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パプアニューギニアの天然蜂蜜生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータをもとに、パプアニューギニアの天然蜂蜜生産量は、1961年から2022年にかけて徐々に増加し、1961年には50トンから始まり、2022年には154トンに達しました。特に1991年以降の急増と、2010年以降の生産量の安定が目立っています。一方で、ここ十数年間は生産量がほぼ横ばいの傾向を示しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 155
0.57% ↑
2022年 154
-0.14% ↓
2021年 154
-0.14% ↓
2020年 154
-0.29% ↓
2019年 155
-0.95% ↓
2018年 156
0.38% ↑
2017年 156
0.47% ↑
2016年 155
0.43% ↑
2015年 154
-0.52% ↓
2014年 155
1.19% ↑
2013年 153
2.17% ↑
2012年 150
-6.25% ↓
2011年 160
0.96% ↑
2010年 158
-0.23% ↓
2009年 159
-0.06% ↓
2008年 159
0.01% ↑
2007年 159
0.16% ↑
2006年 159
-0.83% ↓
2005年 160
2.46% ↑
2004年 156
1.46% ↑
2003年 154
1.65% ↑
2002年 151
0.95% ↑
2001年 150
7.14% ↑
2000年 140
3.76% ↑
1999年 135
3.79% ↑
1998年 130
2.1% ↑
1997年 127
1.86% ↑
1996年 125
1.79% ↑
1995年 123
2.33% ↑
1994年 120
0.45% ↑
1993年 119
-2.83% ↓
1992年 123
1.2% ↑
1991年 121
25.24% ↑
1990年 97
-3% ↓
1989年 100 -
1988年 100 -
1987年 100 -
1986年 100
11.11% ↑
1985年 90 -
1984年 90 -
1983年 90 -
1982年 90 -
1981年 90
12.5% ↑
1980年 80 -
1979年 80 -
1978年 80 -
1977年 80 -
1976年 80
14.29% ↑
1975年 70 -
1974年 70 -
1973年 70 -
1972年 70 -
1971年 70
16.67% ↑
1970年 60 -
1969年 60 -
1968年 60 -
1967年 60 -
1966年 60
20% ↑
1965年 50 -
1964年 50 -
1963年 50 -
1962年 50 -
1961年 50 -

パプアニューギニアの天然蜂蜜の生産量は、1961年に50トンという控えめな規模で始まりました。その後、1970年代から1980年代にかけて緩やかな増加傾向が続きました。1991年には121トンと飛躍的な増加を示し、それ以降も2000年まで着実に成長し、140トンに達しました。2001年には、初めて150トンに到達しましたが、それ以降の伸びは鈍化し、2010年代以降、特に2012年以降は150トン台で安定しています。2022年時点の生産量は154トンとなっています。

この全体的な増加傾向の背景には、1970年代以降の養蜂技術の改善や、輸出市場の需要の高まりが挙げられます。パプアニューギニアはその地理的特色として多様な生態系を持ち、特に森林地帯が広範囲にわたるため、養蜂や蜂蜜生産に適した条件を兼ね備えています。このような地理的利点が、天然蜂蜜産業の成長を支えてきたと考えられます。

しかし、2000年代後半からの生産量の伸び悩みには、いくつかの課題があります。例えば、気候変動による天候不順が蜂蜜の収穫に影響を与えた可能性があります。具体的には、異常気象による開花時期のばらつきや、ミツバチの減少が原因と考えられます。また、蜂蜜を生産するために必要な森林資源が伐採活動や農地開発の増加によって減少している可能性も、持続可能な生産の妨げとなっています。さらに、ミツバチが疫病や害虫にさらされるリスクが増大していることも考えられます。

他国との比較をすると、世界の主要蜂蜜生産国であるアメリカや中国では、年間の生産量が数百万トン単位に達しており、パプアニューギニアの154トンという規模は非常に小規模と言えます。こうした違いは、国内市場の規模の違いだけでなく、政府支援の有無、技術革新のスピード、流通システムの発展など、多様な要因に由来しています。日本では年間約3万トンほどの蜂蜜が消費されていますが、その多くが輸入に依存しているため、新興市場としてパプアニューギニア産蜂蜜に注目が集まる可能性もあります。

将来を見据えた課題として、まず養蜂に適した環境を守るために、公害のコントロールや森林伐採の規制を強化する必要があります。また、養蜂家への支援として、技術研修の提供や、ミツバチの健康を守るための農薬規制も推奨されるべきです。国際市場での競争力を高めるためには、高品質で有機的な蜂蜜を生産し、それをブランド化して輸出プロモーション活動を行うことも重要です。このような取り組みは、国内の雇用創出や農村地域の発展にも寄与するでしょう。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で経済全体に打撃を受けている中、蜂蜜産業も輸出の停滞や物流の混乱に影響された可能性があります。今後、このような外的要因に対応するためには、オンライン市場の活用や輸出先の多様化など、新規のビジネスモデルの確立が重要になると考えられます。

結論として、パプアニューギニアの蜂蜜生産量は着実に伸び続けており、地理的資源や文化的背景を活かした強みを持ちますが、持続的な成長には環境保護と技術向上が不可欠です。今後は国際協力や官民連携の推進を通じて、生産の効率性向上と新市場の開拓を目指すことが期待されます。