育が可能で、同時に食肉、乳、革など多様な利用方法を提供します。

課題としては、飼養頭数が多い国々における持続可能性の確保が挙げられます。過剰な放牧や森林の過剰利用が、地域の生態系に悪影響を及ぼしているという報告もあります。これらの影響は、地域の砂漠化や土壌侵食を加速させる可能性があり、長期的に見た場合、持続可能な農牧業の推進が課題になります。

対策の一例として、農業従事者に対する教育を強化し、適正な放牧管理方法や飼料改革の導入を推奨することが急務です。また、国際的な協力のもとで、地域間の知識共有や技術移転を促進することが重要です。たとえば、耐乾燥性が強化された飼料の供給やヤギの繁殖管理に関する研究を推進し、より効率的かつ環境負荷の少ない方法で生産性を向上させる取り組みが必要です。

また、地政学的リスクが高く、紛争や不安定な情勢がみられる地域では、ヤギが人々の主な収入源であることから、それらを保護するための国際支援も欠かせません。気候変動や地域衝突がヤギの飼養環境や生産に与える影響を考慮し、適切な防災計画や政策の実施が求められます。

結論として、1973年のデータは、ヤギが地域に応じて異なる役割を果たしていることを示しており、持続可能な飼養のためには地域ごとの特性や課題を把握し、それに対応した政策と技術的な支援が不可欠です。ヤギは単なる家畜ではなく、農村経済の大部分を支え、人々の生活の質を向上させる鍵となる存在です。そのため、長期的なビジョンのもと、人道的支援や環境保全の観点から各国および国際機関の連携がさらに求められるでしょう。