国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2022年度の天然蜂蜜生産量ランキングによると、1位は中国で461,900トン、2位はトルコで118,297トン、3位はイラン(イスラム共和国)で79,535トンとなりました。日本の順位は59位で、生産量は2,626トンです。生産量の圧倒的差から、中国が世界の主要な蜂蜜生産国としての地位を占めていることが確認できます。一方、多くの国で小規模な生産が続いており、蜂蜜生産量には地域や環境条件による大きな差が見られます。
順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
---|---|---|---|
1 | 中国 | アジア | 461,900 |
2 | トルコ | アジア | 118,297 |
3 | イラン(イスラム共和国) | アジア | 79,535 |
4 | インド | アジア | 74,204 |
5 | アルゼンチン | 南アメリカ | 70,437 |
6 | ロシア連邦 | ヨーロッパ | 67,014 |
7 | メキシコ | 南アメリカ | 64,320 |
8 | ウクライナ | ヨーロッパ | 63,079 |
9 | ブラジル | 南アメリカ | 60,966 |
10 | アメリカ合衆国 | 北アメリカ | 56,849 |
11 | カナダ | 北アメリカ | 33,745 |
12 | タンザニア連合共和国 | アフリカ | 31,345 |
13 | 大韓民国 | アジア | 29,951 |
14 | ルーマニア | ヨーロッパ | 29,760 |
15 | ベトナム | アジア | 23,624 |
16 | アンゴラ | アフリカ | 23,457 |
17 | ニュージーランド | オセアニア | 22,000 |
18 | フランス | ヨーロッパ | 20,019 |
19 | エチオピア | アフリカ | 17,507 |
20 | 中央アフリカ共和国 | アフリカ | 17,399 |
21 | ケニア | アフリカ | 17,000 |
22 | ウズベキスタン | アジア | 14,700 |
23 | セルビア | ヨーロッパ | 14,228 |
24 | 中国、台湾 中国省 | アジア | 12,207 |
25 | チリ | 南アメリカ | 12,019 |
26 | タイ | アジア | 11,795 |
27 | ポルトガル | ヨーロッパ | 11,465 |
28 | オーストラリア | オセアニア | 10,938 |
29 | イギリス | ヨーロッパ | 9,923 |
30 | キューバ | 南アメリカ | 9,200 |
31 | ウルグアイ | 南アメリカ | 7,906 |
32 | チェコ | ヨーロッパ | 7,771 |
33 | モロッコ | アフリカ | 7,500 |
34 | アゼルバイジャン | アジア | 7,446 |
35 | コロンビア | 南アメリカ | 7,000 |
36 | ルワンダ | アフリカ | 6,183 |
37 | リトアニア | ヨーロッパ | 6,017 |
38 | グアテマラ | 南アメリカ | 6,002 |
39 | アルジェリア | アフリカ | 5,617 |
40 | アルバニア | ヨーロッパ | 5,391 |
41 | ネパール | アジア | 5,168 |
42 | カメルーン | アフリカ | 4,757 |
43 | タジキスタン | アジア | 4,603 |
44 | イスラエル | アジア | 4,500 |
45 | パキスタン | アジア | 4,455 |
46 | スイス | ヨーロッパ | 4,441 |
47 | エジプト | アフリカ | 4,440 |
48 | モルドバ共和国 | ヨーロッパ | 4,409 |
49 | マダガスカル | アフリカ | 3,980 |
50 | カザフスタン | アジア | 3,911 |
51 | セネガル | アフリカ | 3,834 |
52 | チュニジア | アフリカ | 3,665 |
53 | シリア・アラブ共和国 | アジア | 3,532 |
54 | ミャンマー | アジア | 3,495 |
55 | フィンランド | ヨーロッパ | 3,300 |
56 | 北マケドニア | ヨーロッパ | 3,275 |
57 | キルギスタン | アジア | 2,970 |
58 | イエメン | アジア | 2,892 |
59 | 日本 | アジア | 2,626 |
60 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | ヨーロッパ | 2,560 |
61 | スロベニア | ヨーロッパ | 2,405 |
62 | ラトビア | ヨーロッパ | 2,302 |
63 | アルメニア | アジア | 2,200 |
64 | ベラルーシ | ヨーロッパ | 2,113 |
65 | グルジア | アジア | 2,000 |
66 | パラグアイ | 南アメリカ | 1,918 |
67 | エルサルバドル | 南アメリカ | 1,862 |
68 | ペルー | 南アメリカ | 1,695 |
69 | ノルウェー | ヨーロッパ | 1,690 |
70 | エストニア | ヨーロッパ | 1,631 |
71 | アフガニスタン | アジア | 1,406 |
72 | レバノン | アジア | 1,251 |
73 | 南アフリカ | アフリカ | 1,083 |
