世界の馬飼養数ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関（FAO）が公開した1973年度の馬飼養数ランキングによると、1位は中国（10,341,000頭）、2位はメキシコ（5,976,009頭）、3位はブラジル（5,105,000頭）で、上位3か国で全世界の馬飼養数の約40%を占めています。一方、日本は78,830頭で58位にランクインしており、アジア全体の中でもやや控えめな位置にあります。このデータは、各国の農業、交通、軍事、文化的利用に影響する馬の重要性を明らかにしています。

順位	国名	地域	飼養数(頭)
1	中国	アジア	10,341,000
2	メキシコ	南アメリカ	5,976,009
3	ブラジル	南アメリカ	5,105,000
4	アメリカ合衆国	北アメリカ	4,605,000
5	アルゼンチン	南アメリカ	3,500,000
6	ポーランド	ヨーロッパ	2,373,100
7	モンゴル	アジア	2,239,300
8	コロンビア	南アメリカ	1,331,000
9	トルコ	アジア	962,000
10	インド	アジア	930,000
11	キューバ	南アメリカ	783,600
12	インドネシア	アジア	636,000
13	ペルー	南アメリカ	634,000
14	ルーマニア	ヨーロッパ	631,000
15	チリ	南アメリカ	470,000
16	フランス	ヨーロッパ	446,600
17	オーストラリア	オセアニア	446,000
18	ベネズエラ (ボリバル共和国)	南アメリカ	445,324
19	ウルグアイ	南アメリカ	430,000
20	パキスタン	アジア	402,000
21	ドイツ	ヨーロッパ	377,403
22	アフガニスタン	アジア	370,000
23	ハイチ	南アメリカ	361,200
24	カナダ	北アメリカ	343,000
25	パラグアイ	南アメリカ	325,700
26	モロッコ	アフリカ	320,000
27	イラン（イスラム共和国）	アジア	316,000
28	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	310,000
29	エクアドル	南アメリカ	270,000
30	スペイン	ヨーロッパ	260,657
31	イタリア	ヨーロッパ	257,300
32	ナイジェリア	アフリカ	250,000
33	南アフリカ	アフリカ	232,000
34	ニカラグア	南アメリカ	230,000
35	フィリピン	アジア	220,000
36	ニジェール	アフリカ	207,509
37	セネガル	アフリカ	200,000
38	ギリシャ	ヨーロッパ	193,611
39	ハンガリー	ヨーロッパ	188,000
40	ドミニカ共和国	南アメリカ	178,000
41	ホンジュラス	南アメリカ	163,000
42	チャド	アフリカ	160,000
43	ブルガリア	ヨーロッパ	148,249
44	アルジェリア	アフリカ	144,410
45	イギリス	ヨーロッパ	140,668
46	パナマ	南アメリカ	140,000
47	マリ	アフリカ	120,000
48	グアテマラ	南アメリカ	120,000
49	東ティモール	アジア	119,786
50	ベトナム	アジア	118,000
51	レソト	アフリカ	114,000
52	アイルランド	ヨーロッパ	103,300
53	コスタリカ	南アメリカ	101,481
54	イラク	アジア	90,000
55	チュニジア	アフリカ	85,000
56	ミャンマー	アジア	85,000
57	エルサルバドル	南アメリカ	80,944
58	日本	アジア	78,830
59	オランダ	ヨーロッパ	73,683
60	ニュージーランド	オセアニア	70,000
61	シリア・アラブ共和国	アジア	62,883
62	タイ	アジア	62,129
63	スウェーデン	ヨーロッパ	52,000
64	デンマーク	ヨーロッパ	50,292
65	フィンランド	ヨーロッパ	48,400
66	スイス	ヨーロッパ	46,742
67	アルバニア	ヨーロッパ	42,000
68	オーストリア	ヨーロッパ	40,153
69	アイスランド	ヨーロッパ	39,209
70	ナミビア	アフリカ	39,000
71	ポルトガル	ヨーロッパ	38,791
72	フィジー	オセアニア	30,500
73	カメルーン	アフリカ	30,000
74	ラオス人民民主共和国	アジア	30,000
75	朝鮮民主主義人民共和国	アジア	30,000
76	エジプト	アフリカ	28,000
77	ノルウェー	ヨーロッパ	24,728
78	ブルキナファソ	アフリカ	22,000
79	プエルトリコ	南アメリカ	18,000
80	リビア	アフリカ	15,500
81	モーリタニア	アフリカ	15,000
82	ジンバブエ	アフリカ	14,000
83	ブータン	アジア	13,500
84	カンボジア	アジア	10,000
85	大韓民国	アジア	9,954
86	ガンビア	アフリカ	9,000
87	ボツワナ	アフリカ	9,000
88	ニューカレドニア	オセアニア	8,300
89	トンガ	オセアニア	7,000
90	ヨルダン	アジア	6,200
91	マレーシア	アジア	4,950
92	イスラエル	アジア	4,800
93	ジャマイカ	南アメリカ	4,200
94	ベリーズ	南アメリカ	4,200
95	バハマ	南アメリカ	4,100
96	イエメン	アジア	4,000
97	ガーナ	アフリカ	4,000
98	ベナン	アフリカ	3,942
99	レバノン	アジア	3,699
100	ガイアナ	南アメリカ	3,600
101	サモア	オセアニア	3,000
102	グアドループ	南アメリカ	2,300
103	トーゴ	アフリカ	2,138
104	エスワティニ	アフリカ	2,011
105	マルティニーク	南アメリカ	2,000
106	ケニア	アフリカ	2,000
107	フランス領ポリネシア	オセアニア	2,000
108	クック諸島	オセアニア	1,700
109	カーボベルデ	アフリカ	1,700
110	サウジアラビア	アジア	1,673
111	スリランカ	アジア	1,500
112	マダガスカル	アフリカ	1,400
113	マルタ	ヨーロッパ	1,224
114	キプロス	アジア	1,100
115	バルバドス	南アメリカ	1,000
116	ギニアビサウ	アフリカ	1,000
117	ギニア	アフリカ	1,000
118	バヌアツ	オセアニア	1,000
119	コンゴ民主共和国	アフリカ	1,000
120	セントルシア	南アメリカ	1,000
121	トリニダード・トバゴ	南アメリカ	1,000
122	パプアニューギニア	オセアニア	964
123	アンゴラ	アフリカ	800
124	ソマリア	アフリカ	600
125	アンティグア・バーブーダ	南アメリカ	600
126	中国、香港特別行政区	アジア	500
127	カタール	アジア	300
128	サントメ・プリンシペ	アフリカ	204
129	アラブ首長国連邦	アジア	200
130	スリナム	南アメリカ	180
131	モーリシャス	アフリカ	150
132	中国、台湾 中国省	アジア	107
133	フランス領ギアナ	南アメリカ	100
134	ソロモン諸島	オセアニア	100
135	マラウイ	アフリカ	68
136	レユニオン	アフリカ	50
137	グレナダ	南アメリカ	13
+ すべての国を見る

