国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、2023年におけるメキシコのオクラ生産量は20,596トンとなり、前年の39,410トンから大きく減少しました。過去数十年間、メキシコのオクラ生産量は大きな変動を見せており、特に1980年や2000年には生産量のピークを迎えていますが、その後は安定せず、不安定な推移が続いています。この背景には、天候や市場需要の変化、農業政策の課題など複数の要因が絡んでいると考えられます。
メキシコのオクラ生産量推移(1961年~2023年)
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
|---|---|---|
| 2023年 | 20,596 |
-47.74% ↓
|
| 2022年 | 39,410 |
1.68% ↑
|
| 2021年 | 38,757 |
-3.64% ↓
|
| 2020年 | 40,223 |
-4.7% ↓
|
| 2019年 | 42,207 |
27.34% ↑
|
| 2018年 | 33,145 |
0.05% ↑
|
| 2017年 | 33,130 |
11.92% ↑
|
| 2016年 | 29,602 |
205.99% ↑
|
| 2015年 | 9,674 |
-56.12% ↓
|
| 2014年 | 22,045 |
61.04% ↑
|
| 2013年 | 13,689 |
-47.77% ↓
|
| 2012年 | 26,210 |
-1.71% ↓
|
| 2011年 | 26,666 |
44.55% ↑
|
| 2010年 | 18,447 |
-35.66% ↓
|
| 2009年 | 28,671 |
-19.71% ↓
|
| 2008年 | 35,711 |
-0.65% ↓
|
| 2007年 | 35,946 |
-4.47% ↓
|
| 2006年 | 37,628 |
98.67% ↑
|
| 2005年 | 18,940 |
-29.23% ↓
|
| 2004年 | 26,761 |
9.37% ↑
|
| 2003年 | 24,468 |
-26.86% ↓
|
| 2002年 | 33,452 |
53.08% ↑
|
| 2001年 | 21,853 |
-48.15% ↓
|
| 2000年 | 42,143 |
34.39% ↑
|
| 1999年 | 31,359 |
-5.79% ↓
|
| 1998年 | 33,286 |
13.49% ↑
|
| 1997年 | 29,329 |
127.13% ↑
|
| 1996年 | 12,913 |
-52.67% ↓
|
| 1995年 | 27,281 |
-11.49% ↓
|
| 1994年 | 30,824 |
75.56% ↑
|
| 1993年 | 17,558 |
-48.53% ↓
|
| 1992年 | 34,116 |
8.11% ↑
|
| 1991年 | 31,558 |
30.4% ↑
|
| 1990年 | 24,200 |
34.44% ↑
|
| 1989年 | 18,000 |
-36.22% ↓
|
| 1988年 | 28,224 |
-4.09% ↓
|
| 1987年 | 29,429 |
28.19% ↑
|
| 1986年 | 22,958 |
-24.96% ↓
|
| 1985年 | 30,594 |
30.67% ↑
|
| 1984年 | 23,414 |
56.59% ↑
|
| 1983年 | 14,952 |
-58.12% ↓
|
| 1982年 | 35,699 |
86.84% ↑
|
| 1981年 | 19,107 |
-41.96% ↓
|
| 1980年 | 32,918 |
311.48% ↑
|
| 1979年 | 8,000 |
166.67% ↑
|
| 1978年 | 3,000 |
50% ↑
|
| 1977年 | 2,000 | - |
| 1976年 | 2,000 | - |
| 1975年 | 2,000 |
33.33% ↑
|
| 1974年 | 1,500 |
-66.67% ↓
|
| 1973年 | 4,500 |
125% ↑
|
| 1972年 | 2,000 |
-9.09% ↓
|
| 1971年 | 2,200 |
4.76% ↑
|
| 1970年 | 2,100 |
5% ↑
|
| 1969年 | 2,000 |
25% ↑
|
| 1968年 | 1,600 |
6.67% ↑
|
| 1967年 | 1,500 |
7.14% ↑
|
| 1966年 | 1,400 |
7.69% ↑
|
| 1965年 | 1,300 |
8.33% ↑
|
| 1964年 | 1,200 |
20% ↑
|
| 1963年 | 1,000 | - |
| 1962年 | 1,000 | - |
| 1961年 | 1,000 | - |
メキシコのオクラ生産量の推移を見ると、1960年代初頭は1,000トン程度と生産規模が小さかったものの、1970年代以降、徐々に拡大していきました。特筆すべきは1980年で、32,918トンという飛躍的な上昇を記録しました。その後も1980年代から1990年代前半にかけては多くの年で2万~3万トン台を継続しましたが、生産量は安定せず、特定の年に大きな落ち込みが見られるのが特徴です。2000年には42,143トンという高い生産量を記録しましたが、2015年には一時的な最低値となる9,674トンにまで減少しています。
こうした生産量の変動には、まず天候条件の影響が大きいと考えられます。メキシコはサボテンの生える乾燥気候地域から湿潤な熱帯地域まで気候が多様な国ですが、高温や旱魃などの気候変動は農作物、特にオクラのような一年生植物に大きな影響を及ぼします。また、市場需要も影響要因の一つです。オクラは主に国内市場向けに栽培されていますが、他国からの輸入品や現地での好みの変化による需要の増減が生産者の意欲に影響を与える可能性もあります。
さらに、メキシコの農業政策やインフラがオクラ生産量に寄与する点も見逃せません。生産技術の普及や灌漑施設の整備が十分でない地域では、気候条件や病害虫への耐性が低く、収量が大きく変動しやすい状況が続いています。また、特定の地域衝突や地政学的な要因が農業活動に悪影響を与える場合もあります。
2023年に生産量が前年より大幅に減少した原因は、自然災害や新型コロナウイルス感染症などによる労働力不足が考えられます。また、気候変動による予測不能な降雨パターンや、農地の劣化が一部の地域で問題になっている点も影響しています。これに対し、農業労働力の安定確保や、収穫量を最大化するための効率的な灌漑技術の導入が大きな課題となっています。
メキシコがオクラという特定作物における生産量を安定的に保つにはいくつかの対策が必要です。まず、農業従事者や小規模生産者に対する技術支援を強化することで、収量を向上させる施策が有効です。また、自然災害対策として、乾燥地でも作物が育つ土壌改良技術や、耐乾性に優れた品種の開発を進めることも考えられます。さらに、地域ごとに連携して農業資源を効率的に配分する枠組みを作り、生産過程全体での効率化を目指すべきです。これに加え、国際市場への輸出量を増やすための貿易協定強化や、マーケティング戦略の立案も重要な政策の一つといえるでしょう。
結論として、メキシコのオクラ生産量の推移には多くの課題が存在するものの、適切な政策や技術支援があれば、その生産規模を再び安定させることが可能です。同時に、気候変動や市場競争など、外的なリスクに対応するためには、長期的なビジョンを持った農業政策の展開が必要です。国際機関や隣接諸国と協力しながら、持続可能な農業を目指すことが求められます。