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ネパールの天然蜂蜜生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ネパールの天然蜂蜜生産量は2004年には577トンでしたが、その後着実に増加し、2022年には5,168トンと過去最高を記録しました。この間、一部の年では生産量が停滞または減少する局面も見られましたが、全体としては大幅な成長を遂げています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,308
-16.64% ↓
2022年 5,168
27.23% ↑
2021年 4,062
7.04% ↑
2020年 3,795
-4.65% ↓
2019年 3,980 -
2018年 3,980
0.76% ↑
2017年 3,950
12.86% ↑
2016年 3,500
112.12% ↑
2015年 1,650
-19.51% ↓
2014年 2,050
26.15% ↑
2013年 1,625
8.33% ↑
2012年 1,500
9.89% ↑
2011年 1,365
24.09% ↑
2010年 1,100
29.41% ↑
2009年 850
-15% ↓
2008年 1,000
53.85% ↑
2007年 650 -
2006年 650
8.33% ↑
2005年 600
3.99% ↑
2004年 577 -

FAOのデータをもとにしたネパールの天然蜂蜜生産量の推移を分析すると、同国はこの20年で生産量を約9倍に増加させており、これは特に農業技術の進展や養蜂活動の拡大に大きく依存していることが示唆されます。2004年から2008年にかけては緩やかな増加傾向を見せましたが、2009年には850トンに減少して一時的な停滞を経験しました。一方、2010年以降は成長が一気に加速し、2011年と2016年には特に大幅な伸びを記録しています。その後も生産量は維持または増加を続け、2022年には5,168トンと最高値を達成しました。

この成長はネパールの豊かな自然環境や養蜂産業への投資、また地元需要や輸出需要の拡大が主因と考えられます。しかし、この間には一部の年で生産量が減少していることから、安定的な生産を妨げる要因、例えば気候変動や自然災害、地域衝突なども影響している可能性が高いと推測されます。特に2020年の減少(3,980トンから3,795トン)は新型コロナウイルス感染症の流行に起因する物流遅延や生産チェーンの混乱が主な原因として考えられます。このような要因が生産活動に直接的な影響を及ぼしていることは明白です。

また、他の国との比較も興味深いデータを提供しています。たとえば、世界最大の天然蜂蜜生産国である中国では年間生産量が約50万トン(2022年)に上る一方、日本ではわずか数千トンにとどまっています。この比較から、ネパールの5,168トンという数値は規模では劣るものの、地理・経済条件を考えれば突出した成果と言えます。他国においても、天然蜂蜜生産は経済発展、農業技術の革新、国際市場との関わり方に密接に関連しています。

しかし、この成長には課題も存在します。ネパールでは森林伐採や土地利用の変化、プラスチックごみによる自然環境の汚染が、蜂の生息地に悪影響を与えています。さらに、気候変動による降水量や気温の変化は養蜂業全体へもリスクをもたらしています。将来的にこのような影響を最小限に抑えるには、自然環境の保護と持続可能な養蜂技術の導入が不可欠です。また、農家への技術支援や教育プログラムを強化し、地域住民の蜂蜜生産に対する理解と関心を高める施策も重要です。

加えて、海外市場への輸出戦略を強化することで、ネパール産の天然蜂蜜を国際ブランドとして確立する可能性もあります。そのためには品質管理基準を国際基準に合わせる動きが求められます。さらに、近隣諸国、例えばインドや中国のような大規模消費市場と輸出枠組みを整備し、安定した貿易関係を築くことも有効です。

結論として、ネパールの天然蜂蜜生産量は今後も成長が期待されますが、それには気候変動や環境問題、国際競争という課題を克服する必要があります。今後、ネパール政府は地域の養蜂業者と連携しながら、持続可能な農業政策の推進や新たな市場開拓に向けた取り組みを強化することが鍵となるでしょう。気候リスクに対する適応策や輸出支援政策など、国や国際機関がより積極的に支援することで、ネパールの蜂蜜産業はさらに飛躍することが期待されます。