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メキシコのナシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関の最新データによると、メキシコのナシ生産量は1961年に20,931トンであったのに対し、2023年までの約60年間で顕著な変動を経て、26,919トンになっています。生産量は1970年代から1980年代にかけてピークを迎えた一方、1990年代以降は減少傾向を示し、その後横ばい状態となっています。全体として、近年の生産量は1960年代〜1980年代の水準を下回る傾向が見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 26,919
2.04% ↑
2022年 26,380
2.08% ↑
2021年 25,843
-0.23% ↓
2020年 25,903
-0.29% ↓
2019年 25,979
-13.33% ↓
2018年 29,973
7.32% ↑
2017年 27,929
3.63% ↑
2016年 26,952
9.21% ↑
2015年 24,679
0.96% ↑
2014年 24,444
1.24% ↑
2013年 24,144
11.92% ↑
2012年 21,573
-14.26% ↓
2011年 25,160
0.7% ↑
2010年 24,986
0.46% ↑
2009年 24,871
17.85% ↑
2008年 21,104
-14.69% ↓
2007年 24,739
-17.42% ↓
2006年 29,958
-1.15% ↓
2005年 30,308
-7.8% ↓
2004年 32,872
13.38% ↑
2003年 28,993
-9.26% ↓
2002年 31,951
-3.08% ↓
2001年 32,968
5.36% ↑
2000年 31,290
-6.18% ↓
1999年 33,352
29.82% ↑
1998年 25,691
-34.57% ↓
1997年 39,262
2.56% ↑
1996年 38,283
28.67% ↑
1995年 29,753
-15.38% ↓
1994年 35,161
-14.17% ↓
1993年 40,967
4.36% ↑
1992年 39,256
-11.22% ↓
1991年 44,219
132% ↑
1990年 19,060
18.06% ↑
1989年 16,144
-55.04% ↓
1988年 35,908
-14.28% ↓
1987年 41,888
13.34% ↑
1986年 36,957
-37.99% ↓
1985年 59,595
35.94% ↑
1984年 43,838
-16.73% ↓
1983年 52,646
-1.54% ↓
1982年 53,470
19.51% ↑
1981年 44,742
-5.45% ↓
1980年 47,322
39.55% ↑
1979年 33,911
-15.81% ↓
1978年 40,277
6.25% ↑
1977年 37,908
-15.19% ↓
1976年 44,698
0.95% ↑
1975年 44,276
20.44% ↑
1974年 36,762
-6.52% ↓
1973年 39,327
2.89% ↑
1972年 38,222
3.91% ↑
1971年 36,784
21.27% ↑
1970年 30,332
-15.05% ↓
1969年 35,706
-3.56% ↓
1968年 37,023
5.12% ↑
1967年 35,219
-1.77% ↓
1966年 35,853
1.95% ↑
1965年 35,168
6.73% ↑
1964年 32,950
3.74% ↑
1963年 31,761
23.29% ↑
1962年 25,761
23.08% ↑
1961年 20,931 -

メキシコのナシ生産量推移を見ると、特に1970年代から1980年代にかけて生産量の増加が顕著であり、1985年には59,595トンというデータ中最高の生産量を記録しています。しかし、それ以降、1990年代に急激な減少が見られ、特に1989年には16,144トンという急落が観察されました。その後、生産量の回復が図られるものの、2000年代以降は概ね20,000〜30,000トン台で推移しており、生産量の横ばいが続いています。

この変動の背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、農業技術の変化とインフラ整備の進展があります。1960年代から1970年代にかけて、政府の農業政策や灌漑設備の拡充により、生産量が着実に増加しました。一方で、1980年代後半から1990年代以降、経済危機や土地利用の変化、他作物への転換による影響が、生産量の減少要因となった可能性があります。また、1990年代には地政学的な不安定性や自然災害の影響によって、農業全体の生産環境が悪化した特定の年も見受けられます。

さらに最近では、気候変動の影響がナシ生産に大きな影響を及ぼしていると考えられます。ナシは安定した気候条件を必要とするため、異常気象や気温の変動は生産量の低迷につながる可能性があります。加えて、輸送や貯蔵、国内外の市場での競争なども、生産量や農家の収益に影響を与えていると推測されます。

今後の課題として、まず気候変動への適応が挙げられます。耐乾燥性や高温耐性を有する品種の開発や、持続可能な農業技術の導入が必要です。さらに、国内農家への支援として、補助金の拡充や市場価格の安定化政策を講じることで、生産者が安定した収入を得られる環境の整備が重要です。また、他国、例えば日本やアメリカ、中国などと比較した場合、メキシコのナシの輸出競争力は相対的に劣っている可能性があります。輸出市場の開拓や輸出品質の向上に向けた支援も併せて行うべきでしょう。

さらに、地政学的背景からは、例えばメキシコの地理的な利点を活かし、ナフタ(北米自由貿易協定)の枠組みを利用してアメリカやカナダへの輸出を拡大することが挙げられます。一方で、これらの政策を進めるには十分な投資やインフラの整備が不可欠であり、国際機関からの資金援助や技術協力が重要な役割を果たします。

結論として、メキシコのナシ生産は過去のピーク時に比べて伸び悩む状態が続いていますが、適切な支援策や持続可能な農業政策の導入によって、生産の安定化や市場競争力の向上が可能です。特に、気候変動への適応策、農民支援、輸出拡大を含む包括的なアプローチが鍵となるでしょう。地域や国単位での取り組みだけではなく、国際社会との協調も視野に入れるべきです。