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ドミニカ共和国の天然蜂蜜生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、ドミニカ共和国の天然蜂蜜生産量は1961年から一貫して記録され、1980年代にかけて着実な増加を見せました。しかしその後、地域的・年ごとの変動が生じ、特に2003年には3,228トンと異常な値を記録した後、減少傾向が見られています。2021年には1,124トンを記録するも、直近の2022年に804トンと減少しており、これには複数の要因が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 752
-6.56% ↓
2022年 804
-28.44% ↓
2021年 1,124
1.45% ↑
2020年 1,108
0.25% ↑
2019年 1,105
16.32% ↑
2018年 950
3.03% ↑
2017年 922
-12.33% ↓
2016年 1,052
6.2% ↑
2015年 991
-34.77% ↓
2014年 1,518
-32.83% ↓
2013年 2,261
101.29% ↑
2012年 1,123
-37.61% ↓
2011年 1,800
118.21% ↑
2010年 825
37.49% ↑
2009年 600
-33.33% ↓
2008年 900
-7.69% ↓
2007年 975
-7.14% ↓
2006年 1,050
-12.5% ↓
2005年 1,200
-11.11% ↓
2004年 1,350
-58.18% ↓
2003年 3,228
106.26% ↑
2002年 1,565
12.51% ↑
2001年 1,391
3.42% ↑
2000年 1,345
-0.52% ↓
1999年 1,352
0.6% ↑
1998年 1,344
-0.07% ↓
1997年 1,345
0.6% ↑
1996年 1,337
1.98% ↑
1995年 1,311
-5.55% ↓
1994年 1,388
3.04% ↑
1993年 1,347
4.34% ↑
1992年 1,291
6.17% ↑
1991年 1,216
-1.22% ↓
1990年 1,231
-21.84% ↓
1989年 1,575
5.14% ↑
1988年 1,498
-10.94% ↓
1987年 1,682
15.76% ↑
1986年 1,453
1.61% ↑
1985年 1,430
-3.12% ↓
1984年 1,476
13.54% ↑
1983年 1,300 -
1982年 1,300 -
1981年 1,300 -
1980年 1,300 -
1979年 1,300
8.33% ↑
1978年 1,200
23.84% ↑
1977年 969
19.93% ↑
1976年 808
-16.96% ↓
1975年 973
-5.07% ↓
1974年 1,025
15.17% ↑
1973年 890
19.95% ↑
1972年 742
-0.93% ↓
1971年 749
-0.93% ↓
1970年 756
-0.92% ↓
1969年 763
29.76% ↑
1968年 588
0.86% ↑
1967年 583
1.39% ↑
1966年 575
-0.86% ↓
1965年 580 -
1964年 580
-3.01% ↓
1963年 598
3.1% ↑
1962年 580
3.2% ↑
1961年 562 -

ドミニカ共和国の天然蜂蜜生産の推移には、複数の特徴的な変動が見られます。1960年代から1970年代の初期にかけては、年間生産量は500トン台から600トン台と比較的安定した水準にありました。しかし、1973年以降、生産技術の改善および農業の発展に伴い急激に増加し、1978年には1,200トン、1980年代には1,476トンまで達しました。この頃、ドミニカ共和国は蜂蜜の輸出可能性が広がるなど、経済的な恩恵を享受しました。

1990年代には1,200トンから1,300トン前後で生産量が推移していましたが、季節的な気候変動や農業政策の変化もあり、若干の変動がありました。大きく異なるのは2003年で、この年には3,228トンという突出した生産量が記録されました。この数字については、異例の気象条件や一時的な蜂群の増加、またはデータ集計の特殊な要因と関連している可能性が考えられます。しかしその後、持続可能な生産体制が構築されなかったためか、再び減少に転じます。

2010年代以降のデータでは、市場需要や環境変化の影響も含む重要な課題が浮かび上がります。直近の2022年には804トンと、2021年の1,124トンから急激な落ち込みを記録しました。この背景には気候変動の影響や、農薬使用による蜂群への影響、あるいは花蜜源となる植物の減少が指摘されています。新型コロナウイルス感染症の流行による物流や労働力への制約もまた、間接的な影響を与えたと考えられます。

ドミニカ共和国の蜂蜜生産は、地域経済においても重要な役割を果たし、特に農業従事者の所得に寄与しています。しかし、生産量の減少が続く場合、貿易収益の低迷や農村部の経済基盤の弱体化が予想されます。この状況を改善するには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、気候に適応するための農業技術の普及や、農薬・化学物質の使用を制限して蜂群の保護を図ることが重要です。また、植林や花蜜源となる植物の生育促進のため、農村地域での植生保護活動を推進することが求められます。さらに、地域協力を強化し、近隣諸国と共同で蜂群育成や気候対策を進める枠組みを構築することも有効です。

国際的な観点からは、ドミニカ共和国の蜂蜜生産状況は他の主要生産国と比較してもその変動幅が大きく、安定性に欠けると言わざるを得ません。例えば、中国やインドは近年、急速な都市化と共に蜂蜜生産量を拡大しており、大規模な輸出市場を掌握しています。一方で、欧州諸国、特にフランスやドイツなども高品質な蜂蜜の生産を維持しつつ、自然環境の保護とのバランスを重視しています。ドミニカ共和国はその地理的利点を活かし、カリブ地域全体を巻き込んだ生産・貿易協力を強化することで競争力を高める可能性があります。

結論として、ドミニカ共和国の天然蜂蜜生産は、その地域社会に深く根差す重要な産業であり、適切な政策や地域協力の枠組みを通じて持続的な成長が期待されます。特に、環境保全と生産性向上という両方の観点を重視したアプローチが鍵となるでしょう。今後、政府主導での対策推進や国際機関との連携が重要となります。これは地元住民の生活環境の向上だけではなく、国全体の経済的な安定性にも貢献するものと期待されます。