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メキシコのアーモンド生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が提供する最新データによれば、メキシコのアーモンド生産量は1980年代に大きな振れ幅を示した後、2000年代以降は非常に安定した水準に落ち着いています。近年では、2014年以降2023年までの10年間で、生産量はほぼ横ばいの47~49トンで推移しています。一方、この数値は他の主要生産国と比較すると著しく低い水準にあります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 48
-0.17% ↓
2022年 48
0.17% ↑
2021年 48
0.17% ↑
2020年 48
-0.83% ↓
2019年 48
1.18% ↑
2018年 47
0.19% ↑
2017年 47
-3.8% ↓
2016年 49
7.58% ↑
2015年 46
-2.84% ↓
2014年 47
-14.09% ↓
2013年 55
-1.74% ↓
2012年 56
-1.71% ↓
2011年 57
-1.66% ↓
2010年 58
-1.65% ↓
2009年 59
-1.63% ↓
2008年 60
-1.6% ↓
2007年 61
4.03% ↑
2006年 58
3.74% ↑
2005年 56
-6.32% ↓
2004年 60
-26.83% ↓
2003年 82
7.89% ↑
2002年 76
33.33% ↑
2001年 57
-41.24% ↓
2000年 97
31.08% ↑
1999年 74
-51.32% ↓
1998年 152
39.45% ↑
1997年 109
-3.54% ↓
1996年 113
22.83% ↑
1995年 92
-10.68% ↓
1994年 103
-71.39% ↓
1993年 360
172.73% ↑
1992年 132
10.92% ↑
1991年 119
-71.05% ↓
1990年 411
-1.44% ↓
1989年 417
0.24% ↑
1988年 416
2500% ↑
1987年 16
-96.79% ↓
1986年 499
918.37% ↑
1985年 49
250% ↑
1984年 14
-99.02% ↓
1983年 1,432
11.79% ↑
1982年 1,281
-15.28% ↓
1981年 1,512
47.22% ↑
1980年 1,027 -

メキシコのアーモンド生産量の歴史を通じてデータを観察すると、1980年代における急激な変動が目立ちます。特に1984年には14トンと大きく低下し、翌年には49トンと回復の兆しを見せました。しかし、それ以降も不安定な状況が続き、1990年代後半以降は年平均で100トン未満の低水準にとどまっています。こうした低調な生産量は2000年代に入るとさらに顕著になり、ここ数十年は50トン前後でほぼ横ばいの状態です。

このデータから考えられる理由として、メキシコの農業における経済的、地理的な課題の影響が挙げられます。アーモンドの栽培には適切な気候条件と灌漑が不可欠で、主に地中海性気候が栽培に適しています。メキシコは地域によっては乾燥地帯や非常に高温な地域が広がっており、アーモンドの理想的な栽培条件を満たす地域が限られています。また、灌漑技術や農業テクノロジーの不足、さらに主要生産地における気候変動の影響も無視できません。

これを他国と比較すると、アメリカやスペインなどのアーモンド生産大国は近年も大きな生産量を維持または拡大しています。例えば、アメリカのカリフォルニア州は、近代的な灌漑設備や精密農業技術を導入しており、年間100万トンを超える圧倒的な生産量を誇ります。この背景には、農業への大規模な投資と研究開発が大きく寄与しています。一方、メキシコにおいては、アーモンドは主要作物ではなく、小規模な農業が主体であることも生産量の低迷につながっていると考えられます。

また、地政学的リスクも影響しています。メキシコは内陸部を中心に乾燥化が深刻化しており、水資源の争奪が進む中で、灌漑用水の確保が困難になりつつあります。このため、アーモンドのように水を多く必要とする作物の優先順位が低くなっている可能性があります。

将来的には、以下のような具体的な対策が求められます。まず、特定地域での灌漑設備の近代化と、水効率の高い灌漑技術の普及が必要です。これには、政府や国際援助機関による資金支援が不可欠です。さらに、気候変動への適応を考慮したアーモンドの栽培手法の研究開発も進めるべきです。耐旱性品種の開発や普及は、この点で重要なカギとなるでしょう。

また、輸出市場の強化と地域間協力も推進すべきです。現在、メキシコはアーモンド生産において主要輸出国の地位を占めていませんが、国内外の需要を見越した農業政策や市場整備を行うことで、生産者のモチベーション向上と技術導入の促進につながる可能性があります。

データが示唆するように、1980年代の乱高下から21世紀の安定期へと移行したことはポジティブな側面もありますが、それは同時に生産拡大の機会を十分に活かしきれていないことの裏返しでもあります。今後、気候変動や地政学的リスクを加味した新たな戦略が急務です。国際的な協力や政策の転換を通じて、この状況を打開する手立てを検討するべきです。これにより、メキシコは次世代の農業発展に向けた一歩を踏み出せるでしょう。

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