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メキシコのカカオ豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、メキシコのカカオ豆生産量は2022年に28,115トンを記録しました。1961年以降の推移を見ると、年間生産量は大きな変動がありましたが、全体的に低下傾向が見られます。特に、1980年代後半と2000年代前半には生産量が大幅に上昇した年もありましたが、2010年代後半以降は30,000トン未満に留まっています。このデータは、メキシコのカカオ生産が気候変動や農業政策の影響を受けている可能性を示唆します。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 29,047
3.32% ↑
2022年 28,115
0.03% ↑
2021年 28,106
-4.5% ↓
2020年 29,429
3.43% ↑
2019年 28,452
0.19% ↑
2018年 28,399
4.07% ↑
2017年 27,287
1.58% ↑
2016年 26,863
-4.08% ↓
2015年 28,007
3.85% ↑
2014年 26,969
-18.97% ↓
2013年 33,284
-14.27% ↓
2012年 38,825
-7.94% ↓
2011年 42,175
-15.84% ↓
2010年 50,114
-16.48% ↓
2009年 60,000
20% ↑
2008年 50,000
25% ↑
2007年 40,000
4.85% ↑
2006年 38,151
4.91% ↑
2005年 36,366
-17.3% ↓
2004年 43,975
-11.99% ↓
2003年 49,965
8.16% ↑
2002年 46,194
-1.16% ↓
2001年 46,738
66.65% ↑
2000年 28,046
-31.69% ↓
1999年 41,055
-6.63% ↓
1998年 43,968
-4.24% ↓
1997年 45,917
16.7% ↑
1996年 39,347
-20.39% ↓
1995年 49,425
14.2% ↑
1994年 43,279
-19.83% ↓
1993年 53,986
23.61% ↑
1992年 43,673
-0.98% ↓
1991年 44,106
0.14% ↑
1990年 44,045
-12.06% ↓
1989年 50,087
-15.29% ↓
1988年 59,128
39.17% ↑
1987年 42,487
-6.29% ↓
1986年 45,339
-11.07% ↓
1985年 50,985
41.07% ↑
1984年 36,141
7.9% ↑
1983年 33,496
-18.33% ↓
1982年 41,013
34.88% ↑
1981年 30,407
-16.37% ↓
1980年 36,360
-3.69% ↓
1979年 37,754
-10.45% ↓
1978年 42,159
65.71% ↑
1977年 25,442
-17.96% ↓
1976年 31,011
-7.67% ↓
1975年 33,588
-3.51% ↓
1974年 34,811
6.09% ↑
1973年 32,814
-13.72% ↓
1972年 38,032
45.47% ↑
1971年 26,145
-9.29% ↓
1970年 28,823
5.32% ↑
1969年 27,368
2.96% ↑
1968年 26,580
5.64% ↑
1967年 25,160
7.39% ↑
1966年 23,429
10.83% ↑
1965年 21,140
5.17% ↑
1964年 20,100
-33.15% ↓
1963年 30,067
2.02% ↑
1962年 29,473
9.41% ↑
1961年 26,938 -

メキシコは世界で最も古いカカオ生産の歴史を持つ国の一つであり、カカオは国の文化や農業経済にとって非常に重要な存在です。しかしながら、1961年から2022年にかけてのカカオ豆生産量の推移を見ると、生産の安定性に欠けることが分かります。1960年代から1970年代初頭にかけて、カカオ生産量は安定しており、年間20,000~30,000トン程度でした。その後、一時的に大幅に生産量が増加した年もありますが、2000年代以降は下降傾向にあり、近年では30,000トン前後で横ばいの推移を示しています。

特に注目すべきは、1980年代後半から1990年代初頭にかけてのピークで、1988年には59,128トンに達しました。一方で、これ以降の生産量は全体的に減少傾向をたどり、2000年には28,046トンまで低下しました。この低下は、おそらく気候変動や病害虫の増加、農業技術の停滞、農村人口の減少と都市部への流入などの複合的な要因によるものと考えられます。さらに、国際市場における価格競争や他の主要生産国(例えばコートジボワール、ガーナなど)の安価なカカオの台頭もメキシコの競争力に影響を及ぼしている可能性があります。

最近のデータでは、2014年以降、年間生産量は30,000トンを下回る数値がほとんどであり、この水準が定着しています。この減少傾向には、気候変動による気温や降水量の変動が大きく影響を与えると考えられます。カカオは熱帯地方での特殊な気候条件を必要とする作物であり、これらの変化に敏感です。さらに、カカオ栽培地域へのサポート体制が十分でないことが、小規模農家にとって種植カカオを続ける魅力を低下させています。

将来の課題としては、カカオ栽培地区における気候変動への適応策の確立が挙げられます。例えば、高温耐性や病害虫に強い品種の研究開発および導入が必要です。また、農業技術の向上やインフラ整備、小農の収益性を向上させるための政策支援も急務です。具体的には、灌漑設備の強化や持続可能な栽培法への転換、カカオの付加価値を高めるローカル市場の育成などが考えられます。

さらに、世界的な視点では、カカオ需要は絶えず増加しているにも関わらず、供給能力の不足が問題となり得ます。メキシコがカカオ生産の競争力を回復するためには、生産者間および地域間の協力体制の強化も効果的です。関連機関との連携による種子の供給や技術支援、持続可能なマーケティングプログラムの実施も検討すべき重要なポイントです。

結論として、メキシコは長いカカオ栽培の歴史を有しており、依然として重要な生産地であり続けていますが、近年の生産量低下は見過ごせない課題です。これは単なる国内問題にとどまらず、世界的な需要とのバランスを考えた際にも、重大な要因となる可能性があります。農業政策や国際的な支援を通じて、この重要な作物の持続可能な発展を目指すことが求められています。