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中国の天然蜂蜜生産量推移(1961年~2023年)

中国の天然蜂蜜生産量は、1961年の53,000トンから2022年の461,900トンへと大きく増加しました。ただし、この成長は一貫しているわけではなく、1970年代後半や1990年代の変動、2016年以降の急激な増減など、複数の時期において顕著な動きが見られます。特に2016年に記録された555,000トンは過去最大の値でしたが、2018年以降はやや減少傾向が続いています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 463,500
0.35% ↑
2022年 461,900
-2.28% ↓
2021年 472,700
3.19% ↑
2020年 458,100
3.16% ↑
2019年 444,054
-0.63% ↓
2018年 446,879
-17.63% ↓
2017年 542,544
-2.24% ↓
2016年 555,000
17.34% ↑
2015年 473,000
2.37% ↑
2014年 462,028
2.6% ↑
2013年 450,300
0.51% ↑
2012年 448,000
3.94% ↑
2011年 431,000
7.48% ↑
2010年 401,000
-0.25% ↓
2009年 402,000
0.5% ↑
2008年 400,000
12.99% ↑
2007年 354,000
6.43% ↑
2006年 332,600
13.44% ↑
2005年 293,200
0.07% ↑
2004年 293,000
1.46% ↑
2003年 288,786
9.14% ↑
2002年 264,600
5.17% ↑
2001年 251,600
2.28% ↑
2000年 246,000
6.96% ↑
1999年 230,000
11.11% ↑
1998年 207,000
-1.9% ↓
1997年 211,000
14.67% ↑
1996年 184,000
3.55% ↑
1995年 177,690
0.39% ↑
1994年 177,000
1.14% ↑
1993年 175,000
-1.69% ↓
1992年 178,000
-14.42% ↓
1991年 208,000
7.77% ↑
1990年 193,000
2.12% ↑
1989年 189,000
-3.08% ↓
1988年 195,000
-4.41% ↓
1987年 204,000
18.6% ↑
1986年 172,000
10.97% ↑
1985年 155,000
5.08% ↑
1984年 147,500
3.15% ↑
1983年 143,000
5.15% ↑
1982年 136,000
18.26% ↑
1981年 115,000
-4.17% ↓
1980年 120,000
9.09% ↑
1979年 110,000
46.67% ↑
1978年 75,000 -
1977年 75,000
2.74% ↑
1976年 73,000
-8.75% ↓
1975年 80,000
6.67% ↑
1974年 75,000
-8.54% ↓
1973年 82,000
-8.89% ↓
1972年 90,000
5.88% ↑
1971年 85,000
13.33% ↑
1970年 75,000 -
1969年 75,000
7.14% ↑
1968年 70,000
7.69% ↑
1967年 65,000 -
1966年 65,000
8.33% ↑
1965年 60,000 -
1964年 60,000
3.45% ↑
1963年 58,000
5.45% ↑
1962年 55,000
3.77% ↑
1961年 53,000 -

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、中国は世界最大の蜂蜜生産国の一つであり、天然蜂蜜生産量は長期的に増加傾向を示しています。この成長を支えているのは、広大な農地環境、適した気候条件、そして効率的な養蜂技術です。1961年には53,000トンという規模から始まり、2022年には約9倍の461,900トンに拡大しました。特に1980年代から2000年代にかけて生産量が急増しており、2006年には300,000トンを超え、2008年には初めて400,000トンを突破しました。

2000年代以降、中国の蜂蜜生産量は全体的に増加していますが、その中でも注目すべき転機は2016年です。この年は555,000トンという過去最高の生産量を記録しました。ただし、その後のデータを見ると、生産量が急激に減少し、2018年には446,879トンへと落ち込んでいます。2022年現在でもこのピークからはやや低い水準で推移しています。このような生産量の変動は、気候変動や環境問題、特に養蜂産業に深刻な影響を及ぼしている農薬や都市化の影響が背景にあると考えられます。

中国の養蜂業が現在直面している課題のひとつは、環境変化に敏感であるという点です。例えば、蜜源となる植物の開花時期や分布に影響を与える気候変動は、生産量の安定性を不安定にする要因のひとつです。また、大規模農地での農薬使用や都市化による農地減少も蜂の生息環境に影響を及ぼしています。これに加えて、世界的な蜂の減少(いわゆる「蜂群崩壊症候群」)による養蜂基盤の不安定化も懸念されています。

他国の事例を見ると、日本や韓国では国内生産が減少し消費の多くを輸入に依存している状況ですが、中国は依然として大きな生産能力を維持しています。ただし、中国の蜂蜜生産コストは上昇傾向にあり、さらに品質面や国際競争力向上のための革新的技術導入が求められています。

今後の対策として、中国の養蜂業を持続可能に発展させるためには、まず飼育環境の整備が重要です。具体的には、農薬の使用量を抑え、蜜源植物の多様性と分布を確保することが配慮されるべきです。さらに、蜂群崩壊症候群の原因解明と対策を強化することが求められます。同時に、環境負荷を軽減する有機養蜂の導入や高付加価値蜂蜜の生産も選択肢として重要です。また、国際貿易においても品質認証の取得とその普及が、中国産蜂蜜の市場競争力を高める鍵となるでしょう。

結論として、中国の天然蜂蜜生産量はこれまで著しい成長を遂げてきましたが、近年は気候変動や環境の変化、そして世界的な蜂群の減少といった困難に直面しています。これらの課題を克服し、養蜂業を安定的に発展させるためには、環境保護と規制の強化、新しい技術導入、そして国内外の市場ニーズに応じた生産体制の見直しが求められるでしょう。