Skip to main content

ハイチの天然蜂蜜生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(FAO)が発表した2024年7月時点のデータによると、ハイチにおける天然蜂蜜の生産量は、長期間にわたる変動を見せています。1960年代の生産量は比較的低い水準で推移していましたが、1980年代後半から1990年代にかけて急速に増加し、2003年にはピークに達しました。その後は減少傾向が続き、2022年には267トンと低水準に落ち込んでいます。この変動には環境要因や経済、社会的な要因が関係している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 285
6.75% ↑
2022年 267
-4.17% ↓
2021年 279
-5.09% ↓
2020年 294
-6.02% ↓
2019年 313
-6.81% ↓
2018年 336
11.9% ↑
2017年 300
-10.17% ↓
2016年 334
-9.85% ↓
2015年 370
-9.19% ↓
2014年 408
-4.01% ↓
2013年 425 -
2012年 425
1.19% ↑
2011年 420
-6.79% ↓
2010年 451
-9.67% ↓
2009年 499
-10.81% ↓
2008年 559
-13.39% ↓
2007年 646
-9.76% ↓
2006年 716
-9.41% ↓
2005年 790
-4.91% ↓
2004年 831
-2.26% ↓
2003年 850
2.41% ↑
2002年 830
1.47% ↑
2001年 818
0.99% ↑
2000年 810
2.83% ↑
1999年 788
3.63% ↑
1998年 760
5.33% ↑
1997年 722
5.51% ↑
1996年 684
6.62% ↑
1995年 641
6.26% ↑
1994年 604
5.97% ↑
1993年 570
5.49% ↑
1992年 540
3.85% ↑
1991年 520
1.96% ↑
1990年 510
2% ↑
1989年 500
4.17% ↑
1988年 480
2.13% ↑
1987年 470
2.17% ↑
1986年 460
2.22% ↑
1985年 450
12.5% ↑
1984年 400
25% ↑
1983年 320
3.23% ↑
1982年 310
3.33% ↑
1981年 300 -
1980年 300 -
1979年 300
3.45% ↑
1978年 290
3.57% ↑
1977年 280
3.7% ↑
1976年 270
1.89% ↑
1975年 265
1.92% ↑
1974年 260
1.96% ↑
1973年 255
2% ↑
1972年 250
0.81% ↑
1971年 248
1.64% ↑
1970年 244
0.83% ↑
1969年 242
0.83% ↑
1968年 240
1.27% ↑
1967年 237
9.72% ↑
1966年 216
-22.86% ↓
1965年 280
7.69% ↑
1964年 260
-25.71% ↓
1963年 350
16.67% ↑
1962年 300
-25% ↓
1961年 400 -

ハイチにおける天然蜂蜜の生産推移を振り返ると、1961年の生産量は400トンからスタートしており、1960年代後半には216トンまで減少という落ち込みが見られます。この当時、ハイチは経済的および社会的な困難を抱えていた時期であり、その影響が農業分野にも反映された可能性があります。しかし、その後、1970年代中盤から1980年代にかけて徐々に生産量が回復し、1984年から1990年代後半にかけて急激な増加が見られ、これには技術改良や養蜂支援政策の影響があると考えられます。特に1990年代中頃には600トン台に達し、最盛期である2003年には850トンを記録しました。

このピーク以降、ハイチの蜂蜜生産量は明らかに減少の傾向を示しています。2000年代半ばには再び500トンを下回り、さらにその後2022年には267トンにまで減少しました。この減少の背景には、いくつかの要因が絡んでいる可能性が考えられます。

まず、環境要因が挙げられます。ハイチでは森林伐採が深刻な問題となっており、生態系の破壊により蜜源となる植物の減少が養蜂業に悪影響を及ぼしていると推察されます。また、気候変動の影響も大きいでしょう。異常気象や温度変化は蜜蜂が生息する環境に直接影響を与え、結果的に生産量の減少に繋がる可能性があります。

さらに、経済的な問題も影響しています。ハイチは多くの経済的困難を抱える国であり、農業分野への投資が限られるため、養蜂業が十分に発展しない状況にあります。また、近年の政治的不安定や災害の多発によって、農業インフラの復旧や維持が困難になっている現状も指摘できます。特に2010年の地震以降、相次ぐ災害の影響で生産基盤が著しく損傷したことが生産量の減少に拍車をかけたものと思われます。

このような状況を改善するためには、まず生態系を回復する取り組みが重要です。例えば、森林再生プロジェクトや植林活動を通じて蜜源植物の増加を目指すことが効果的でしょう。また、持続可能な養蜂を支援するための教育プログラムや技術指導も重要です。さらには、国際援助などを通じて養蜂業のインフラや資金面のサポートを強化することも求められます。これに加え、国内外の市場へのアクセスを拡大し、輸出産業としての価値を高めることも検討されるべきです。

これらの課題に対処するためには、ハイチ政府のみならず国際社会の支援も欠かせません。他国の事例と比較しても、特にアフリカ諸国では国際援助や地域協力を背景に養蜂業が発展している地域が増えています。例えばエチオピアでは、持続可能な開発目標に基づいた養蜂プロジェクトを展開し、農業収入の増加と生態系保護を両立させています。このような成功例を参考に、地域間協力や国際プロジェクトを通じてハイチの天然蜂蜜生産を再び増加軌道に乗せることが期待されます。

今後もこの分野における進展をモニタリングしながら、同時に環境、経済、社会の観点から持続的な解決策を追求する必要があります。食糧安全保障や地域経済の多角化という観点でも、天然蜂蜜の生産拡大はハイチにとって重要な取り組みとなるでしょう。