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日本のサトイモ生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、日本のサトイモ生産量は1960年代の高い水準から長期的に減少傾向にあり、2022年には1961年のピーク時から70%以上減少した約138,889トンに達しました。この減少は、農業従事者の減少や高齢化、農地面積の縮小、そして農業以外の作物選択へのシフトなど、さまざまな要因が影響しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 133,164
-4.12% ↓
2022年 138,889
-2.67% ↓
2021年 142,700
2.29% ↑
2020年 139,500
-0.64% ↓
2019年 140,400
-3.04% ↓
2018年 144,800
-2.56% ↓
2017年 148,600
-3.88% ↓
2016年 154,600
0.85% ↑
2015年 153,300
-7.48% ↓
2014年 165,700
2.22% ↑
2013年 162,100
-6.03% ↓
2012年 172,500
0.7% ↑
2011年 171,300
2.21% ↑
2010年 167,600
-8.11% ↓
2009年 182,400
1.5% ↑
2008年 179,700
3.75% ↑
2007年 173,200
-0.86% ↓
2006年 174,700
-5.36% ↓
2005年 184,600
-0.11% ↓
2004年 184,800
-11.75% ↓
2003年 209,400
0.24% ↑
2002年 208,900
-4.09% ↓
2001年 217,800
-5.51% ↓
2000年 230,500
-6.94% ↓
1999年 247,700
-4.14% ↓
1998年 258,400
-4.3% ↓
1997年 270,000
6.34% ↑
1996年 253,900
-0.16% ↓
1995年 254,300
6.67% ↑
1994年 238,400
-20.29% ↓
1993年 299,100
-1.81% ↓
1992年 304,600
-13.81% ↓
1991年 353,400
12.08% ↑
1990年 315,300
-13.28% ↓
1989年 363,600
-8.48% ↓
1988年 397,300
1.48% ↑
1987年 391,500
1.71% ↑
1986年 384,900
2.61% ↑
1985年 375,100
8.07% ↑
1984年 347,100
-11.72% ↓
1983年 393,200
-1.72% ↓
1982年 400,100
3.71% ↑
1981年 385,800
-15.86% ↓
1980年 458,500
2.62% ↑
1979年 446,800
31.18% ↑
1978年 340,600
-20.83% ↓
1977年 430,200
1.1% ↑
1976年 425,500
14.94% ↑
1975年 370,200
-13.97% ↓
1974年 430,300
11.88% ↑
1973年 384,600
-25.97% ↓
1972年 519,500
-6.88% ↓
1971年 557,900
2.91% ↑
1970年 542,100
3.47% ↑
1969年 523,900
-0.61% ↓
1968年 527,100
14.74% ↑
1967年 459,400
-11.76% ↓
1966年 520,600
8.91% ↑
1965年 478,000
-3.04% ↓
1964年 493,000
-15.09% ↓
1963年 580,600
14.4% ↑
1962年 507,500
4.88% ↑
1961年 483,900 -

日本のサトイモ生産量推移を詳しく見ると、1961年の約483,900トンをピークとして、以降徐々に減少しています。特に1980年代以降は急激な下落傾向が明確に現れています。この減少には、さまざまな社会的・経済的な要因が関連していると考えられます。まず、作物としてのサトイモの収穫は手作業の割合が高く、高齢化にともない労働力の確保が困難になっています。農家の高齢化と若年層の農業離れによる農業人口減少も加わり、結果として栽培面積が減少しています。

また、1970年代以降、日本国内では食生活が多様化し、米を中心とする主食の地位が弱まりました。これに伴い、サトイモの需要も減少し、他の経済的利益の高い作物へと作付けの優先順位が移行していったことも理由の一つです。さらに、輸入農産物との競争激化もサトイモ生産に影響を与えています。一部の地域では、安価な輸入品が地元生産物の市場を圧迫する事例も確認されています。

地政学的背景を見ると、日本のサトイモ生産を支える地域は、災害リスクの高い地域であることも重要です。集中豪雨や台風などの影響で農地が被害を受け、生産量が一時的に大きく減少することも発生しています。また、近年の地球温暖化による気候変動が作物栽培の適地を変化させており、これも小規模農家のサトイモ栽培を難しくしています。

サトイモの持つ食文化的価値や栄養学的特性を踏まえると、この減少傾向に対する具体的な対策が望まれます。一つの対策として、栽培技術の研究開発と新技術の導入が挙げられます。例として、収穫効率を向上させる機械の開発や、省力化を目指した栽培技術への投資が求められます。また、持続可能な農業の推進として、若手農家や都市住民を対象とした農業プロジェクトを実施し、次世代への技術伝承の場を設けることも効果的です。

さらに、国内消費を促進するためのマーケティング施策や、地域特産品としてのブランド化も検討すべきです。一例として、地元料理や伝統的な食文化との結びつきを強調してサトイモの付加価値を高めることが考えられます。また、国際的な輸出市場の開拓も視野に入れることで、国内需要減少のリスクを軽減することができます。

最後に、新型コロナパンデミックやウクライナ侵攻のような複合的な地政学的リスクが世界の農業に与える影響も無視できません。これに対応するため、国内の農業政策を強化し、安定した農産物供給体制を築くことが重要です。例えば、地域間協力を深めて自然災害時の相互支援体制を強化したり、輸入依存を減らす方策を講じるべきです。

日本のサトイモ生産量の減少を解消するには、多様な政策が必要ですが、それには国内外の状況に応じた柔軟な施策が不可欠です。これらの取り組みを継続的に進めることで、サトイモ生産を安定させ、日本の農業全体の持続可能性を高めていくことができます。