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セネガルの天然蜂蜜生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月の最新データによれば、セネガルの天然蜂蜜生産量は、1961年の90トンから2022年には3,834トンに達し、大幅な増加を見せています。特に2000年以降、毎年の生産量が急激に増加しており、2005年から2022年の間の成長率は300%を超えています。この増加は、蜂蜜の需要の高まりや養蜂技術の改善、環境への配慮が相まっていると考えられます。一方で、1980年代には一時的に生産量が減少しており、気候変動や地域課題の影響が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,703
-3.42% ↓
2022年 3,834
1.1% ↑
2021年 3,792
1.11% ↑
2020年 3,751
0.84% ↑
2019年 3,720
5.05% ↑
2018年 3,541
-0.31% ↓
2017年 3,552
0.22% ↑
2016年 3,544
-9.78% ↓
2015年 3,928
16.78% ↑
2014年 3,363
0.7% ↑
2013年 3,340
6.13% ↑
2012年 3,147
-14.64% ↓
2011年 3,687
24.11% ↑
2010年 2,971
2.44% ↑
2009年 2,900
3.57% ↑
2008年 2,800
12% ↑
2007年 2,500
31.58% ↑
2006年 1,900
52.49% ↑
2005年 1,246
55.75% ↑
2004年 800
40.3% ↑
2003年 570
14.7% ↑
2002年 497
1.9% ↑
2001年 488
-2.42% ↓
2000年 500
8.7% ↑
1999年 460
53.33% ↑
1998年 300
56.25% ↑
1997年 192
16.36% ↑
1996年 165
-2.94% ↓
1995年 170
-5.56% ↓
1994年 180
11.11% ↑
1993年 162
33.88% ↑
1992年 121
6.14% ↑
1991年 114
7.55% ↑
1990年 106
-4.5% ↓
1989年 111
30.59% ↑
1988年 85
30.77% ↑
1987年 65
-29.35% ↓
1986年 92
148.65% ↑
1985年 37
-69.17% ↓
1984年 120
-36.84% ↓
1983年 190 -
1982年 190
5.56% ↑
1981年 180
5.88% ↑
1980年 170
6.25% ↑
1979年 160
5.26% ↑
1978年 152
5.56% ↑
1977年 144
20% ↑
1976年 120
25% ↑
1975年 96
28% ↑
1974年 75
-25% ↓
1973年 100 -
1972年 100 -
1971年 100
11.11% ↑
1970年 90 -
1969年 90 -
1968年 90 -
1967年 90 -
1966年 90 -
1965年 90 -
1964年 90 -
1963年 90 -
1962年 90 -
1961年 90 -

セネガルの天然蜂蜜生産量の推移データから、同国の養蜂産業が著しい成長を遂げた背景と、それを阻む課題、さらに解決の方向性を読み解くことができます。1961年から1990年代の初めまでは、生産量は年間90~190トンの範囲内でほぼ横ばい状態でしたが、1990年代後半から急速に拡大を見せます。この背景には、政府による持続可能な農林業への投資のほか、特に地元コミュニティでの養蜂技術の普及や、国際市場での蜂蜜需要の拡大が関連していると考えられます。

特に注目すべき局面は、2000年代から2010年代にかけての急速な生産量の増加です。この期間にセネガルの蜂蜜生産量は、年間数百トンから数千トンへと飛躍的に引き上げられました。この背景にある要因として、技術革新による養蜂の効率化、輸出向けの高品質蜂蜜の増産、さらにはSDGs(持続可能な開発目標)の文脈の中で森林再生や生物多様性保護への力点を置いた政策展開が考えられます。加えて、アフリカ諸国全般での都市化による高栄養価食品への需要増加も、生産拡大の一因となっています。

しかしながら、産業の急成長による限界や課題も明らかです。1980年代に生産量が突然低下した原因は、干ばつや砂漠化の進行による蜂蜜生産環境の悪化が推定されます。このような自然環境の変動は、その後もセネガルの主要課題となっています。特に気候変動の進行は、自然に依存する養蜂業にとって深刻なリスクを伴います。蜜源となる植物が減少する可能性や、異常気象により生産サイクルに悪影響を与える恐れが指摘されています。

また、安定した輸出市場の確保と高品質基準への対応も今後の課題です。セネガルの蜂蜜は、アフリカ域内での輸出競争が激化する中で、品質の向上や認証の取得を目指す必要があります。さらに、地域開発の遅れや農村部の貧困問題が解決されない限り、小規模農家や養蜂家が市場競争に取り残されるリスクもあります。そのため、持続可能な生産を保証するための政策整備が急務です。

このような状況を前提に、セネガルが今後目指すべき方向として、いくつか具体的な提案が挙げられます。一つ目は、生態学的な養蜂手法の普及を推進しつつ、地域レベルでの蜜源植物の植林計画を展開することです。このアプローチにより、長期的な環境保全と生産安定化を図ることができます。二つ目は、政府や国際機関が連携して、養蜂家を対象とした研修プログラムや低利融資の提供を通じて、産業振興を図る方法です。これにより、小規模農家でも革新的な技術を取り入れることが可能となります。三つ目は、国際市場へのアクセスを向上させるための輸出インフラの改善と、重量比で価値を生み出す品質規格の導入です。これらにより、付加価値の高い製品としてアフリカ域外市場での競争力を高めることが可能となります。

結論として、セネガルの天然蜂蜜生産量の増加は国の農林業政策を支える成功例といえます。しかし、その成功を恒久的なものとするためには、気候変動や資源管理といった課題への取り組みが不可欠です。また、単なる生産量の増加にとどまらず、品質の向上や付加価値の創出を推進することで、持続可能な養蜂業の構築が期待されます。今後、国際社会や地域の協力を基盤に、環境負荷を最小限に抑えた成長戦略を実施することが重要です。