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ボリビア (多民族国家)の天然蜂蜜生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新のデータによると、ボリビアの天然蜂蜜生産量は1961年から2022年にかけて大きな変動を経てきました。特に1960年代後半から1970年代初頭には急激が減少が見られた一方で、1990年代以降は安定的な回復傾向が確認されています。2000年代には緩やかな増加が見られましたが、2010年以降、生産量は再び伸び悩み、現在ではおおむね毎年700トン前後で推移しています。

年度 生産量(トン)
2022年 706
2021年 707
2020年 708
2019年 714
2018年 714
2017年 710
2016年 711
2015年 704
2014年 686
2013年 672
2012年 658
2011年 643
2010年 630
2009年 944
2008年 915
2007年 880
2006年 857
2005年 829
2004年 784
2003年 750
2002年 740
2001年 730
2000年 720
1999年 710
1998年 700
1997年 710
1996年 720
1995年 730
1994年 740
1993年 720
1992年 710
1991年 700
1990年 720
1972年 120
1971年 120
1970年 120
1969年 300
1968年 500
1967年 800
1966年 1,175
1965年 1,150
1964年 1,130
1963年 1,010
1962年 1,184
1961年 1,077

ボリビアは自然豊かで、生物多様性に恵まれた多民族国家であり、その地理的条件や気候は養蜂業にも適しています。しかし、1960年代から2022年までの天然蜂蜜の生産データは、必ずしも一貫した成長を示しておらず、その背後にはさまざまな要因が影響していると考えられます。

まず、1961年から1966年にかけて生産量はほぼ1000トンを超える高い水準で推移していましたが、1967年以降、急激な減少が発生しました。1970年代においては120トンまで落ち込み、この期間はボリビア国内での経済不安や農業政策の混乱、養蜂のインフラ不足がその一因とされます。このような低迷期の解消のためには、養蜂業における技術支援や支援プログラムの欠如が課題であったことが背景にあると考えられます。

1990年代以降になると、生産量は再び回復を見せ、年間700トン前後とある程度の安定化が見られました。この時期の回復は、農業振興政策の影響や一部国際市場への輸出拡大も寄与している可能性が高いです。さらに、2000年代には毎年わずかではありますが安定的な成長が続き、2009年には944トンといった記録的な水準に達しました。この成長はおそらく農村での蜂蜜生産活動の活性化や、品質管理の整備と技術革新が影響したと考えられます。

しかし2010年以降、その成長は停滞し、現在に至るまで700トン台で推移しています。この停滞にはいくつかの要因が考えられます。一つは気候変動の影響で、ボリビアのような熱帯性気候では、異常気象や生態系の乱れがミツバチの生息環境や蜜源植物に深刻な影響を与えることが指摘されています。また、ボリビアを含む南米地域でのアグリビジネスの拡大やプランテーション開発は、伝統的な蜂蜜生産に圧力をかけているとも言われています。さらに、疫病や寄生虫からなるミツバチの健康問題も、世界的に深刻化しており、ボリビアの産業にも影響を及ぼしているでしょう。

未来に向けた課題と対策を考えると、一つは気候変動への対応策が重要です。具体的には、地元の養蜂業者に対する持続可能な支援プログラムや気候適応型の養蜂技術の普及が欠かせません。また、蜜源植物の生息環境を保全するための森林管理や農地との共生の枠組みが求められます。例えば、農村部で蜜源植物を意識的に植樹し、蜂蜜の生産地と生態環境の保全を両立する方法が考えられます。

さらに、地域の養蜂業者の教育・訓練も推進するべきです。品質改善や病害対策技術の導入は、国際市場における競争力を高め、輸出の拡大にもつながる可能性があります。また、フェアトレード商品としての認知拡大やブランド化も促進することで、ボリビア産蜂蜜の付加価値を高めることができるでしょう。

結論として、ボリビアの天然蜂蜜の生産量推移は、国内外のさまざまな影響を受けて大きな変動を経てきました。今後、安定的で持続可能な成長を達成するためには、気候変動やミツバチの健康問題への対応、生産者の訓練支援、地域間での持続可能な協力体制が欠かせません。国際機関やボリビア政府が協調して取り組むことで、蜂蜜産業がより健全に発展し、地域経済への貢献が期待できるでしょう。