国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新の統計データによると、ブルガリアの馬飼養数は1961年の311,691頭をピークとして長期的な減少傾向にあります。特に2010年以降の急激な下降が顕著であり、2014年以降は42,000頭前後で推移しています。この変化は、農業自動化、経済状況の変化、社会的要因といった複数の要因により引き起こされています。
ブルガリアの馬飼養数の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ
| 年度 | 飼養数(頭) | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 2017年 | 42,000 | - | |
| 2016年 | 42,000 | - | |
| 2015年 | 42,000 |
-0.33% ↓
|
|
| 2014年 | 42,141 |
-27.34% ↓
|
|
| 2013年 | 58,000 |
-3.33% ↓
|
|
| 2012年 | 60,000 |
-13.62% ↓
|
|
| 2011年 | 69,462 |
0.13% ↑
|
|
| 2010年 | 69,374 |
-60.38% ↓
|
|
| 2009年 | 175,091 |
4.05% ↑
|
|
| 2008年 | 168,270 |
8.56% ↑
|
|
| 2007年 | 155,000 |
4.73% ↑
|
|
| 2006年 | 148,000 |
9.63% ↑
|
|
| 2005年 | 135,000 |
6.87% ↑
|
|
| 2004年 | 126,321 | - | |
| 2003年 | 126,321 |
-16.17% ↓
|
|
| 2002年 | 150,690 |
7.4% ↑
|
|
| 2001年 | 140,311 |
-0.51% ↓
|
|
| 2000年 | 141,025 |
5.74% ↑
|
|
| 1999年 | 133,370 |
5.68% ↑
|
|
| 1998年 | 126,204 |
-25.97% ↓
|
|
| 1997年 | 170,469 |
13.25% ↑
|
|
| 1996年 | 150,521 |
13.14% ↑
|
|
| 1995年 | 133,045 |
17.55% ↑
|
|
| 1994年 | 113,180 |
-0.46% ↓
|
|
| 1993年 | 113,708 |
-0.49% ↓
|
|
| 1992年 | 114,267 |
-1% ↓
|
|
| 1991年 | 115,425 |
-2.92% ↓
|
|
| 1990年 | 118,902 |
-2.53% ↓
|
|
| 1989年 | 121,994 |
-0.67% ↓
|
|
| 1988年 | 122,815 |
1.13% ↑
|
|
| 1987年 | 121,437 |
1.57% ↑
|
|
| 1986年 | 119,558 |
1.24% ↑
|
|
| 1985年 | 118,089 |
-0.37% ↓
|
|
| 1984年 | 118,533 |
-0.02% ↓
|
|
| 1983年 | 118,559 |
-0.14% ↓
|
|
| 1982年 | 118,729 |
-0.84% ↓
|
|
| 1981年 | 119,732 |
-0.18% ↓
|
|
| 1980年 | 119,943 |
-3.05% ↓
|
|
| 1979年 | 123,719 |
-1.66% ↓
|
|
| 1978年 | 125,804 |
-1.55% ↓
|
|
| 1977年 | 127,791 |
-4.14% ↓
|
|
| 1976年 | 133,304 |
-2.95% ↓
|
|
| 1975年 | 137,351 |
-3.19% ↓
|
|
| 1974年 | 141,873 |
-4.3% ↓
|
|
| 1973年 | 148,249 |
-6.57% ↓
|
|
| 1972年 | 158,669 |
-6.39% ↓
|
|
| 1971年 | 169,499 |
-6.64% ↓
|
|
| 1970年 | 181,555 |
-8.91% ↓
|
|
| 1969年 | 199,312 |
-10.95% ↓
|
|
| 1968年 | 223,829 |
-2.47% ↓
|
|
| 1967年 | 229,497 |
-4.45% ↓
|
|
| 1966年 | 240,192 |
-3.48% ↓
|
|
| 1965年 | 248,861 |
-2.92% ↓
|
|
| 1964年 | 256,344 |
-7.59% ↓
|
|
| 1963年 | 277,393 |
-7.77% ↓
|
|
| 1962年 | 300,764 |
-3.51% ↓
|
|
| 1961年 | 311,691 | - | |
| + すべての年度を見る | |||
ブルガリアでは、1961年時点で311,691頭もの馬が飼養されており、その数は国内農業や運輸における馬の重要性を物語っています。しかし、そこから継続的な減少が観測され、1980年代中盤には約12万頭ほどにまで減少しました。この減少の背後には、工業化の進行や農業の機械化が影響したと考えられます。例えば、馬に代わるトラクターや車両の導入により、農業や物流における馬の役割が縮小しました。
