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キューバの天然蜂蜜生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、キューバの天然蜂蜜の生産量は、1961年から2022年にわたって増減を繰り返しており、長期的には全体的な増加傾向が見られます。2022年には9,200トンの蜂蜜が生産され、これは過去の最盛期に匹敵する水準ですが、2021年の10,500トンからは減少しています。この間、生産量には気候条件や地政学的状況を背景とした大きな変動が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 8,856
-3.74% ↓
2022年 9,200
-12.38% ↓
2021年 10,500
34.62% ↑
2020年 7,800
-24.42% ↓
2019年 10,320
17.27% ↑
2018年 8,800
39.68% ↑
2017年 6,300
-30.77% ↓
2016年 9,100
24.66% ↑
2015年 7,300
-7.59% ↓
2014年 7,900
12.86% ↑
2013年 7,000
2.94% ↑
2012年 6,800
1.49% ↑
2011年 6,700
42.55% ↑
2010年 4,700
-9.62% ↓
2009年 5,200
1.96% ↑
2008年 5,100
-17.74% ↓
2007年 6,200
-10.14% ↓
2006年 6,900
76.92% ↑
2005年 3,900
-37.1% ↓
2004年 6,200
-13.56% ↓
2003年 7,173
28.09% ↑
2002年 5,600
-15.15% ↓
2001年 6,600
-4.35% ↓
2000年 6,900
2.99% ↑
1999年 6,700
19.64% ↑
1998年 5,600
12% ↑
1997年 5,000
4.17% ↑
1996年 4,800
-12.73% ↓
1995年 5,500
12.24% ↑
1994年 4,900
8.89% ↑
1993年 4,500
-31.82% ↓
1992年 6,600
-28.26% ↓
1991年 9,200
24.32% ↑
1990年 7,400
-21.78% ↓
1989年 9,461
-2.84% ↓
1988年 9,738
25.75% ↑
1987年 7,744
-10.81% ↓
1986年 8,683
-10.49% ↓
1985年 9,701
13.9% ↑
1984年 8,517
-16.6% ↓
1983年 10,212
1.88% ↑
1982年 10,024
13.82% ↑
1981年 8,807
20.64% ↑
1980年 7,300
8.96% ↑
1979年 6,700
-7.37% ↓
1978年 7,233
18.01% ↑
1977年 6,129
-8.43% ↓
1976年 6,693
3.19% ↑
1975年 6,486
-6.57% ↓
1974年 6,942
46.86% ↑
1973年 4,727
-22.18% ↓
1972年 6,074
29.23% ↑
1971年 4,700
-2.08% ↓
1970年 4,800 -
1969年 4,800
14.29% ↑
1968年 4,200
10.53% ↑
1967年 3,800
2.7% ↑
1966年 3,700
-5.13% ↓
1965年 3,900
14.71% ↑
1964年 3,400
25.93% ↑
1963年 2,700
-3.57% ↓
1962年 2,800
-42.86% ↓
1961年 4,900 -

1961年に4,900トンの生産量を記録して以来、キューバの天然蜂蜜生産は経済的・環境的要因の影響を受けながらも、持続的に発展してきました。1970年代には年間6,000トンを超える生産量を安定的に確保し、1980年代には10,000トンを越える水準に到達しました。この時期の生産拡大は、農業政策による生産性向上や養蜂技術の改良が寄与したと考えられます。しかし1990年代には、生産量は大きく減少に転じます。特に1993年には4,500トンにまで落ち込んでおり、この背景には、ソビエト連邦の崩壊による経済的影響が挙げられます。この状況の中で、キューバは農業の自給的回復を模索する時期を迎えました。

21世紀に入ると、蜂蜜生産は徐々に持ち直しましたが、気候変動が作物や養蜂に与える影響は依然として課題として残っています。特に2005年には3,900トンという低水準を記録しましたが、その後、数年間の取り組みの中で回復を果たしました。2010年代後半以降、生産量は7,000トンから10,000トンの範囲で推移しており、2019年には10,320トン、2021年には10,500トンを記録しました。

気候条件や自然災害が生産動向に強く影響を与える養蜂業において、キューバの天然蜂蜜生産が最近数年間の高水準を維持できた背景には、国内および国際的な需要の高まりに応えるための政策努力が挙げられます。ただし、2022年の減少(9,200トン)は、世界的な気候変動やパンデミックによる供給チェーンの混乱が影響している可能性があります。このような外的要因は、今後もキューバの蜂蜜生産に大きな課題を投げかけ続けるでしょう。

キューバの地政学的リスクも蜂蜜生産に間接的な影響を及ぼしています。例えば、経済封鎖や制裁措置の影響で養蜂資材の輸入が制限され、効率的な養蜂活動に支障をきたす要因として挙げられます。この文脈では、国内での技術力向上や資材の自給体制の構築が鍵となりそうです。また、キューバの蜂蜜はヨーロッパ市場で「有機農業製品」として高い評価を受けており、これは外貨獲得にも寄与しています。こうした輸出向けの産業戦略も、キューバ経済全体の持続可能性における重要な柱とされています。

未来の課題として、気候変動による自然災害や地域衝突の影響に対する適応力を高めることが求められます。具体的な対策としては、養蜂協同組合の設立によるスケールメリットの活用や、気候変動への耐性を高める技術開発、生態系維持に基づいた農業政策の推進が挙げられます。さらに、地域間協力を促進するために、ラテンアメリカ諸国との知識共有プログラムを充実させることも効果的でしょう。

結論として、キューバの天然蜂蜜生産の推移からは、農業分野における気候変動や地政学的な課題の影響の強さが浮き彫りになっています。この産業の持続的な成長を実現するためには、生態系を守りつつ経済効率を高める政策が必要です。また、輸出市場でのポジション強化を図るために、革新的な取り組みを導入することが鍵となるでしょう。これらの課題解決には、政府だけでなく国際機関や地域のパートナーとの協働も不可欠です。