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メキシコのショウガ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新した最新データによると、メキシコのショウガ生産量は1990年代において低水準に留まりましたが、1999年に急増し以降変動がみられました。2017年以降はおおむね増加傾向にあり、2020年には4,405トンを記録しました。しかしながら、2023年には2,705トンへ減少しており、直近では生産量がやや下振れしています。この背景には市場需要の変化や気候条件が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,705
-34.48% ↓
2022年 4,129
-7.1% ↓
2021年 4,444
0.9% ↑
2020年 4,405
14.1% ↑
2019年 3,860
-1.59% ↓
2018年 3,923
51.75% ↑
2017年 2,585
138.46% ↑
2016年 1,084
107.28% ↑
2015年 523
-22.3% ↓
2014年 673
-0.13% ↓
2013年 674
-14.68% ↓
2012年 790
55.21% ↑
2011年 509
1.8% ↑
2010年 500 -
2009年 500 -
2008年 500
-50% ↓
2007年 1,000 -
2006年 1,000
-31.13% ↓
2005年 1,452 -
2004年 1,452
-61.16% ↓
2003年 3,738
210.47% ↑
2002年 1,204
120.51% ↑
2001年 546
-65.88% ↓
2000年 1,600
-62.55% ↓
1999年 4,272
5240% ↑
1998年 80
-11.11% ↓
1997年 90 -
1996年 90
-10% ↓
1995年 100 -
1994年 100
-23.08% ↓
1993年 130
62.5% ↑
1992年 80 -

メキシコにおけるショウガの生産動向をみると、その変遷は特徴的なパターンを持っています。1992年から1998年まで低水準の生産が続き、年間80~130トン程度で推移していました。しかし1999年、突如として4,272トンへと飛躍的な増加が見られました。この年の急増は、市場需要の拡大や輸出向け生産を含む農業作物の多様化政策が影響した可能性があります。しかしその後の2000年代前半では再び大幅に減少し、不安定な生産量が続きました。特に2008年から2010年には500トン前後で低迷しており、この時期の背景には気候変動や国内農業政策の影響があったと考えられます。

2017年以降は再び生産量が著しく増加傾向を示し、2020年には4,405トンと新たなピークを迎えました。これは世界的なショウガ需要の高まり、とりわけ免疫機能への関心が高まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響も寄与していると推測されます。ショウガは抗炎症作用や免疫力の向上などの効能で注目され、メキシコ国内外での需要が増加したことが生産拡大の要因になったといえます。しかし2023年には2,705トンへ減少しており、規模縮小が確認されました。この減少は需要縮小に加え、干ばつや農業資源の減退といった環境要因、また物流や輸出コストの上昇といった外部環境にも影響されている可能性があります。

他国と比較すると、中国やインドといった世界的なショウガ生産大国と比較して、メキシコの生産量は依然として小規模です。中国やインドでは年間百万トン規模の生産が行われ、これには豊富な農地資源、政策的な支援、低コストな労働力といった強みがあります。一方、メキシコは国内市場への供給だけでなく、北米市場への輸出拡大という新たな可能性を秘めています。特にアメリカの需要は高く、これをターゲットにした輸出戦略が求められます。

地政学的背景を考慮すると、メキシコにおける農産物の生産・輸出には特有の課題があります。例えば、近年の気候変動による極端な干ばつや洪水、地域的な治安問題、また北米自由貿易協定(NAFTA、現USMCA)の影響による国際競争の激化が課題として挙げられます。特に気候変動は長期的に農業生産に深刻な影響を及ぼしており、ショウガの生産にもその影響が懸念されます。

今後の課題としては、安定的な生産基盤の構築が挙げられます。具体的には、耐干ばつ性の高いショウガの品種改良、効率的な灌漑技術の導入、そして地域農業における持続可能な施策の推進が必要です。また、輸出市場を拡大するためには国際品質基準への適応が不可欠です。農薬使用の規制遵守や食品輸出に求められる衛生基準を確立することで、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ市場での競争力を高めることができます。

最後に、この課題解決には政策的支援も重要です。政府や国際機関の協力を得て、農家向けの資金援助や技術研修プログラムを整備し、地域発展と輸出産業の振興を両立させることが求められます。また、近年頻発する自然災害や気候リスクへの適応戦略を早期に策定し、レジリエントな農業システムを構築することで、安定した収穫量を維持することが可能になります。データから見たショウガの生産推移は、メキシコの農業全体を映し出す鏡とも言えます。これを契機に国際競争力の高い農産業を育て、地域経済の発展につなげる必要があります。

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