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メキシコの馬肉推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、メキシコの馬肉生産量は1961年に42,925トンから始まり、その後長期的な増加を見せました。1981年には一気に増加し57,914トンとなり、1990年代以降も80,000トン近辺を維持しました。しかし最近では減少傾向にあり、2023年には70,876トンに落ち着いています。この推移により、メキシコにおける馬肉生産の経済的・文化的な側面や産業構造の変化が見て取れます。

年度 (トン) 増減率
2023年 70,876
-2.76% ↓
2022年 72,889
-0.42% ↓
2021年 73,200
-0.42% ↓
2020年 73,510
-0.68% ↓
2019年 74,015
2.87% ↑
2018年 71,947
-4.06% ↓
2017年 74,988
-3.24% ↓
2016年 77,502
-1.43% ↓
2015年 78,622
-2.84% ↓
2014年 80,922
-3.09% ↓
2013年 83,500
0.18% ↑
2012年 83,350 -
2011年 83,350
0.18% ↑
2010年 83,200
1.77% ↑
2009年 81,749
1.44% ↑
2008年 80,587
1.52% ↑
2007年 79,380
0.32% ↑
2006年 79,128
-10.16% ↓
2005年 88,078
2.03% ↑
2004年 86,322
2.71% ↑
2003年 84,047
0.2% ↑
2002年 83,881
1.58% ↑
2001年 82,576
2.66% ↑
2000年 80,436
1.98% ↑
1999年 78,876
-4.91% ↓
1998年 82,945
2.74% ↑
1997年 80,729
1.7% ↑
1996年 79,380
0.65% ↑
1995年 78,870
1.28% ↑
1994年 77,870
1.31% ↑
1993年 76,860
0.67% ↑
1992年 76,350
2.69% ↑
1991年 74,350
2.62% ↑
1990年 72,450
2.68% ↑
1989年 70,560
1.82% ↑
1988年 69,300
3.74% ↑
1987年 66,800
3.57% ↑
1986年 64,500
4.2% ↑
1985年 61,900
2.15% ↑
1984年 60,600
2.02% ↑
1983年 59,400
2.24% ↑
1982年 58,100
0.32% ↑
1981年 57,914
22.56% ↑
1980年 47,254
0.55% ↑
1979年 46,997
0.25% ↑
1978年 46,878
0.42% ↑
1977年 46,681
0.61% ↑
1976年 46,400
0.19% ↑
1975年 46,313
0.26% ↑
1974年 46,193
0.11% ↑
1973年 46,143
0.22% ↑
1972年 46,044
1.31% ↑
1971年 45,450
1.41% ↑
1970年 44,820
1.43% ↑
1969年 44,190
0.59% ↑
1968年 43,930
0.57% ↑
1967年 43,680
0.3% ↑
1966年 43,550
0.28% ↑
1965年 43,430
0.3% ↑
1964年 43,300
0.29% ↑
1963年 43,175
0.29% ↑
1962年 43,050
0.29% ↑
1961年 42,925 -

メキシコの馬肉生産量は、1961年以降、緩やかな増加傾向を維持していました。特に1980年代半ば以降は顕著に増え、1998年には82,945トンと過去最高水準に達しました。この増加の背景には、国内需要の拡大や輸出機会の増加があったと考えられます。他国と比べた場合、メキシコは欧州諸国(フランスやイタリアなど)に次いで馬肉市場での重要なプレイヤーとして名前を挙げています。

一方、2000年代後半以降、メキシコの馬肉生産量は波を描くように変動し、特に2016年以降は明確な減少傾向にあります。この原因の一つは、国際市場での需要の変化と見られています。例えば、近年では動物福祉に対する関心が高まり、馬肉の消費が倫理的観点から減少していることが指摘されています。また、国内的にも食生活の変容や他のタンパク源への需要増加が影響している可能性があります。

さらに地政学的背景として、新型コロナウイルスのパンデミックによる物流の混乱や労働力の不足が課題の一つとなりました。感染拡大が最も深刻であった2020年頃、メキシコの馬肉生産量は73,000トン台まで低下しましたが、これは労働環境の制約や輸出利益の低下と関係しています。このような一時的な要因に加えて、広範な持続的課題として、畜産業全体におけるリソース配分の問題や土地の利用効率の悪化が指摘されています。

この減少は、国内経済への影響も考えられます。メキシコの馬肉産業は特に地域経済に依存するため、生産量の減少は地方の労働力市場に直結します。これにより生産者の収入が減るだけでなく、関連する分野、例えば飼料供給や加工業における経済的負担も増加する可能性があります。

今後の対策として、まず国内外の市場ニーズをより明確に把握し、それに適応する生産体制を整えることが重要です。例えば、高品質で倫理的に生産された馬肉の需要が一定あることを踏まえた生産方法への転換や、輸出市場の拡充を目指した産業政策の検討が挙げられます。また地域経済振興の観点から、地元住民を対象にした教育や支援プログラムを導入し、持続可能な形で馬肉生産を促進することも効果的です。

さらに環境との調和を図る政策も重要といえます。たとえば、草地の保護や効率的な水資源利用など、環境負荷を最小限に抑える手段が求められます。これにより、産業としての競争力を確保しつつ、地元地域への負担も軽減できます。

結論として、メキシコの馬肉生産の減少傾向は単なる産業規模の変化を超え、国内外の需要動向、倫理観、環境問題など複数の要素が絡み合う問題です。これらを包括的に解決するために、国や地域での具体的な政策策定が急務といえます。特に国際的な競争力を維持するため、輸出市場を再構築するとともに、倫理的かつ持続可能な生産を目指すことが重要です。