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コスタリカの天然蜂蜜生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、コスタリカの天然蜂蜜生産量は、1961年の420トンから徐々に増加し、1980年代に1,500トンまで達し、その後も1990年代から2000年代にはおおむね安定した成長傾向を見せました。しかし、2013年以降急激に減少し、特に2022年には798トンと、この半世紀で最も低い水準にまで落ち込みました。このデータは、コスタリカ国内の蜜蜂産業と生態系に何らかの大きな変化が生じている可能性を示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 938
17.56% ↑
2022年 798
-19.33% ↓
2021年 989
-8.39% ↓
2020年 1,080
-8.49% ↓
2019年 1,180 -
2018年 1,180
4.61% ↑
2017年 1,128 -
2016年 1,128
26.88% ↑
2015年 889
19.01% ↑
2014年 747
-34.13% ↓
2013年 1,134
-12.63% ↓
2012年 1,298
-2.11% ↓
2011年 1,326
1.59% ↑
2010年 1,305
0.81% ↑
2009年 1,295
0.37% ↑
2008年 1,290
0.47% ↑
2007年 1,284
-1.23% ↓
2006年 1,300
2.49% ↑
2005年 1,268
0.61% ↑
2004年 1,261
-0.73% ↓
2003年 1,270
1.64% ↑
2002年 1,250
-0.83% ↓
2001年 1,260
1.33% ↑
2000年 1,243
0.17% ↑
1999年 1,241
0.12% ↑
1998年 1,240
-0.81% ↓
1997年 1,250
1.05% ↑
1996年 1,237
-0.24% ↓
1995年 1,240
2.48% ↑
1994年 1,210
2.54% ↑
1993年 1,180
2.61% ↑
1992年 1,150
4.55% ↑
1991年 1,100
7.32% ↑
1990年 1,025
2.5% ↑
1989年 1,000
7.07% ↑
1988年 934 -
1987年 934 -
1986年 934
-37.73% ↓
1985年 1,500
45.35% ↑
1984年 1,032
-31.2% ↓
1983年 1,500 -
1982年 1,500
84.05% ↑
1981年 815
1.88% ↑
1980年 800 -
1979年 800 -
1978年 800 -
1977年 800
14.29% ↑
1976年 700 -
1975年 700
16.67% ↑
1974年 600
33.33% ↑
1973年 450
50% ↑
1972年 300
33.33% ↑
1971年 225
-25% ↓
1970年 300
-11.24% ↓
1969年 338
-9.87% ↓
1968年 375
-10.71% ↓
1967年 420 -
1966年 420 -
1965年 420 -
1964年 420 -
1963年 420 -
1962年 420 -
1961年 420 -

コスタリカの天然蜂蜜生産量の推移を見ると、1960年代から80年代半ばにかけて、生産量が大幅に増加したことが分かります。1961年から1970年代半ばまでは400トン前後で推移していましたが、1975年以降に顕著な成長を見せ、1980年代には1,500トンというピークに達しました。当時の増加傾向は、蜜蜂飼育技術の向上や農業政策の支援、更には豊かな自然環境を活用した養蜂業の発展によるものと考えられます。

1990年代以降、コスタリカの蜂蜜生産量は1,200トンから1,300トンの間で安定しましたが、2013年以降、急激な減少が見られます。これは同国だけでなく、地球規模で問題となる気候変動や蜜蜂の減少(いわゆる蜂群崩壊症候群:蜜蜂の大量死現象)が影響している可能性があります。他にも、モノカルチャー農業(単一作物の大規模栽培)の進展や農薬の使用が、蜜蜂の生育や蜜源植物の多様性に悪影響を与えているとする研究も存在します。

2022年には生産量が798トンにまで落ち込みました。この減少は、気候変動による天候不順や大規模な養蜂場の減少、あるいは新型コロナウイルスによる農業労働力の低下など複合的な要因が関連している可能性が高いです。他国と比較すると、例えば蜂蜜のトップ生産国である中国は年間約45万トンを生産し同様の問題を抱えつつも生産量を増加させています。一方、日本では年間約2,000トンと、コスタリカに比べると小規模ですが安定的な生産が維持されています。

コスタリカにおけるこの減少傾向は、同国の生態系や農業経済全体に影響を及ぼす懸念があります。特に蜜蜂は自然界で植物の受粉において重要な役割を担っており、その減少は農作物収量や生物多様性の減少に直結します。この点から、早急な対策が必要です。

未来に向けた提言として、まず第一に、多様な生態系を守るため、蜜源植物を運用した持続可能な土地利用モデルの導入が必要です。例えば、森林再生プログラムや蜜源植物の植栽を支援する政策を展開することが挙げられます。また、養蜂農家に対する技術支援や農薬規制の強化など、長期的に蜜蜂の健康を守る政策も実施すべきです。さらに、影響を受けた農家を経済的に支援するため、蜂蜜産業を保護する法改正や融資制度の促進などが効果的です。

また、国際的な協力も重要です。コスタリカは生物多様性保全で評価されている国ですが、特に近隣諸国や国際機関との協調を強め、生態系保全の取り組みを拡大すべきです。他地域が直面している課題や成功事例を学び、自国の事例と合わせて適用することで、より柔軟かつ実効的な政策を形成できます。

結論として、コスタリカの天然蜂蜜生産量の減少は、生態系と経済の持続可能性にとって深刻な課題です。この動向を止めるには、自然環境に基づく政策と技術的な改革が不可欠であり、また国際協力がその解決を加速する鍵となるでしょう。コスタリカの養蜂業が再び持続可能な形で発展していくために、全方位的なアプローチが求められます。