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メキシコの柿生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国連食糧農業機関)が発表した最新データによると、メキシコの柿生産量は1980年代から比較的安定した推移を見せていましたが、近年は大幅な減少傾向が見られます。1981年には52トンだった生産量は、1997年に435トンでピークを迎えました。しかし、その後は年々変動が大きくなり、特に2016年以降の生産量は50トン台まで激減しています。2020年と2021年には一時的に復調が見られるものの、2023年は59トンと再び低迷しています。

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年度 生産量(トン) 増減率
2023年 59
-74.71% ↓
2022年 234
-1.42% ↓
2021年 237
19.86% ↑
2020年 198
266.43% ↑
2019年 54 -
2018年 54
2.27% ↑
2017年 53
3.53% ↑
2016年 51
-63.82% ↓
2015年 141
-19.59% ↓
2014年 175
-2.07% ↓
2013年 179
-26.64% ↓
2012年 244
9.42% ↑
2011年 223
-38.57% ↓
2010年 363
-11.89% ↓
2009年 412
13.81% ↑
2008年 362
-18.1% ↓
2007年 442
54.01% ↑
2006年 287
-22.22% ↓
2005年 369
34.18% ↑
2004年 275
-20.75% ↓
2003年 347
80.73% ↑
2002年 192
-52.24% ↓
2001年 402
62.75% ↑
2000年 247
-37.94% ↓
1999年 398
-9.55% ↓
1998年 440
1.15% ↑
1997年 435
17.89% ↑
1996年 369
34.67% ↑
1995年 274
-12.74% ↓
1994年 314
-6.55% ↓
1993年 336
14.29% ↑
1992年 294
147.06% ↑
1991年 119
-56.73% ↓
1990年 275
-14.06% ↓
1989年 320
35.02% ↑
1988年 237
17.91% ↑
1987年 201
-50.25% ↓
1986年 404
58.43% ↑
1985年 255
-15% ↓
1984年 300
138.1% ↑
1983年 126
-10% ↓
1982年 140
169.23% ↑
1981年 52 -

メキシコの柿生産の動向を見ると、1980年代後半から1990年代後半にかけては比較的安定的かつ右肩上がりの増加が見られました。この時期には、国内外での柿の需要が増し、生産活動も盛んだったと考えられます。特に1997年には435トンを記録し、これはメキシコにおける柿の生産がピーク期にあったことを示しています。ところが2000年代に入ると、生産量は大きく増減を繰り返し、安定性を欠く状態が続いています。

2016年以降、メキシコの柿生産量は大幅に減少して50トン台に落ち込みました。この落ち込みの原因としては、気候変動の影響や栽培に導入される技術革新の遅れが挙げられます。例えば、柿の栽培には適度な寒暖の差が必要ですが、近年の地球温暖化に伴い、気温が不安定であるため、開花や結実に必要な条件が整わない可能性があります。また、灌漑施設や農業の専門知識を持つ農業従事者の不足も、収穫量の低下に拍車を掛けたと考えられます。

さらに、新型コロナウイルスのパンデミックも柿の生産と流通に影響を与えた可能性があります。パンデミックの期間中、労働力不足やサプライチェーンの問題により農業生産が滞った地域が多く報告されており、このような影響がメキシコの柿生産にも裏付けられる状況と言えそうです。

2020年以降、生産量は一時的に回復し、198トン(2020年)、237トン(2021年)と増加が見られました。これは、生産者が政策支援や改良技術の導入などにより損失を補う努力をした結果と推測されます。しかし、その回復も一時的で、2023年には59トンまで再度落ち込んでいます。このことから、現在の生産水準はピーク時の1997年と比較すると約13%程度までに落ち込んでおり、状況の深刻さが見て取れます。

地政学的な観点からは、メキシコの農業には地域的な紛争や犯罪組織の活動が影響する場合もあります。特に農村地域では安全性の問題が経済活動の不安定要因になり、これが農業生産の衰退に影響を及ぼす可能性があるでしょう。また、近年の自然災害もメキシコ農業に大きな課題を課しています。台風や豪雨、さらにそれらによる土壌流出などが農地の質を低下させ、農業収穫量に悪影響を及ぼしています。

その一方で、将来への対策として、持続可能な農業への転換が鍵となるでしょう。例えば、気候変動に対応した品種改良の推進や、効率的な灌漑技術の導入を進めることで、自然環境の変化に強い柿の生産体制を構築することが重要です。また、農業従事者への技術訓練や支援を強化し、特に若い世代に農業技術への関心を持たせる施策も必要でしょう。さらに、輸出市場を開拓してメキシコ産柿のブランド価値を高めることで、国際市場での競争力を強化することも一つの方策として挙げられます。

結論として、メキシコの柿生産は過去数十年で波間のある推移を見せつつも、近年の低迷が示す通り大きな課題を抱えています。しかし、そこには気候変動への対応や技術革新の遅れ、さらには社会的、地政学的リスクという要因が絡み合っていることが明確です。地域や国レベルだけでなく、国際的な農業協力の枠組みを通じた支援が必要不可欠です。このまま放置すれば柿の生産が長期にわたり減少する可能性が高いため、適切な政策介入には時機を逸することなく着手すべきです。

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