1990年代になるとブルガリアは社会主義体制の崩壊による劇的な経済変動を経験しました。これは農業構造の変化を伴い、小規模化した農場や個人所有の増加が見られるようになりました。この時期、飼養数は一時的に増加し、1997年には170,469頭に達しています。しかし、この回復も短期的にとどまり、その後再び下降トレンドが続きます。
特筆すべきは2000年代の途中から2010年までの期間です。この時期、多くの先進国で経済活動の回復に伴い馬文化が復興する動きがありましたが、ブルガリアではそれと対照的に馬飼養数が減少傾向をたどり、2010年には69,374頭と大幅に減少しました。その後も減少は止まらず、2014年以降は42,000頭程度で推移しています。このような劇的な減少には、単に農村部の機械化や都市化だけでなく、貧困層の拡大や人口減少といった社会問題が影響しています。また、国際市場における畜産物の価格変動やEU加盟後の政策の影響も無視できません。
この現状はブルガリア固有の未来課題を浮かび上がらせています。まず第一に、伝統的な農村文化の維持と保護があります。馬は経済活動の一環であるだけでなく、観光資源となり得る文化的な要素を含んでいます。伝統的な馬術や馬車文化は観光に活かされる可能性があり、それを維持するための施策が求められます。また、飼養数の減少は、多様な生物遺産や馬に特化した遺伝資源の喪失にもつながりかねません。このため、飼育に対する補助金の設定や、馬関連産業の育成を進めることが有効と考えられます。
さらに、地政学的背景を考慮に入れると、ブルガリアは東欧諸国の一員として、農業と畜産業が今後も地域の重要な要素であり続けるでしょう。EU政策のもとでの助成金の活用や地域内の協力の強化によって、この分野を活性化し、馬飼育を持続可能なものにする道も模索されるべきです。他国の例として、フランスでは馬文化と産業の統合に成功しており、このモデルを参考にすることも一案です。
結論として、ブルガリアの馬飼養数推移は、国内農業・経済の変遷と密接に関連しており、その減少は単なる統計的現象ではなく、社会的、地政学的な要素が複雑に絡み合った結果です。この現状を踏まえ、農業機械化と並行して、馬に関わる文化や産業の保護と振興を国際的な協力のもとで取り組むことが、未来へ向けた鍵となるでしょう。
ブルガリアの統計データ
- ブルガリアの総人口推移【1950年~2100年】
- ブルガリアの平均寿命推移【1950年~2100年】
- ブルガリアの平均年齢推移【1950年~2100年】
- ブルガリアの人口増加推移【1950年~2100年】
- ブルガリアの鶏卵生産量の推移
- ブルガリアの馬肉生産量の推移
- ブルガリアの米生産量の推移
- ブルガリアのトウモロコシ生産量の推移
- ブルガリアの小麦生産量の推移
- ブルガリアの大豆生産量の推移
- ブルガリアのジャガイモ生産量の推移
- ブルガリアの天然蜂蜜生産量の推移
- ブルガリアのテンサイ(甜菜)生産量の推移
- ブルガリアのアーモンド生産量の推移
- ブルガリアのクルミ(胡桃)生産量の推移
- ブルガリアの落花生生産量の推移
- ブルガリアのオリーブ生産量の推移
- ブルガリアのキャベツ生産量の推移
- ブルガリアのほうれん草生産量の推移
- ブルガリアのトマト生産量の推移
- ブルガリアのカリフラワー・ブロッコリー生産量の推移
- ブルガリアのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量の推移
- ブルガリアのキュウリ類生産量の推移
- ブルガリアのナス生産量の推移
- ブルガリアのニンニク生産量の推移
- ブルガリアのネギ生産量の推移
- ブルガリアの牛乳生産量の推移
- ブルガリアのエンドウ豆(生)生産量の推移
- ブルガリアのニンジン・カブ類生産量の推移
- ブルガリアの大麦生産量の推移
- ブルガリアのキノコ・トリュフ生産量の推移
- ブルガリアのバナナ生産量の推移
- ブルガリアのオレンジ生産量の推移
- ブルガリアのレモン・ライム生産量の推移
- ブルガリアのリンゴ生産量の推移
- ブルガリアのナシ生産量の推移
- ブルガリアのサワーチェリー生産量の推移
- ブルガリアのさくらんぼ生産量の推移
- ブルガリアの桃(モモ)・ネクタリン生産量の推移
- ブルガリアのイチゴ生産量の推移
- ブルガリアのラズベリー生産量の推移
- ブルガリアのブルーベリー生産量の推移
- ブルガリアの豚飼育数の推移
- ブルガリアの鶏飼養数の推移
- ブルガリアのヤギ飼養頭数の推移
- ブルガリアの牛飼養数の推移
- ブルガリアの馬飼養数の推移
- ブルガリアのブドウ生産量の推移
- ブルガリアのスイカ生産量の推移
- ブルガリアのメロン生産量の推移
- ブルガリアのアボカド生産量の推移
- ブルガリアのキウイフルーツ生産量の推移
- ブルガリアのオート麦生産量の推移
- ブルガリアの牛乳生産量の推移
- ブルガリアのそば生産量の推移
- ブルガリアのヨーグルト生産量の推移
- ブルガリアの羊飼養数の推移
- ブルガリアの羊肉生産量の推移
- ブルガリアのヤギ肉生産量の推移
- ブルガリアの羊の毛生産量の推移
- ブルガリアのアスパラガス生産量の推移
- ブルガリアのレタスおよびチコリ生産量の推移
- ブルガリアのプラムとスロー生産量の推移
- ブルガリアのイチジク生産量の推移