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日本の大豆生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データに基づき、日本における大豆の生産量の推移を確認すると、1961年から2022年までの期間で全体的な減少傾向が見られます。1961年の生産量は391,900トンだったのに対し、2022年にはその約62%減少し、242,800トンとなっています。一方、一部の期間では増加傾向も見られ、特に1980年代後半や2000年代には一時的な回復が観察されます。

年度 生産量(トン)
2022年 242,800
2021年 246,500
2020年 218,900
2019年 217,800
2018年 211,300
2017年 253,000
2016年 238,000
2015年 243,100
2014年 231,800
2013年 199,900
2012年 235,900
2011年 218,800
2010年 222,500
2009年 229,900
2008年 261,700
2007年 226,700
2006年 229,200
2005年 225,000
2004年 163,200
2003年 232,200
2002年 270,200
2001年 290,600
2000年 235,000
1999年 187,200
1998年 158,000
1997年 144,600
1996年 148,000
1995年 119,000
1994年 98,800
1993年 100,600
1992年 188,100
1991年 197,300
1990年 220,400
1989年 271,700
1988年 276,900
1987年 287,200
1986年 245,200
1985年 228,300
1984年 238,000
1983年 217,200
1982年 226,300
1981年 211,700
1980年 173,900
1979年 191,700
1978年 189,900
1977年 110,800
1976年 109,500
1975年 125,600
1974年 132,800
1973年 118,200
1972年 126,500
1971年 122,400
1970年 126,100
1969年 135,900
1968年 167,700
1967年 190,600
1966年 199,500
1965年 230,000
1964年 240,100
1963年 318,200
1962年 338,700
1961年 391,900

日本における大豆生産量の推移を詳しく見ると、1960年代から1970年代中頃にかけて急速な減少が確認されます。1961年の生産量は391,900トンでしたが、10年後の1971年には122,400トンとなり、67.3%もの大幅な減少が起きています。この時期の背景には、農業から工業やサービス業への労働者の移転、耕地面積の減少、そして主食であるコメに比べ大豆生産が相対的に重視されなかった事情が指摘されています。また、大豆の高い輸入依存度も国内生産を圧迫する要因となりました。

1980年代に入り、技術改善や国内需要の増加を受け、大豆生産量はある程度の回復を見せ、1987年には287,200トンに達しています。この時期は、食品業界における大豆製品(豆腐や味噌など)の人気や、健康志向の高まりに伴い、大豆が改めて注目されました。しかし、1990年代に入るとまたも減少が続き、1993年から1994年には記録的な低水準となり、100,600トンまで落ち込みました。この低生産量を引き起こした要因として、天候不順などの自然要因とともに、農業従事者の高齢化、農地の荒廃が挙げられます。

2000年代に入ると、一部回復の兆しが見られます。2001年には290,600トンと比較的高い生産量が記録され、2021年には246,500トンと持続的な改善が進みました。国内政策や技術革新がこれに寄与すると考えられます。たとえば、政府による作付面積の拡大や機械化の推進、さらに健康的な食生活への注目により大豆需要が高まったことが挙げられます。ただし2022年時点で、1961年の水準に対して依然大きな差があり、日本の大豆自給率が低い状態に留まっています。

国際的な観点で見れば、日本の大豆輸入依存度が高い現状があります。中国やアメリカなど大豆の主要生産国は、気候変動や地政学的リスクなどが将来の供給に不確実性を及ぼす可能性が高い地域です。特にアメリカは、主要な輸出国である一方で、貿易政策の不透明さや自然災害、異常気象リスクを抱えています。こうした状況下での輸入過多は、日本の食料安全保障においても潜在的なリスクを含んでいます。

未来に向けた課題としては、第一に国内大豆生産の安定化を挙げることができます。気候変動対策を踏まえた持続可能な農業技術の導入や、農業従事者の確保と育成が重要です。また、第二に多国間での農業協力の促進があります。たとえば、東アジア地域内での共同研究や技術共有の枠組みを強化することで、広域的な食料安全保障に貢献できます。また、都市農業やアグリテック(農業技術)を活用した新しいアプローチも、農地不足や高齢化に対する有効な解決策となるでしょう。

日本の課題は国内農業にとどまりません。世界的な異常気象や情勢不安に伴う輸入先のリスク分散や、多国間の協調も視野に入れた対応が求められます。大豆は味噌、醤油といった日本の伝統食品の要として、日本人の食卓を支える重要な作物であり、その未来の持続可能性を確保するためにも、政策のさらなる進化と協力が必要です。