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タイの天然蜂蜜生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによれば、タイの天然蜂蜜の生産量は1979年の100トンから2022年には11,795トンまで大幅に増加しています。特に1980年代半ばから後半にかけて急増し、その後も緩やかに成長を続けています。2005年以降は生産がより安定しつつも一貫した上昇傾向を維持しており、国内需要だけでなく、輸出需要への対応力も向上しています。

年度 生産量(トン)
2022年 11,795
2021年 11,662
2020年 11,290
2019年 10,890
2018年 10,369
2017年 11,500
2016年 10,000
2015年 9,577
2014年 9,076
2013年 8,500
2012年 8,250
2011年 8,000
2010年 7,747
2009年 7,800
2008年 7,800
2007年 7,800
2006年 4,000
2005年 5,000
2004年 3,800
2003年 3,700
2002年 3,700
2001年 3,500
2000年 3,500
1999年 3,000
1998年 3,000
1997年 3,000
1996年 3,000
1995年 2,700
1994年 2,600
1993年 2,500
1992年 2,500
1991年 2,423
1990年 2,300
1989年 1,700
1988年 1,700
1987年 1,100
1986年 1,300
1985年 500
1984年 400
1983年 200
1982年 200
1981年 150
1980年 100
1979年 100

タイの天然蜂蜜生産量の推移を見ますと、この数十年間で著しい成長を遂げていることがわかります。1979年にはわずか100トンと小規模な生産量で始まりましたが、1980年代には急激な増加を記録しました。特に1986年の1,300トンという急増は、政府による農業技術の普及支援や養蜂の近代化が功を奏した結果と考えられます。また、タイの温暖な気候や豊富な自然環境が蜂蜜生産に適していることが背景にあります。

2000年以降は、5,000トン(2005年)や7,800トン(2007年~2009年)といったように、生産量の増加が持続的かつ規模の大きいものとなっています。この成長は、アジア圏での蜂蜜需要の増加や、健康志向の高まりが国際市場において影響を及ぼしたことによるものです。一方、2010年以降も8,000~11,000トンの範囲で安定した成長を遂げており、とりわけ2022年の11,795トンという生産量は、過去最高値に達しています。

しかし、この成長の裏にはいくつかの課題も存在します。まず、気候変動による影響が挙げられます。蜂蜜生産は花蜜の供給量や気温、降水量といった環境条件に大きく左右されます。特に近年は異常気象や森林減少などの問題が、蜂蜜生産の長期的な持続性にリスクをもたらしています。また、大量生産を追求する中で養蜂技術の高度化は必須ですが、小規模養蜂家がその変化に追いつけず、生産性や品質のばらつきが生じることも懸念されます。

さらに、国際市場においては、他国との競争が激化しています。中国やインドも蜂蜜の主要生産国として台頭しており、その規模やブランドイメージによってタイ産蜂蜜が影を薄めるリスクがあります。例えば、中国の蜂蜜は世界市場のシェアの大半を占めており、そのコスト競争力がタイ産蜂蜜にとっては脅威になる可能性があります。

将来的には、いくつかの具体的な施策が重要だと考えられます。まず、持続可能な蜂蜜生産を実現するための環境保護策が不可欠です。森林の保全や花粉源の多様性を守ることで、帳尻合わせ的な生産拡大を避けつつ安定供給を目指すことができます。また、蜂蜜の付加価値を高めるために、有機認証や特産品化といったブランド戦略を強化することも効果が期待されます。これにより、高価格帯市場や輸出市場での競争力を強化することが可能です。

さらに、地域間での協力体制を構築し、養蜂技術や市場情報の共有を進めることも重要です。たとえば、ASEAN諸国との連携を強化することで、アジア圏全体の蜂蜜産業の発展を促進できます。また、政府や非政府組織(NGO)が主導するトレーニングプログラムによって、養蜂家の専門知識を向上させることも有効です。

結論として、タイの天然蜂蜜生産は長期的な成長を続けるポテンシャルを持っています。しかし、それを実現するには持続可能で環境に優しい生産体制を構築し、市場競争力を高めるための戦略的な取り組みが必要です。このような対策を講じることで、タイ産蜂蜜は国内外での需要をしっかりと捉え、持続的な産業発展を達成することができるでしょう。