国際連合食糧農業機関(FAO)が提供するデータによると、日本のさくらんぼ生産量は1961年から2023年にかけて大きな変動を見せてきました。特に1970年代から1980年代の間に生産量が大きく増加した期間がありましたが、その後は安定的な推移を見せる一方で、2020年以降は再び減少傾向がみられます。2023年の生産量は17,300トンで、直近の安定期に比べると小幅な回復を示しています。
日本のさくらんぼ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 17,300 |
7.45% ↑
|
2022年 | 16,100 |
22.9% ↑
|
2021年 | 13,100 |
-23.84% ↓
|
2020年 | 17,200 |
6.83% ↑
|
2019年 | 16,100 |
-11.05% ↓
|
2018年 | 18,100 |
-5.24% ↓
|
2017年 | 19,100 |
-3.54% ↓
|
2016年 | 19,800 |
9.39% ↑
|
2015年 | 18,100 |
-4.74% ↓
|
2014年 | 19,000 |
4.97% ↑
|
2013年 | 18,100 |
1.69% ↑
|
2012年 | 17,800 |
-12.75% ↓
|
2011年 | 20,400 |
3.55% ↑
|
2010年 | 19,700 |
18.67% ↑
|
2009年 | 16,600 |
-2.35% ↓
|
2008年 | 17,000 |
2.41% ↑
|
2007年 | 16,600 |
-20.19% ↓
|
2006年 | 20,800 |
8.9% ↑
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2005年 | 19,100 |
16.46% ↑
|
2004年 | 16,400 |
-15.03% ↓
|
2003年 | 19,300 |
-8.96% ↓
|
2002年 | 21,200 |
8.16% ↑
|
2001年 | 19,600 |
14.62% ↑
|
2000年 | 17,100 |
1.79% ↑
|
1999年 | 16,800 |
-13.85% ↓
|
1998年 | 19,500 |
3.17% ↑
|
1997年 | 18,900 |
43.18% ↑
|
1996年 | 13,200 |
-15.38% ↓
|
1995年 | 15,600 |
14.71% ↑
|
1994年 | 13,600 |
-22.73% ↓
|
1993年 | 17,600 |
15.03% ↑
|
1992年 | 15,300 |
-0.65% ↓
|
1991年 | 15,400 |
-4.35% ↓
|
1990年 | 16,100 |
11.03% ↑
|
1989年 | 14,500 |
-21.2% ↓
|
1988年 | 18,400 |
-1.6% ↓
|
1987年 | 18,700 |
11.98% ↑
|
1986年 | 16,700 |
-28.33% ↓
|
1985年 | 23,300 |
55.33% ↑
|
1984年 | 15,000 |
-37.76% ↓
|
1983年 | 24,100 |
56.49% ↑
|
1982年 | 15,400 |
20.31% ↑
|
1981年 | 12,800 |
-15.23% ↓
|
1980年 | 15,100 |
-13.22% ↓
|
1979年 | 17,400 |
9.43% ↑
|
1978年 | 15,900 |
-2.45% ↓
|
1977年 | 16,300 |
-4.68% ↓
|
1976年 | 17,100 |
27.61% ↑
|
1975年 | 13,400 |
-25.14% ↓
|
1974年 | 17,900 |
9.15% ↑
|
1973年 | 16,400 |
53.27% ↑
|
1972年 | 10,700 |
70.38% ↑
|
1971年 | 6,280 |
-52.06% ↓
|
1970年 | 13,100 |
16.96% ↑
|
1969年 | 11,200 |
31.76% ↑
|
1968年 | 8,500 | - |
1967年 | 8,500 |
14.86% ↑
|
1966年 | 7,400 |
-5.01% ↓
|
1965年 | 7,790 |
29.62% ↑
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1964年 | 6,010 |
-13.65% ↓
|
1963年 | 6,960 |
-2.79% ↓
|
1962年 | 7,160 |
-7.37% ↓
|
1961年 | 7,730 | - |
日本のさくらんぼ生産量の推移は、農業技術の進展や気候条件の変化、流通ニーズ、国際市場など多様な要因が複雑に絡み合う現象として考えられます。データによると、さくらんぼ生産量は1960年代から1970年代初頭にかけて相対的に低迷していましたが、1970年代以降、生産量は急速な上昇を見せました。特に1973年の16,400トン、1974年の17,900トンという急増は、気候条件の好転や栽培技術の向上、需要の拡大が影響していると考えられます。その後、1983年には24,100トンというピークを迎えましたが、それ以降は年間15,000~20,000トン程度で比較的安定した水準で推移しています。
近年のデータに目を向けると、2020年以降の生産量は再び減少傾向にあることがわかります。2021年には13,100トンと大幅に減少しましたが、2023年には17,300トンまで回復しています。この減少の背景には、気候変動による異常気象、特に降水量や気温の変動が影響していると見られます。さらに、新型コロナウイルスのパンデミックによる流通や供給網の乱れ、農業従事者の減少も一因と考えられます。中でも、2021年の大幅な減少は、全国的な天候不順と結びついていた可能性が高いと言えます。
他国と比較すると、さくらんぼはアメリカやトルコ、イランなどの主要生産国が世界のシェアを占めており、日本の生産量はそれらに比べると限定的です。また、日本産のさくらんぼは高品質で知られ、価格が他国に比べて高止まりしているため、輸出よりも国内市場向けに多く出荷されています。日本では特に山形県が生産の一大中心地であり、国全体の出荷量の多くを占めています。しかし、国際市場での競争力確保や国内需要の低迷に対応するためには、新たなマーケティング戦略や生産支援の強化が欠かせません。
今後の課題としては、気候変動の緩和や適応策の導入が大きな鍵を握ります。例えば、耐寒性や耐暑性に優れたさくらんぼの品種開発を積極的に行うことや、異常気象が増加している地域での温室栽培の奨励が有望な対策となるでしょう。また、国内では、農業従事者の高齢化が進んでいる背景から、若い世代や技術を取り入れた次世代農業者の育成も重要となっています。さらに、地方創生の観点から、地域の観光資源と連携したさくらんぼ狩りの体験型ツーリズムを活性化させることで、地域社会の経済活動を促進する可能性も示唆されます。
加えて、国際的な問題としては、地政学的リスクや輸出入の政策変化により、さくらんぼを含む農産物の価格が影響を受ける可能性に対処する必要があります。日本は比較的地政学的リスクが低いとされますが、主要なさくらんぼ輸出国であるトルコやアメリカが影響を受けた場合、輸出需要の増加や市場の供給バランスの変動が予想されます。
結論として、今後は環境変動や人口動態の変化を考慮に入れた政策の実施が求められます。具体的には、品種改良や環境投資の拡大、若年層への農業教育の強化を進め、国内外でのさくらんぼ産業の発展を支える取り組みが必要です。気候リスク回避のための天候データ解析と災害対策の融合も、地域レベルでの生産効率向上に貢献するでしょう。日本の果物産業が持続可能で安定した成長を遂げるためには、これらの実践的な取り組みが大いに期待されます。