74 | ギニア | アフリカ | 1,079 |
75 | チャド | アフリカ | 1,038 |
76 | ザンビア | アフリカ | 904 |
77 | ニカラグア | 南アメリカ | 885 |
78 | エクアドル | 南アメリカ | 881 |
79 | トルクメニスタン | アジア | 876 |
80 | ドミニカ共和国 | 南アメリカ | 804 |
81 | コスタリカ | 南アメリカ | 798 |
82 | ジャマイカ | 南アメリカ | 766 |
83 | スーダン | アフリカ | 744 |
84 | リビア | アフリカ | 739 |
85 | ブルキナファソ | アフリカ | 716 |
86 | ボリビア (多民族国家) | 南アメリカ | 706 |
87 | ベネズエラ (ボリバル共和国) | 南アメリカ | 643 |
88 | コートジボワール | アフリカ | 638 |
89 | ブルンジ | アフリカ | 626 |
90 | モザンビーク | アフリカ | 621 |
91 | 東ティモール | アジア | 586 |
92 | モンテネグロ | ヨーロッパ | 569 |
93 | オマーン | アジア | 534 |
94 | シエラレオネ | アフリカ | 492 |
95 | ヨルダン | アジア | 392 |
96 | フィジー | オセアニア | 378 |
97 | パレスチナ国 | アジア | 321 |
98 | マリ | アフリカ | 300 |
99 | ハイチ | 南アメリカ | 267 |
100 | ニューカレドニア | オセアニア | 183 |
101 | モンゴル | アジア | 175 |
102 | サモア | オセアニア | 174 |
103 | ギニアビサウ | アフリカ | 167 |
104 | パプアニューギニア | オセアニア | 154 |
105 | パナマ | 南アメリカ | 134 |
106 | フランス領ポリネシア | オセアニア | 126 |
107 | サウジアラビア | アジア | 111 |
108 | イラク | アジア | 106 |
109 | ガイアナ | 南アメリカ | 90 |
110 | ホンジュラス | 南アメリカ | 87 |
111 | ベリーズ | 南アメリカ | 61 |
112 | トリニダード・トバゴ | 南アメリカ | 50 |
113 | プエルトリコ | 南アメリカ | 43 |
114 | スリナム | 南アメリカ | 39 |
115 | ブータン | アジア | 37 |
116 | トンガ | オセアニア | 11 |
117 | ニウエ | オセアニア | 7 |
118 | ツバル | オセアニア | 5 |
119 | クック諸島 | オセアニア | 1 |
2022年の天然蜂蜜生産量データによると、中国が461,900トンという圧倒的な生産量でトップに立っています。中国は広大な国土に適した気候条件や密集した養蜂文化を持っており、長年にわたり蜂蜜生産を増加させる努力を続けています。一方、2位のトルコ(118,297トン)や3位のイラン(79,535トン)は、特定の気候帯に依存しつつも質の高い蜂蜜を産出しており、伝統的な養蜂技術を継承していることが特徴です。インド(74,204トン)、アルゼンチン(70,437トン)などの国もランクインしており、これらの国々では主に輸出市場をターゲットとした生産が進められています。
日本は2,626トンで59位となっており、全体の生産量と比較すると非常に少ない数字です。この原因としては地理的・気候的制約、農業従事者の減少、都市化による土地資源の限界が挙げられます。また、国内需要を補うために多くを輸入に依存している現状も浮かび上がります。
一方で、養蜂の世界ショートランプが激化する中、一部の地域では生産の低迷や供給不安が懸念されています。例えばウクライナ(63,079トン)の場合、地政学的な背景、特に紛争の影響が生産減少をもたらした可能性があります。同様に、ブラジルやアルゼンチンなどの国は森林開発や気候変動の影響により養蜂環境が損なわれつつあり、持続可能性に関する課題が顕在化しています。
天然蜂蜜生産における将来の課題としては、まず世界規模の気候変動があります。気温上昇や異常気候の頻発は花粉源の減少を引き起こし、それが蜜蜂の生息地と食糧供給に悪影響を与えています。さらに、病害虫の拡大や農薬使用も蜜蜂の減少に影響を与え、生産量に直接的なダメージを与えています。例えば、アメリカやヨーロッパでは、蜂群崩壊症候群(CCDS: Colony Collapse Disorder)が長年深刻な問題となっており、この問題に対応する技術的および政策的アプローチが求められています。
また、地域間の協力と技術共有も重要です。特に低生産量国においては、養蜂技術の向上や持続可能な開発支援を行うことで、生産量の拡大が期待されます。例えば、日本では都市農業や地域産業と連携した養蜂の推進が未来の成長可能性を秘めています。また、高付加価値な蜂蜜製品、例えば特定地域産のブランド蜂蜜の製造・輸出にも取り組むべきです。
結論として、天然蜂蜜の生産は単なる食料供給を超え、環境保護や地域振興につながる重要な産業分野です。農村部の振興や蜜蜂の生態系保全を通じて、持続可能性を重視した政策対応が急務となっています。特に、蜜蜂と生態系の重要性を認識し、気候変動や地政学的リスクへの対応を強化することが鍵となるでしょう。各国や国際機関は協力体制を構築し、技術移転や環境保護を推進することで、蜂蜜産業全体の安定と成長を目指すべきです。