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ベリーズの天然蜂蜜生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の2024年7月更新データによると、ベリーズの天然蜂蜜生産量は、1961年の150トンから開始し長期にわたり増減を繰り返してきました。1965年には220トンと比較的高い生産量を記録し、1985年には305トンと過去最高の出荷量を達成しました。しかしその後は減少傾向を示し、1990年代以降は頻繁に50トン未満に落ち込むなど、全体的には低迷しています。最近のデータでは、2018年以降、生産量は50トン前後で推移しており、2022年には61トンを記録しました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 63
3.28% ↑
2022年 61
8.93% ↑
2021年 56
24.44% ↑
2020年 45
-11.76% ↓
2019年 51
-5.56% ↓
2018年 54
42.11% ↑
2017年 38
15.15% ↑
2016年 33
-25.73% ↓
2015年 44
53.21% ↑
2014年 29
-35.56% ↓
2013年 45
-4.26% ↓
2012年 47
-20.34% ↓
2011年 59
47.5% ↑
2010年 40
-32.2% ↓
2009年 59
103.45% ↑
2008年 29
-39.58% ↓
2007年 48
-2.04% ↓
2006年 49
58.06% ↑
2005年 31
-18.42% ↓
2004年 38
-28.3% ↓
2003年 53
12.77% ↑
2002年 47
9.3% ↑
2001年 43
-44.87% ↓
2000年 78
-10.34% ↓
1999年 87
190% ↑
1998年 30
-50% ↓
1997年 60
-33.33% ↓
1996年 90
-7.22% ↓
1995年 97
34.72% ↑
1994年 72
30.91% ↑
1993年 55
-11.29% ↓
1992年 62
-1.59% ↓
1991年 63
-12.5% ↓
1990年 72
-22.58% ↓
1989年 93
-57.73% ↓
1988年 220
-24.4% ↓
1987年 291
-5.52% ↓
1986年 308
0.98% ↑
1985年 305
6.27% ↑
1984年 287
4.74% ↑
1983年 274
21.24% ↑
1982年 226
-6.61% ↓
1981年 242
-3.2% ↓
1980年 250
11.61% ↑
1979年 224
17.89% ↑
1978年 190
13.77% ↑
1977年 167
-43.77% ↓
1976年 297
120% ↑
1975年 135
-18.18% ↓
1974年 165
24.06% ↑
1973年 133
66.25% ↑
1972年 80
-23.08% ↓
1971年 104
112.24% ↑
1970年 49
-3.92% ↓
1969年 51
-75.94% ↓
1968年 212
9.84% ↑
1967年 193
26.97% ↑
1966年 152
-30.91% ↓
1965年 220
22.22% ↑
1964年 180 -
1963年 180
12.5% ↑
1962年 160
6.67% ↑
1961年 150 -

ベリーズの天然蜂蜜の生産量は、時代とともに大きく変動しており、この背景には複数の要因が関与していると考えられます。初期のデータである1960年代を見ると、徐々に生産量が増加しており、1965年には220トンまで達しました。この時期の増加は、養蜂技術の進展や持続的な養蜂の取り組みが功を奏した結果と考えられます。しかし、1969年に生産量が51トンに急落し、その後何年も不安定な状況が続きました。

1980年代になると、一時的に好転し、1985年には305トンという最大値を達成しています。この時期は、ベリーズの農業政策が養蜂産業に恩恵を与えた時代であり、また輸出市場の需要の高まりも影響した可能性があります。しかしながら、1988年以降、生産量は急激に下落し、1993年には55トンまで減少しました。この背景には、森林開発による蜜源植物の減少や、気候変動による生態系への影響があると考えられます。特に熱帯気候に位置するベリーズでは、干ばつや異常気象が生態系、そして蜜蜂の活動に深刻な影響を及ぼすことが指摘されています。

1990年代後半以降のデータでは、長期的な低迷が目立ちます。2008年にはわずか29トンという最低記録を報告しており、それ以降も50トン未満の水準が続いていますが、2022年には61トンまで回復を見せました。この小幅な回復は、近年ベリーズ政府および国際機関が取り組む持続可能な農業政策や蜜蜂保護プログラムの成果が反映された可能性があります。

ベリーズが抱える主な課題は、環境の持続性と市場競争力の確保にあります。まず第一に、気候変動対策が急務です。近年の気候変動により、高温や降水パターンの変化が蜜源植物に大きな影響を与えています。これを受け、森林保全活動の強化や蜜源植物の植樹プログラムをさらに拡大することが求められます。また、農薬の使用による蜜蜂への影響や、蜜蜂の天敵の増加についても対策を講じる必要があります。これらを克服するため、農業従事者への教育プログラムや政府の技術援助が重要な役割を果たすでしょう。

さらに、地政学的な観点からも、地域市場との連携を深めることがベリーズの養蜂産業の発展の鍵となります。例えば、近隣諸国であるグアテマラやメキシコとの経済連携を活かし、国際市場での競争力を強化することが有効です。特にメキシコは世界的な蜂蜜輸出国として知られており、この成功例を参考にすることができます。また、エコツーリズムを養蜂に組み込むなど多面的なアプローチも検討するべきといえます。

新型コロナウイルスのパンデミックにより、2020年代では国際的な物流の停滞が蜂蜜の流通に影響を及ぼしましたが、一方で地産地消の動きが注目されるきっかけにもなりました。ベリーズは、これを契機に地元産蜂蜜の品質向上やブランド戦略を構築するチャンスがあります。

今後の展望として、気候変動への適応策を取り入れること、養蜂分野への持続可能な投資を促進すること、地域間協力を深化させ国際市場において新たなポジションを築くことが期待されます。これらに取り組むことで、ベリーズの天然蜂蜜生産量は再び安定的な成長軌道に戻る可能性を秘めています。