Skip to main content

日本の大豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データに基づき、日本における大豆の生産量の推移を確認すると、1961年から2022年までの期間で全体的な減少傾向が見られます。1961年の生産量は391,900トンだったのに対し、2022年にはその約62%減少し、242,800トンとなっています。一方、一部の期間では増加傾向も見られ、特に1980年代後半や2000年代には一時的な回復が観察されます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 260,800
7.41% ↑
2022年 242,800
-1.5% ↓
2021年 246,500
12.61% ↑
2020年 218,900
0.51% ↑
2019年 217,800
3.08% ↑
2018年 211,300
-16.48% ↓
2017年 253,000
6.3% ↑
2016年 238,000
-2.1% ↓
2015年 243,100
4.87% ↑
2014年 231,800
15.96% ↑
2013年 199,900
-15.26% ↓
2012年 235,900
7.82% ↑
2011年 218,800
-1.66% ↓
2010年 222,500
-3.22% ↓
2009年 229,900
-12.15% ↓
2008年 261,700
15.44% ↑
2007年 226,700
-1.09% ↓
2006年 229,200
1.87% ↑
2005年 225,000
37.87% ↑
2004年 163,200
-29.72% ↓
2003年 232,200
-14.06% ↓
2002年 270,200
-7.02% ↓
2001年 290,600
23.66% ↑
2000年 235,000
25.53% ↑
1999年 187,200
18.48% ↑
1998年 158,000
9.27% ↑
1997年 144,600
-2.3% ↓
1996年 148,000
24.37% ↑
1995年 119,000
20.45% ↑
1994年 98,800
-1.79% ↓
1993年 100,600
-46.52% ↓
1992年 188,100
-4.66% ↓
1991年 197,300
-10.48% ↓
1990年 220,400
-18.88% ↓
1989年 271,700
-1.88% ↓
1988年 276,900
-3.59% ↓
1987年 287,200
17.13% ↑
1986年 245,200
7.4% ↑
1985年 228,300
-4.08% ↓
1984年 238,000
9.58% ↑
1983年 217,200
-4.02% ↓
1982年 226,300
6.9% ↑
1981年 211,700
21.74% ↑
1980年 173,900
-9.29% ↓
1979年 191,700
0.95% ↑
1978年 189,900
71.39% ↑
1977年 110,800
1.19% ↑
1976年 109,500
-12.82% ↓
1975年 125,600
-5.42% ↓
1974年 132,800
12.35% ↑
1973年 118,200
-6.56% ↓
1972年 126,500
3.35% ↑
1971年 122,400
-2.93% ↓
1970年 126,100
-7.21% ↓
1969年 135,900
-18.96% ↓
1968年 167,700
-12.01% ↓
1967年 190,600
-4.46% ↓
1966年 199,500
-13.26% ↓
1965年 230,000
-4.21% ↓
1964年 240,100
-24.54% ↓
1963年 318,200
-6.05% ↓
1962年 338,700
-13.57% ↓
1961年 391,900 -

日本における大豆生産量の推移を詳しく見ると、1960年代から1970年代中頃にかけて急速な減少が確認されます。1961年の生産量は391,900トンでしたが、10年後の1971年には122,400トンとなり、67.3%もの大幅な減少が起きています。この時期の背景には、農業から工業やサービス業への労働者の移転、耕地面積の減少、そして主食であるコメに比べ大豆生産が相対的に重視されなかった事情が指摘されています。また、大豆の高い輸入依存度も国内生産を圧迫する要因となりました。

1980年代に入り、技術改善や国内需要の増加を受け、大豆生産量はある程度の回復を見せ、1987年には287,200トンに達しています。この時期は、食品業界における大豆製品(豆腐や味噌など)の人気や、健康志向の高まりに伴い、大豆が改めて注目されました。しかし、1990年代に入るとまたも減少が続き、1993年から1994年には記録的な低水準となり、100,600トンまで落ち込みました。この低生産量を引き起こした要因として、天候不順などの自然要因とともに、農業従事者の高齢化、農地の荒廃が挙げられます。

2000年代に入ると、一部回復の兆しが見られます。2001年には290,600トンと比較的高い生産量が記録され、2021年には246,500トンと持続的な改善が進みました。国内政策や技術革新がこれに寄与すると考えられます。たとえば、政府による作付面積の拡大や機械化の推進、さらに健康的な食生活への注目により大豆需要が高まったことが挙げられます。ただし2022年時点で、1961年の水準に対して依然大きな差があり、日本の大豆自給率が低い状態に留まっています。

国際的な観点で見れば、日本の大豆輸入依存度が高い現状があります。中国やアメリカなど大豆の主要生産国は、気候変動や地政学的リスクなどが将来の供給に不確実性を及ぼす可能性が高い地域です。特にアメリカは、主要な輸出国である一方で、貿易政策の不透明さや自然災害、異常気象リスクを抱えています。こうした状況下での輸入過多は、日本の食料安全保障においても潜在的なリスクを含んでいます。

未来に向けた課題としては、第一に国内大豆生産の安定化を挙げることができます。気候変動対策を踏まえた持続可能な農業技術の導入や、農業従事者の確保と育成が重要です。また、第二に多国間での農業協力の促進があります。たとえば、東アジア地域内での共同研究や技術共有の枠組みを強化することで、広域的な食料安全保障に貢献できます。また、都市農業やアグリテック(農業技術)を活用した新しいアプローチも、農地不足や高齢化に対する有効な解決策となるでしょう。

日本の課題は国内農業にとどまりません。世界的な異常気象や情勢不安に伴う輸入先のリスク分散や、多国間の協調も視野に入れた対応が求められます。大豆は味噌、醤油といった日本の伝統食品の要として、日本人の食卓を支える重要な作物であり、その未来の持続可能性を確保するためにも、政策のさらなる進化と協力が必要です。