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シリア・アラブ共和国の天然蜂蜜生産量推移(1961年~2023年)

シリア・アラブ共和国の天然蜂蜜の生産量は、1960年代から安定的に増加し、特に1990年代以降は飛躍的に成長しました。2000年代に入ると2000トンを超える水準に達し、2022年の生産量は3,532トンと記録的な高さに到達しました。しかし、内戦が続いていた一部の期間には減少傾向が見られ、特に2012年から2016年の間には伸び悩みが確認されました。最近では内戦後の復興や気候調整の努力により、再び生産量が増加に転じています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 3,846
8.89% ↑
2022年 3,532
8.59% ↑
2021年 3,253
11.83% ↑
2020年 2,909
10.64% ↑
2019年 2,629
2.82% ↑
2018年 2,557
3.34% ↑
2017年 2,474
-1.03% ↓
2016年 2,500 -
2015年 2,500
-0.66% ↓
2014年 2,517
-13.1% ↓
2013年 2,896
6.39% ↑
2012年 2,722
-10.22% ↓
2011年 3,032
2.23% ↑
2010年 2,966
7.04% ↑
2009年 2,771
12.55% ↑
2008年 2,462
6.17% ↑
2007年 2,319
-3.74% ↓
2006年 2,409
13.05% ↑
2005年 2,131
-0.42% ↓
2004年 2,140
16.3% ↑
2003年 1,840
-13.62% ↓
2002年 2,130
19.8% ↑
2001年 1,778
6.02% ↑
2000年 1,677
12.78% ↑
1999年 1,487
0.88% ↑
1998年 1,474
10.33% ↑
1997年 1,336
6.03% ↑
1996年 1,260
41.73% ↑
1995年 889
6.98% ↑
1994年 831
-5.35% ↓
1993年 878
-11.85% ↓
1992年 996
46.9% ↑
1991年 678
30.89% ↑
1990年 518
-15.77% ↓
1989年 615
-23.13% ↓
1988年 800
35.59% ↑
1987年 590
10.69% ↑
1986年 533
3.5% ↑
1985年 515
-24.6% ↓
1984年 683
-1.73% ↓
1983年 695
11.56% ↑
1982年 623
24.35% ↑
1981年 501
-27.18% ↓
1980年 688
91.64% ↑
1979年 359
-8.88% ↓
1978年 394
12.57% ↑
1977年 350
-7.89% ↓
1976年 380
36.2% ↑
1975年 279
-17.94% ↓
1974年 340
85.79% ↑
1973年 183
-36.68% ↓
1972年 289
3.58% ↑
1971年 279
39.5% ↑
1970年 200
-22.18% ↓
1969年 257
17.35% ↑
1968年 219
-7.98% ↓
1967年 238
40.83% ↑
1966年 169
-27.47% ↓
1965年 233
10.95% ↑
1964年 210
1.45% ↑
1963年 207
76.92% ↑
1962年 117
11.43% ↑
1961年 105 -

シリア・アラブ共和国における天然蜂蜜生産量の推移は、国の歴史や社会的な変化と密接に関連してきました。1961年には105トンに過ぎなかった生産量は、地中海性気候や農業技術の発展、ミツバチ飼育の普及により1970年代から2000年代初頭にかけて持続的に増加し、2002年には初めて2000トンを突破しました。この増加は、シリアが農業分野で技術革新や投資促進を図った結果であり、国内の需要拡大と輸出計画の両方に応えるものでした。

2000年代半ばには2400トンを超える生産量を達成し、2011年まで安定した増加が見られました。しかし、2011年に始まった内戦の影響により、農業インフラは大きな被害を受け、その結果、2012年から2016年の間では生産量が2500トン前後に停滞しました。この時期には養蜂家の減少、農地の荒廃、紛争地域での安全確保の困難などが主要な課題となりました。特に農業に依存する地方地域での生産能力低下が大きな影を落としたと言えます。

一方で、紛争の影響が若干和らいだ後の2020年以降、生産量は再び回復傾向を示しています。2022年には3,532トンに達し、過去最高を更新しました。この背景には、気候条件の回復や復興プロジェクトの進展に加え、国際機関やNGOの支援による養蜂業の復興計画が寄与していると考えられます。また、養蜂業がシリアの農業経済に占める重要性の再認識により、政府が特定地域でミツバチの健康管理や育種プログラムに力を入れたことも一因とされます。

ただし、今後の課題も明確です。シリアでは依然として内戦の爪痕が残り、農地や植生環境の整備不足が挙げられます。また、気候変動も長期的には懸念材料となります。環境の変化はミツバチの生存率に直接影響を及ぼし、生産量の不安定化を招く可能性があります。さらに、国内市場が復興する一方で、輸出ルートの確保や国際競争力の向上も重要なテーマとなるでしょう。

これに対する具体的な施策としては、まず気候変動に対応するための適切な農業技術の導入や、森林の保全を通じた蜜源植物の増加が挙げられます。また、養蜂の研究開発を進め、特にミツバチの病害や寄生虫に強い品種の開発に注力することが期待されます。同時に、国際機関や周辺国との協力を強化し、シリア産の高品質な天然蜂蜜を他国に輸出する仕組みを構築することも急務です。

最終的に、シリアの養蜂業は内戦後の復興の象徴的な存在となる可能性を秘めています。この業種が安定し成長を続ければ、農村部の雇用創出や国際市場での競争力向上の一助となるでしょう。国としては、持続可能な形で養蜂業を育成し、シリアの経済と自然環境の両立を目指すことが重要です。