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メキシコの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、メキシコの牛乳生産量は1961年の約232万トンから2023年の約1,373万トンと、長期にわたり着実な増加を遂げています。特に近年、2020年から2023年にかけては年平均約26万トンの増加が見られ、同国における乳製品産業の成長を示しています。しかしながら、これらのデータからは生産性だけではなく、国内需要、国際市場、環境面での課題も浮かび上がります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 13,735,387
1.76% ↑
2022年 13,497,999
1.97% ↑
2021年 13,237,209
2.29% ↑
2020年 12,940,611
2.34% ↑
2019年 12,644,141
2.25% ↑
2018年 12,365,863
2.02% ↑
2017年 12,120,583
1.37% ↑
2016年 11,956,652
1.88% ↑
2015年 11,736,503
2.38% ↑
2014年 11,463,511
1.5% ↑
2013年 11,294,601
0.78% ↑
2012年 11,207,296
1.46% ↑
2011年 11,046,017
0.45% ↑
2010年 10,996,992
1.21% ↑
2009年 10,865,509
-0.38% ↓
2008年 10,907,165
2.35% ↑
2007年 10,656,361
5.63% ↑
2006年 10,088,551
2.23% ↑
2005年 9,868,301
0.04% ↑
2004年 9,864,300
0.82% ↑
2003年 9,784,355
1.31% ↑
2002年 9,658,282
1.96% ↑
2001年 9,472,290
1.73% ↑
2000年 9,311,444
4.89% ↑
1999年 8,877,314
6.75% ↑
1998年 8,315,711
5.96% ↑
1997年 7,848,105
3.45% ↑
1996年 7,586,422
2.54% ↑
1995年 7,398,598
1.07% ↑
1994年 7,320,213
-1.13% ↓
1993年 7,404,078
6.29% ↑
1992年 6,966,210
3.71% ↑
1991年 6,717,115
9.37% ↑
1990年 6,141,545
6.81% ↑
1989年 5,750,200
-9.45% ↓
1988年 6,350,100
-0.67% ↓
1987年 6,393,210
-5.16% ↓
1986年 6,741,210
-6.02% ↓
1985年 7,172,900
4.56% ↑
1984年 6,860,400
-1.69% ↓
1983年 6,978,220
-2.15% ↓
1982年 7,131,320
0.98% ↑
1981年 7,062,110
1.7% ↑
1980年 6,943,790
1.5% ↑
1979年 6,841,160
2.03% ↑
1978年 6,704,880
5.32% ↑
1977年 6,366,370
4.63% ↑
1976年 6,084,568
1.7% ↑
1975年 5,983,050
4.65% ↑
1974年 5,716,950
6.22% ↑
1973年 5,382,100
6.31% ↑
1972年 5,062,650
24.46% ↑
1971年 4,067,700
3.8% ↑
1970年 3,918,700
4.5% ↑
1969年 3,750,000
4.75% ↑
1968年 3,580,000
2.87% ↑
1967年 3,480,000
6.26% ↑
1966年 3,275,000
38.02% ↑
1965年 2,372,798
3% ↑
1964年 2,303,687
3% ↑
1963年 2,236,590
-2.08% ↓
1962年 2,284,000
-1.85% ↓
1961年 2,327,000 -

メキシコの牛乳生産量の推移を振り返ると、最初の10年では年間200万トン台での横ばいが続きましたが、1966年以降急激に増加に転じ、その後一貫して成長を遂げています。特に1970年代から1990年代初頭にかけては、生産量の急速な増加が顕著で、この背景には国内乳製品需要の拡大、技術導入、そして農業政策の支援があったと考えられます。一方、1980年代後半には一時的な減少も観察され、この要因はメキシコ経済の変動や国際市場の影響に起因している可能性があります。

直近のデータでは、2020年以降も毎年の生産量増加傾向が続いています。この成長は、メキシコ国内の人口増加および都市部での乳製品消費の増加、さらには輸出市場拡大の期待が関連していると推測されます。一方で、こうした生産増加は資源の集約的な利用も伴いやすく、特に水資源管理や家畜飼料の持続可能性に対する懸念が高まっています。

また、この生産量増加は農家経済にとっては好影響として受け止められますが、小規模農家と大規模農産業間の格差を広げるリスクも考えられます。現在、多くの国々では農業の効率化が求められる一方で、小規模農業の維持を支援する政策も重要な課題となっています。

他国と比較すると、メキシコは牛乳生産量で世界の中でも上位に位置する一方、アメリカやドイツなどの乳製品先進国に比べて生産効率や品質面ではまだ向上の余地があります。例えば、アメリカでは技術的革新により1頭あたりの乳生産量が高い水準を維持している一方で、メキシコでは規模の違いが課題として残ります。こうした国際比較を踏まえ、メキシコでは生産効率向上のための技術普及や持続可能な農業政策のさらなる推進が求められるでしょう。

さらに、地球温暖化や気候変動が今後の牛乳生産に及ぼす影響も重要です。特にメキシコでは干ばつや水不足が地域的な課題であり、家畜の健康や生産量に直接的な影響を及ぼす可能性があります。これに対応するためには、雨水の効率的利用、飼料作物の栽培改良、地域間での協力体制構築が必要です。

また、メキシコの乳製品市場が安定成長を続けるためには輸出市場の拡大が鍵となります。特に、北米自由貿易協定(NAFTA、現在のUSMCA)の枠組み内での貿易関係を活用し、アメリカやカナダなどの近隣市場における需要拡大を念頭に置いた戦略が有効でしょう。その一方で、品質管理の向上や国際基準への適合が輸出促進のためには欠かせません。

最終的に、メキシコの牛乳生産の成長が国内外の乳製品市場での競争力と持続可能性の両立へとつながるには、農業技術の導入、農地改革、水・飼料の効率的利用、生産者間の協力体制強化など、多岐にわたる取り組みが必要です。このような包括的な対応が進められれば、メキシコの乳製品産業は国内経済の基盤をさらに強固なものとするだけでなく、地域全体の食料安全保障にも貢献できるでしょう。