1973年の馬飼養数ランキングは、当時の各国の経済状況や産業構造、さらには地政学的背景を反映している重要な指標と言えます。馬は、交通手段や農業の労働力として、また軍事用途や文化行事に欠かせない存在であったため、このデータから各地域の馬利用の多様性と国別の産業特性を読み取ることができます。

中国が圧倒的な1位にランクインしている背景には、広大な国土と農業重視の経済構造、そして一部地域での遊牧民生活が挙げられるでしょう。10,341,000頭の飼養頭数は、人口規模と農業への依存度の高さを反映しています。2位のメキシコ（5,976,009頭）と3位のブラジル（5,105,000頭）は、いずれも広大な牧草地や農村地帯を持つ農業大国であり、牛馬を用いた伝統的な農業の重要性が伺えます。4位のアメリカ（4,605,000頭）は、競馬産業や伝統的な牧畜活動が馬飼養数に寄与していると考えられます。

アジア地域では、中国ほどの規模ではないものの、モンゴルが7位にランクインしています。モンゴルの2,239,300頭という数値は、遊牧民文化や牧畜を中心とした産業構造を強調しています。一方、日本は58位に位置し、78,830頭という数値は、機械化された農業への移行や都市化が進んだことで伝統的な馬の利用が減少したことを表しています。同じアジア地域でも、地理的背景や経済状況による馬の利用形態の違いが明らかです。

興味深いのは、フランス（16位、446,600頭）、ドイツ（21位、377,403頭）、イギリス（45位、140,668頭）のようなヨーロッパ諸国の中でも比較的少ない数の馬を飼養している点です。これらの地域では、産業革命の影響で農業の機械化が進み、馬の需要が減少したと考えられます。一方で、競馬やレジャーとしての馬の利用が続けられており、これが一部地域での一定の飼養数を維持している理由と言えるでしょう。

地政学的リスクも、馬の飼養数に影響を与える要因の一つです。例えば、紛争や戦争が頻発する地域では馬の軍事利用が高まる傾向があり、同時に国境を越えた馬の移動や貿易が活発となります。このような状況を考慮すると、多くの中東やアフリカ諸国では、馬が依然として軍事的・実務的な役割を果たしていることが見受けられます。

1973年のデータを基に将来を展望すると、馬の利用は今後さらに変化すると予想されます。工業化や都市化が進む中で、馬の役割は農業や輸送から、レジャーや観光、さらには文化的価値へとシフトしていく可能性が高いです。同時に、この変化を支えるための適応策として、競馬や乗馬観光の推進、さらには文化遺産としての馬の保存活動が求められるでしょう。例えば、日本では地方特有の馬文化を観光資源として活用することが、農村地域の経済活性化につながるかもしれません。また、アジアやアフリカの国々においては、馬の伝統的な利用法を現代化しつつ地域の需要に適応する形態を模索することが課題となります。

結論として、このランキングは馬が時代と共にその役割を変化させながら人類の歴史に深く関わってきたことを示す貴重なデータと言えます。そのため、今後の国際協力では、持続可能な馬の育成と利用法の共有が焦点となるべきです。また、文化的価値や生物多様性保全の観点からも、このデータを活用した政策議論が必要となるでしょう。