国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年の最新データによると、メキシコのニンジン・カブ類の生産量は、1961年の44,000トンから長期的な増加傾向を示し、2023年には350,452トンに達しました。特に1990年代以降、生産量が大幅に増加し、一時は年間40万トンを超えた時期も見られます。一方で、近年は生産量がやや停滞気味であり、安定的な増加が課題となっています。
メキシコのニンジン・カブ類生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 350,452 |
0.44% ↑
|
2022年 | 348,900 |
1.16% ↑
|
2021年 | 344,890 |
-4.48% ↓
|
2020年 | 361,080 |
2.07% ↑
|
2019年 | 353,750 |
5.09% ↑
|
2018年 | 336,616 |
0.78% ↑
|
2017年 | 334,014 |
2.98% ↑
|
2016年 | 324,361 |
1.88% ↑
|
2015年 | 318,366 |
-3.84% ↓
|
2014年 | 331,069 |
-4.74% ↓
|
2013年 | 347,540 |
3.2% ↑
|
2012年 | 336,756 |
-16.79% ↓
|
2011年 | 404,726 |
16.82% ↑
|
2010年 | 346,466 |
-6% ↓
|
2009年 | 368,600 |
-4.52% ↓
|
2008年 | 386,040 |
-4.54% ↓
|
2007年 | 404,419 |
5.92% ↑
|
2006年 | 381,804 |
2.98% ↑
|
2005年 | 370,768 |
-3.82% ↓
|
2004年 | 385,502 |
13.76% ↑
|
2003年 | 338,865 |
-8.58% ↓
|
2002年 | 370,652 |
4.14% ↑
|
2001年 | 355,903 |
-5.56% ↓
|
2000年 | 376,847 |
3.71% ↑
|
1999年 | 363,368 |
13.58% ↑
|
1998年 | 319,926 |
4.29% ↑
|
1997年 | 306,753 |
39.75% ↑
|
1996年 | 219,500 |
9.98% ↑
|
1995年 | 199,588 |
4.04% ↑
|
1994年 | 191,845 |
-27.53% ↓
|
1993年 | 264,723 |
10.51% ↑
|
1992年 | 239,555 |
12.3% ↑
|
1991年 | 213,315 |
7.47% ↑
|
1990年 | 198,481 |
5.61% ↑
|
1989年 | 187,946 |
5.71% ↑
|
1988年 | 177,800 |
14.52% ↑
|
1987年 | 155,260 |
-5.99% ↓
|
1986年 | 165,158 |
53.56% ↑
|
1985年 | 107,550 |
-32.63% ↓
|
1984年 | 159,630 |
48.69% ↑
|
1983年 | 107,356 |
-3.82% ↓
|
1982年 | 111,623 |
93.43% ↑
|
1981年 | 57,707 |
-17.36% ↓
|
1980年 | 69,830 |
-35.21% ↓
|
1979年 | 107,773 |
31.13% ↑
|
1978年 | 82,189 |
11.54% ↑
|
1977年 | 73,687 |
-30.51% ↓
|
1976年 | 106,046 |
13.05% ↑
|
1975年 | 93,803 |
4.23% ↑
|
1974年 | 90,000 |
20% ↑
|
1973年 | 75,000 |
4.17% ↑
|
1972年 | 72,000 |
3.41% ↑
|
1971年 | 69,629 |
7.12% ↑
|
1970年 | 65,000 |
1.56% ↑
|
1969年 | 64,000 |
1.59% ↑
|
1968年 | 63,000 |
5% ↑
|
1967年 | 60,000 |
3.45% ↑
|
1966年 | 58,000 |
3.57% ↑
|
1965年 | 56,000 |
7.69% ↑
|
1964年 | 52,000 | - |
1963年 | 52,000 |
8.33% ↑
|
1962年 | 48,000 |
9.09% ↑
|
1961年 | 44,000 | - |
メキシコのニンジン・カブ類の生産量は、1961年には44,000トンという小規模なものでしたが、その後、農業技術の進歩や品種改良、農地拡大政策などを背景に着実に増加を見せてきました。1970年代以降は急激な成長期に入り、1980年代には一時的な変動も見られましたが、1990年代に入ると生産が本格的に拡大し、1999年には36万トンを超える大規模な生産に達しました。このような成長は、国内の需要増加に加え、輸出産業としてのポテンシャルが高まったことも要因とされています。
2000年代以降も生産量は全体として増加傾向を維持しましたが、2007年以降は年度ごとの変動が目立つようになりました。2023年時点では350,452トンと安定的な数値で推移していますが、2011年の年間40万トンを超えたピークには及んでいません。この停滞は気候変動や地元農家の課題、そして国際市場の変動による影響などが複合的に影響していると考えられます。
特に、メキシコは近年、干ばつや異常気象などの気候リスクに直面しており、農業における持続可能性が求められる場面が増えています。これに加えて、国際市場では中国やインドをはじめとするアジア諸国がニンジン・カブ類の主要な輸出国として台頭し、競争が激化しています。これらの国々では、効率的な生産体制を整え高品質かつ低コストの商品を提供することで市場シェアを拡大しています。
このような背景を考えると、メキシコが今後も安定的な生産と輸出競争力を維持するためには、下記のような対策が必要不可欠です。第一に、気候変動への適応を促進する農業技術を導入し、灌漑(かんがい)インフラの整備を進めることが重要です。第二に、高付加価値の農産物を開発し、差別化することで国際市場での競争力を向上させることが考えられます。たとえば、オーガニックや持続可能認証を取得することが、農産物を高価格で売り出す魅力的な方法です。第三に、政府主導で農家と輸出業者の連携を強化し、安定した輸出先を確保することが求められます。
他国との比較においても、メキシコは比較的高い生産量を誇っていますが、中国やインドに比べて大規模な農業機械化が遅れている点が課題です。この遅れを取り戻すためには、農家への資金援助や技術トレーニングが必要です。例えば、日本では高齢化する農家を支援するため、スマート農業技術が積極的に採用されていますが、これをメキシコに取り入れることで効率化とコスト削減を推進することができます。
また、地政学的な視点では、メキシコはアメリカ市場への輸出拠点として非常に有利な地理的条件を持っています。これを最大限活用するためには、アメリカとの貿易協定を維持し、輸送コストを抑えた物流網のさらなる整備が必要です。しかし、移民問題や安全保障の課題が両国の関係に影響を与えるリスクもあるため、両政府間の協調が欠かせません。
結論として、メキシコのニンジン・カブ類生産は長期的に見て大きな成長を遂げていますが、近年の停滞を打破するためには、技術革新と市場開拓、気候変動への適応といった具体的な施策が不可欠です。この取り組みを通じて、国内の農業の競争力を高め、国際的な農産物市場での地位を確立することが期待されています。国際連合をはじめとする国際機関や他国との連携により、これらの課題に取り組む体制を整えることが急務と言えます。