国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点の最新データによると、メキシコのエンドウ豆(生)の生産量は、2022年に73,539トンに達しており、過去60年で最も高い生産水準のひとつでした。しかし、2023年には58,692トンとやや減少しました。長期的には、1961年からのデータを見ると、1960年代の平均12,000トン台から、2000年代には40,000~60,000トン台まで増加し、近年はやや変動がありながらも全体として増加傾向にあります。
メキシコのエンドウ豆(生)生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 58,692 |
-20.19% ↓
|
2022年 | 73,539 |
5.8% ↑
|
2021年 | 69,511 |
-0.78% ↓
|
2020年 | 70,059 |
15.81% ↑
|
2019年 | 60,493 |
-4.51% ↓
|
2018年 | 63,352 |
-0.91% ↓
|
2017年 | 63,934 |
5.05% ↑
|
2016年 | 60,863 |
-8.35% ↓
|
2015年 | 66,409 |
3.46% ↑
|
2014年 | 64,188 |
11.67% ↑
|
2013年 | 57,480 |
-5.24% ↓
|
2012年 | 60,656 |
28.84% ↑
|
2011年 | 47,077 |
-9.54% ↓
|
2010年 | 52,043 |
8.35% ↑
|
2009年 | 48,032 |
-8.31% ↓
|
2008年 | 52,383 |
0.32% ↑
|
2007年 | 52,214 |
-19.47% ↓
|
2006年 | 64,839 |
21.12% ↑
|
2005年 | 53,535 |
-0.96% ↓
|
2004年 | 54,053 |
21.08% ↑
|
2003年 | 44,644 |
1.3% ↑
|
2002年 | 44,072 |
-8.94% ↓
|
2001年 | 48,400 |
3.19% ↑
|
2000年 | 46,905 |
-8.59% ↓
|
1999年 | 51,310 |
26.36% ↑
|
1998年 | 40,606 |
-11.32% ↓
|
1997年 | 45,789 |
-19.34% ↓
|
1996年 | 56,765 |
42.29% ↑
|
1995年 | 39,894 |
11.64% ↑
|
1994年 | 35,734 |
-1.46% ↓
|
1993年 | 36,265 |
-19.87% ↓
|
1992年 | 45,258 |
13.32% ↑
|
1991年 | 39,939 |
-12.05% ↓
|
1990年 | 45,413 |
-9% ↓
|
1989年 | 49,903 |
17.27% ↑
|
1988年 | 42,555 |
-8.21% ↓
|
1987年 | 46,359 |
10.46% ↑
|
1986年 | 41,968 |
-3.21% ↓
|
1985年 | 43,361 |
-4.27% ↓
|
1984年 | 45,295 |
11.67% ↑
|
1983年 | 40,561 |
-27.23% ↓
|
1982年 | 55,738 |
-30.1% ↓
|
1981年 | 79,737 |
37.5% ↑
|
1980年 | 57,990 |
80.21% ↑
|
1979年 | 32,179 |
-45.09% ↓
|
1978年 | 58,603 |
-3.11% ↓
|
1977年 | 60,484 |
6.54% ↑
|
1976年 | 56,772 |
0.45% ↑
|
1975年 | 56,515 |
-3.69% ↓
|
1974年 | 58,683 |
22.11% ↑
|
1973年 | 48,057 |
4.12% ↑
|
1972年 | 46,154 |
29.43% ↑
|
1971年 | 35,660 |
15.98% ↑
|
1970年 | 30,748 |
55.14% ↑
|
1969年 | 19,819 |
-9.27% ↓
|
1968年 | 21,845 |
-4.81% ↓
|
1967年 | 22,949 |
55.21% ↑
|
1966年 | 14,786 |
3.38% ↑
|
1965年 | 14,303 |
1.81% ↑
|
1964年 | 14,049 |
13.77% ↑
|
1963年 | 12,349 |
-3.46% ↓
|
1962年 | 12,791 |
4.35% ↑
|
1961年 | 12,258 | - |
メキシコにおけるエンドウ豆(生)の生産は、この数十年で大きな成長を遂げてきた農業部門の一つです。1961年の12,258トンという初期の生産量から、2022年には73,539トンというピークに達するなど、約6倍に増加しました。この増加の背景には、農業技術の向上や灌漑設備の整備、エンドウ豆の輸出市場の成長が挙げられます。栄養価が高く需要が安定した作物であるエンドウ豆は、主に国内消費のみならず、国際市場でも取引されており、栄養と経済の両面で重要な役割を果たしています。
生産量を年別に見ても顕著な伸びが確認できますが、一方で大きな年次変動も存在します。例えば、1973年から1974年にかけて生産量が46,154トンから58,683トンと急増した時期や、1979年に32,179トンまで急激に低下した時期があります。こうした変動は、降水量不足や予期せぬ自然災害、その他の地政学的リスクによる可能性が考えられます。最近では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が、労働力不足や物流への影響を通じて生産状況に変動を与えた可能性も否定できません。
2022年に記録された73,539トンという生産量は、最新データでの最高値であり、メキシコの農業の生産能力を示す代表例でもあります。しかし2023年には58,692トンと前年から約15,000トン減少しました。このような変動は、気候変動による旱魃や豪雨、肥料価格の高騰、あるいは国際市場の需要変化などが複合的に影響している可能性が高いと考えられます。このため、持続可能な生産方法を確立し、気候変動への適応策を講じる必要性が高まっています。
さらにメキシコを取り巻く地政学的背景も見逃せません。メキシコは農産物として重要な輸出先の一つであるアメリカ合衆国に近接しており、貿易交渉や政策の変化がエンドウ豆市場に直接的な影響を与える可能性があります。たとえば、関税の変更や輸出入規制、さらにはUSMCA(米墨加協定)に基づく地域的な経済協力の変化が生産及び輸出にどのような影響を与えるか注視する必要があります。
未来への課題としては、持続的な生産増加を達成するための灌漑インフラ整備や、乾燥地にも耐えられるエンドウ豆品種の開発が挙げられます。また、現地の小規模農家への生産技術向上支援や、先進的な農業技術(例:ドローンやAIによる農業管理)の導入も効果的な手段となるでしょう。加えて、農産物の価格安定と市場開拓のために国内外の政府間協力をさらに強化し、輸出市場の多様化を図ることが、農業セクター全体の安定に寄与すると考えられます。
以上を踏まえると、メキシコのエンドウ豆生産は大きな可能性を秘めているものの、気候変動や経済的リスクへの対応策が急務です。国際コミュニティと協調して、持続可能な成長を目指す政策と地域支援を進めていくことが重要です。