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メキシコの牛乳生産量推移(1961年~2022年)

国際連合食糧農業機関が発表した最新の2024年のデータによると、メキシコの牛乳生産量は、過去数十年間で大きな増加を示しています。1960年代初頭には年間約250万トンだった生産量が、2022年には約1,372万トンに到達しています。この間、経済成長や技術革新、需要の拡大が生産の増加を後押ししましたが、一部の年では環境要因や国際市場の変動に起因する減少が見られることも特徴です。

年度 生産量(トン) 増減率
2022年 13,728,428
1.95% ↑
2021年 13,465,292
2.28% ↑
2020年 13,165,485
2.32% ↑
2019年 12,867,172
2.2% ↑
2018年 12,590,565
1.99% ↑
2017年 12,344,771
1.37% ↑
2016年 12,178,273
1.86% ↑
2015年 11,956,403
2.37% ↑
2014年 11,679,344
1.5% ↑
2013年 11,506,829
0.74% ↑
2012年 11,422,529
1.38% ↑
2011年 11,266,721
0.44% ↑
2010年 11,217,289
1.16% ↑
2009年 11,088,470
-0.37% ↓
2008年 11,129,471
2.3% ↑
2007年 10,879,764
5.6% ↑
2006年 10,302,629
2.19% ↑
2005年 10,082,301
0.08% ↑
2004年 10,074,453
0.9% ↑
2003年 9,984,224
1.35% ↑
2002年 9,850,975
2.01% ↑
2001年 9,657,229
1.79% ↑
2000年 9,487,124
4.8% ↑
1999年 9,052,348
6.66% ↑
1998年 8,486,803
5.9% ↑
1997年 8,014,091
3.35% ↑
1996年 7,754,384
2.26% ↑
1995年 7,582,711
1% ↑
1994年 7,507,759
-1.23% ↓
1993年 7,601,012
6.18% ↑
1992年 7,158,739
3.87% ↑
1991年 6,892,186
9.99% ↑
1990年 6,265,936
6.62% ↑
1989年 5,876,850
-9.25% ↓
1988年 6,475,598
-1.01% ↓
1987年 6,541,971
-5.28% ↓
1986年 6,906,323
-7.6% ↓
1985年 7,474,350
4.68% ↑
1984年 7,140,525
-1.85% ↓
1983年 7,275,480
-2.22% ↓
1982年 7,440,860
1.03% ↑
1981年 7,365,140
1.84% ↑
1980年 7,231,890
1.56% ↑
1979年 7,121,110
2.05% ↑
1978年 6,978,240
5.16% ↑
1977年 6,636,120
4.6% ↑
1976年 6,344,238
1.74% ↑
1975年 6,235,710
4.55% ↑
1974年 5,964,150
6.05% ↑
1973年 5,623,930
6.12% ↑
1972年 5,299,590
23.74% ↑
1971年 4,282,700
4.14% ↑
1970年 4,112,528
4.63% ↑
1969年 3,930,460
5.07% ↑
1968年 3,740,754
2.59% ↑
1967年 3,646,482
6.09% ↑
1966年 3,437,000
35.81% ↑
1965年 2,530,798
3.02% ↑
1964年 2,456,687
1.33% ↑
1963年 2,424,475
-1.6% ↓
1962年 2,464,000
-1.52% ↓
1961年 2,502,000 -

メキシコにおける牛乳生産は、1961年の2,502,000トンから2022年の13,728,428トンへと大幅に増加しました。この期間およそ60年間に、生産量は5倍以上に拡大しています。この増加は、国内外での乳製品需要の高まり、それを支える生乳生産技術の向上、そして畜産業全体の効率化によるものと言えます。

1960年代後半から1970年代にかけてのデータは、比較的小規模な規模から拡大を開始した畜産業の発展を示しています。この時期、生産量は年間7%を超える平均成長率で拡大し、食糧安全保障の観点でも重要な役割を果たしました。しかし、一部の年では自然環境の変動や経済的な要因による落ち込みも観察されます。例えば、1986年から1989年の間、多くの年で生産が減少しており、この背景には経済危機や、大規模旱魃といった要因が影響している可能性があります。

1990年代以降、特に2000年代に入ってからの生産拡大は顕著であり、生乳の品質向上や地域ごとの競争力強化が要因に挙げられます。国が実施したインフラ整備プロジェクトや補助金制度の導入は多くの酪農者を支え、さらに技術革新に対応するための教育機関が生産効率を押し上げました。また、地域による酪農拠点の形成と地域間協力が進み、気候変動に対応した柔軟な生産方式の採用が行われました。

ただし、メキシコの酪農業が直面する課題は少なくありません。気候変動は水資源の不足や牧草地の減少などを引き起こし、さらなる効率化が求められています。また、国際的な競争圧力や輸出入関係においても、不利な価格環境が影響を与える可能性があります。例えば、アメリカを含む主要な乳製品輸出国と比較すると、メキシコの市場全体としての競争力はまだ高くない状況です。この背景には、生産コストの高さや品質管理体制のばらつきがあると考えられます。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響も酪農産業に一部の影響をもたらしました。パンデミックによる物流の停滞や需要の変動が、特に2020年に課題として浮き彫りになりました。ただし、他国と同様に、メキシコでは国内市場の需要増加が比較的早期に回復し、生産量も順調に推移しました。

将来的には、メキシコがこの持続的な生産拡大を維持するためには、具体的な対策が必要です。たとえば、気候変動への対応として、耐干ばつ性の高い牧草の導入や畜産における水使用効率向上を目指した技術開発が行われるべきです。さらに、輸出市場の開拓を進めるため、製品の品質向上とマーケティング戦略の充実も求められます。その一方で、国内の小規模農家を支援することで酪農業全体の底上げを図ることも重要です。

結論として、メキシコにおける牛乳生産は長期的な成長を続ける可能性が高いですが、環境的・経済的課題や国際市場との関係性を改善するための取り組みが必要です。政策面では、持続可能な資源管理と技術進歩を軸にした包括的な施策が鍵となるでしょう。国際協力を活用した技術移転や、乳製品産業のグローバル化を視野に入れた取り組みも、今後のメキシコの酪農業を支える重要な手段となるはずです。