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北マケドニアの天然蜂蜜生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、北マケドニアの天然蜂蜜生産量は、1990年代から2010年代前半にかけて比較的安定していたものの、2017年以降急激な増加傾向を見せ、2022年には3,275トンと過去最高を記録しました。一方で、生産量には長期的に見て大きな変動があり、歴史的には1993年の901トンの大幅減少や2017年の395トンという低い数値も観察されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,947
-10.02% ↓
2022年 3,275
16.38% ↑
2021年 2,814
1.01% ↑
2020年 2,786
9.9% ↑
2019年 2,535
433.68% ↑
2018年 475
20.25% ↑
2017年 395
-52.64% ↓
2016年 834
21.22% ↑
2015年 688
-4.84% ↓
2014年 723
-7.78% ↓
2013年 784
30.02% ↑
2012年 603
-45.43% ↓
2011年 1,105
33.94% ↑
2010年 825
4.3% ↑
2009年 791
2.06% ↑
2008年 775
10.87% ↑
2007年 699
-19.47% ↓
2006年 868
-16.7% ↓
2005年 1,042
13.76% ↑
2004年 916
-10.72% ↓
2003年 1,026
20.42% ↑
2002年 852
-13.06% ↓
2001年 980
-10.91% ↓
2000年 1,100
-29.4% ↓
1999年 1,558
35.48% ↑
1998年 1,150
-12.28% ↓
1997年 1,311
-3.53% ↓
1996年 1,359
42.9% ↑
1995年 951
3.37% ↑
1994年 920
2.11% ↑
1993年 901
-43.97% ↓
1992年 1,608 -

北マケドニアの天然蜂蜜生産量データを長期的に観察すると、1990年代から2000年代初頭の間は生産量が平均して1,000トン前後で推移していましたが、安定というよりむしろ変動性が見られました。1992年の1,608トンという高生産量に続き、翌1993年には901トンと著しく低下しています。その後、1999年に再び1,558トンに達するなど生産量は増減を繰り返しながら推移しましたが、大規模な増産には至りませんでした。

2010年代を通じて、特に2012年には603トン、2017年にはわずか395トンと歴史的に低い数値を記録しました。この原因としては、気候条件の変動や蜜源植物の変化、または養蜂技術や農業政策の不足などが影響している可能性が考えられます。このような状況の中で、2019年から劇的な改善が見られ、2022年には3,275トンという例を見ない高い生産量を達成しました。この近年の劇的な増加は、政府支援策の導入や国際市場への輸出拡大、先進的な養蜂技術の採用、そして気候変動のプラスの影響が相まった結果と考えられます。

生産量増減には外的要因と国自身の政策的要因が複合的に作用していると推察されます。気候変動が頻発する現代において、特に蜂蜜の生産量は環境要因に敏感であり、高温や乾燥、また過剰な降雨は蜜源植物の供給に大きな影響を及ぼします。加えて、2020年以降の新型コロナウイルスの世界的拡大も、経済や物流に影響を与えましたが、これが養蜂資材や輸送網の改善にどのように直接関わっているのかはさらなる研究を要する分野です。

また、地政学的観点では、北マケドニアがあるバルカン半島は、EU加盟への取り組みや近隣諸国との経済協定の強化が進んでおり、蜂蜜輸出に関しても恩恵を受けたと考えられます。他方では、政治的不安定や地域間対立が商業活動や農村部の整備を停滞させる要因となる可能性も残っています。

これらを踏まえ、北マケドニアが持続可能な天然蜂蜜生産を維持・拡大していくためには、いくつかの具体的な対策が考えられます。まず、養蜂業者への技術支援や教育の普及を強化し、近代的な設備の導入を促進することで生産性をさらに高めることが重要です。また、蜜源植物の保護および拡大に向けた環境保護政策の充実が不可欠です。これに加え、地域外の輸出先市場を拡大するため、輸出規制の緩和とEU認証取得の支援が競争力向上に寄与するでしょう。

総じて、北マケドニアは近年の蜂蜜生産量の増加を単なる一時的な傾向に終わらせず、持続可能な成長へと転換する機会に直面しています。地元農業の活性化とともに、地域経済と輸出市場をつなぐ政策の強化が期待されます。持続可能性を重視した政策と、環境変化への柔軟な対応が成功の鍵となるでしょう。