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日本の牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国連の食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、日本の牛乳生産量は、1960年代から1990年代初頭まで堅調に増加し、1993年の8,625,700トンをピークにほぼ横ばいから減少傾向にあります。2023年の牛乳生産量は7,297,614トンで、過去30年の低下基調を反映した数値となっています。近年どの年度も7,200,000トン台を維持しつつも僅かな変動がありますが、国内外の需要や産業構造の変化に影響されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 7,297,614
-4.2% ↓
2022年 7,617,473
0.33% ↑
2021年 7,592,061
2.07% ↑
2020年 7,438,218
1.7% ↑
2019年 7,313,530
0.33% ↑
2018年 7,289,227
0.17% ↑
2017年 7,276,523
-1.59% ↓
2016年 7,393,717
0.2% ↑
2015年 7,379,234
0.61% ↑
2014年 7,334,264
-2.32% ↓
2013年 7,508,261
-1.6% ↓
2012年 7,630,418
2.09% ↑
2011年 7,474,309
-3.19% ↓
2010年 7,720,456
-2.4% ↓
2009年 7,910,413
-0.9% ↓
2008年 7,982,030
-0.32% ↓
2007年 8,007,417
-1.6% ↓
2006年 8,138,000
-1.78% ↓
2005年 8,285,215
-0.53% ↓
2004年 8,329,000
-0.85% ↓
2003年 8,400,100
0.18% ↑
2002年 8,385,300
1.02% ↑
2001年 8,301,000
-2.31% ↓
2000年 8,497,000
0.44% ↑
1999年 8,459,694
-1.31% ↓
1998年 8,572,421
-0.84% ↓
1997年 8,645,455
-0.13% ↓
1996年 8,657,000
3.28% ↑
1995年 8,382,000
-0.08% ↓
1994年 8,389,000
-2.74% ↓
1993年 8,625,700
0.57% ↑
1992年 8,576,442
3.84% ↑
1991年 8,259,134
0.85% ↑
1990年 8,189,348
1.62% ↑
1989年 8,058,946
5.94% ↑
1988年 7,606,774
3.71% ↑
1987年 7,334,943
-1.64% ↓
1986年 7,456,940
1.04% ↑
1985年 7,380,400
3.4% ↑
1984年 7,137,500
1.35% ↑
1983年 7,042,300
4.37% ↑
1982年 6,747,400
2.08% ↑
1981年 6,610,232
1.63% ↑
1980年 6,504,457
0.64% ↑
1979年 6,462,822
5.66% ↑
1978年 6,116,615
6.65% ↑
1977年 5,734,988
8.98% ↑
1976年 5,262,419
6.08% ↑
1975年 4,961,017
1.91% ↑
1974年 4,868,172
-0.82% ↓
1973年 4,908,359
-0.62% ↓
1972年 4,938,793
2.47% ↑
1971年 4,819,834
1.23% ↑
1970年 4,761,469
5.61% ↑
1969年 4,508,625
12.27% ↑
1968年 4,015,938
12.61% ↑
1967年 3,566,114
4.61% ↑
1966年 3,408,814
5.74% ↑
1965年 3,223,888
6.67% ↑
1964年 3,022,164
9.38% ↑
1963年 2,763,050
13.29% ↑
1962年 2,438,942
15.3% ↑
1961年 2,115,244 -

日本の牛乳生産量のデータを振り返ると、1961年の2,115,244トンから始まり、経済成長や食生活の多様化に伴い、生産量は1993年まで増加を続けました。この時期、国内の消費者の間で牛乳が日常的に飲まれるようになり、特に学校給食を中心に需要が拡大しました。その結果、生産量は8,625,700トンに達しました。しかし、1990年代半ば以降、成長は止まり、生産量の低下に転じました。

この推移を細かく見ると、2000年以降は若干の年間変動を経ながらも、生産量は減少基調を維持しています。2023年の牛乳生産量は7,297,614トンとなり、ピーク時の1993年と比較して約15%の減少となりました。この減少にはいくつかの要因が絡んでいます。まず、国内の需要の変化があります。人口減少や少子高齢化により、特に若年層の消費が減少しています。また、生活習慣の多様化や飲み物の選択肢の拡大により、牛乳以外の飲料への需要が顕著に増えています。さらに、酪農経営の後継者不足や生産コストの上昇も生産量低下の背景にある重要な課題です。

国際的な視点を加えると、日本は他の主要国に比べて生乳の生産量が相対的に小規模です。たとえば、中国は近年急速に需要を拡大しており、2023年の生産量は約34,000,000トンに達しました。一方、アメリカでは100,000,000トンを超える安定した生産が続いています。欧州諸国でも、フランスやドイツなどの主要酪農国は高い生産量を維持し、余剰乳を輸出に回すことが可能です。日本の牛乳産業は、こうした国際市場での競争力を持つには構造的な弱みを抱えています。

日本独特の課題として、地政学的リスクや自然災害の影響も無視できません。農業は地元の気候条件に強く依存しており、日本では台風や豪雨などが牛乳生産に直接的な影響を与える場合があります。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大時には給食需要の減少や物流の混乱が影響し、販路の確保が課題となりました。

このような現状を踏まえた今後の対策として、まず酪農の効率化が考えられます。最新のIT技術やAIを応用して、乳牛の管理や生産プロセスを最適化することで、生産性を向上させることが可能です。また、輸入飼料の価格高騰や為替変動リスクを低減するために、国内飼料生産の振興も重要です。さらに、牛乳そのものの価値を再評価し、乳製品の高付加価値化や消費喚起キャンペーンの実施も有効です。たとえば、日本の「地産地消」を強調したブランド化や、環境に配慮した酪農製品のマーケティングなど、市場ニーズに適切に対応する工夫が求められます。

最後に、国際協力や輸出の可能性も探るべきです。アジアの新興国では乳製品の需要が急上昇しており、日本の高品質な乳製品は潜在的な輸出先として有望です。国内市場の縮小を補うべく、海外需要を取り込む戦略を長期的に構築することが鍵となります。このような多面的なアプローチによって、日本の牛乳産業は厳しい情勢を乗り越え、持続可能な成長が期待できるでしょう。