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リビアの天然蜂蜜生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が最新の2024年7月に提供したデータによると、リビアの天然蜂蜜の生産量は、過去60年以上の間に大きな変動を見せています。1960年代の最低水準(約30トン)から1980年代末の最高水準(約1,250トン)にかけて大きく増加しました。その後、1990年代以降は比較的安定した生産傾向が続きましたが、2020年以降は再び減少傾向が見られ、2022年には739トンにまで落ち込んでいます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 734
-0.76% ↓
2022年 739
-1.72% ↓
2021年 752
-2.25% ↓
2020年 769
-3.79% ↓
2019年 800
-0.03% ↓
2018年 800 -
2017年 800 -
2016年 800
-0.04% ↓
2015年 800
0.04% ↑
2014年 800 -
2013年 800
-1.84% ↓
2012年 815
-0.61% ↓
2011年 820
1.23% ↑
2010年 810
1.25% ↑
2009年 800 -
2008年 800 -
2007年 800 -
2006年 800 -
2005年 800 -
2004年 800
-0.62% ↓
2003年 805
0.63% ↑
2002年 800 -
2001年 800
2.56% ↑
2000年 780
8.33% ↑
1999年 720
0.7% ↑
1998年 715
0.7% ↑
1997年 710
-5.33% ↓
1996年 750
20.19% ↑
1995年 624
-10.86% ↓
1994年 700
-22.22% ↓
1993年 900
-18.18% ↓
1992年 1,100
-12% ↓
1991年 1,250
4.17% ↑
1990年 1,200
100% ↑
1989年 600
-7.41% ↓
1988年 648
8% ↑
1987年 600
7.14% ↑
1986年 560
7.69% ↑
1985年 520
-3.7% ↓
1984年 540
-3.57% ↓
1983年 560
2% ↑
1982年 549
37.25% ↑
1981年 400
11.11% ↑
1980年 360
1.41% ↑
1979年 355
2.9% ↑
1978年 345
-3.09% ↓
1977年 356
49.58% ↑
1976年 238
1.28% ↑
1975年 235
173.26% ↑
1974年 86
196.55% ↑
1973年 29
-68.82% ↓
1972年 93
132.5% ↑
1971年 40
33.33% ↑
1970年 30 -
1969年 30 -
1968年 30 -
1967年 30 -
1966年 30
-57.14% ↓
1965年 70
-22.22% ↓
1964年 90
-47.06% ↓
1963年 170
-32% ↓
1962年 250 -
1961年 250 -

リビアにおける天然蜂蜜生産量の推移を分析すると、1960年代初頭に約250トンあった生産量が急激な減少を経て、その後は長期間にわたり低水準で推移し続けたことが確認されます。これは、この時期のリビアが大きな社会変動や農業資源利用の制約を受け、養蜂活動の維持が困難であったことを示唆しています。しかしながら、1970年代後半以降、農業政策の改善や技術の向上、インフラ整備によって徐々に生産量が回復し、1980年代には600トンを超える水準へと成長しました。

特に1990年から1991年にかけて大幅な生産量の増加が見られ、この時期には1,200トンを超える記録を達成しました。地理的にリビアは乾燥したサハラ砂漠地帯に位置しつつも、一部の地域において養蜂に適した環境を持っています。そのため、この大幅な生産量拡大には、灌漑施設の導入や専業農家への支援策が寄与したと考えられます。しかしながら、1992年以降は減少傾向が始まり、2000年代に入ると年間約800トンの水準で、一定の安定を見せました。

注意すべきは、近年の減少傾向です。2020年に769トン、2022年には739トンへと下がり続けています。この背景にはいくつかの要因が考えられます。まず第一に、リビア国内の社会不安定や政治的混乱が、農業生産全般に及ぼす影響が挙げられます。紛争や内戦に伴う地政学的リスクが、国内の農村部に被害を与えると同時に、輸送インフラの破壊も大きな影響を与えます。また、地球規模の気候変動が蜂群の生息環境を悪化させている可能性も指摘されています。気温上昇や干ばつの頻発は養蜂活動に深刻な打撃を与えます。

このような現状を踏まえ、リビアにおける天然蜂蜜生産量の更なる低下を防ぐには、いくつかの具体的な対策が求められます。まず、養蜂活動に適した地域を特定し、資源を集中的に投下する政策を推進するべきです。地域ごとに適した花卉供給や水資源管理を確立することは、養蜂の生産性向上に直結するでしょう。また、国際社会との連携を強化し、新しい技術や最適化された蜂病対策法をリビアにも導入することが推奨されます。

さらに、地域密着型の養蜂従事者への教育プログラムや融資体制を整えることも必要です。新型コロナウイルス感染症による世界的な物流混乱は、大量生産や流通の効率性への課題を改めて浮き彫りにしました。このような中、地域農業に依存したエコシステムを再構築することが、地域社会としての持続可能性を高めます。そして、国内社会の安定が不可欠であり、農業全般の再興を促すための政策策定も並行して進めるべきです。

結論として、リビアの天然蜂蜜産業は、経済的潜在性のある重要な分野といえます。しかし、現在直面している課題は、地政学的リスク、気候変動、社会的・政治的混乱など複合的です。これらを克服するには、地域と国際的視点の両方からの協力体制が必要となります。蜂蜜生産を通じた食糧安全保障や農村開発は、リビア社会における明るい未来を切り開くひとつの道となるでしょう。