FAO(国際連合食糧農業機関)の2024年7月更新の最新データによると、2022年度の大豆生産量ランキングでは、ブラジルが約1億2,070万トンで世界のトップとなり、アメリカ合衆国が約1億1,638万トンで2位に続いています。3位にはアルゼンチンが約4,386万トンでランクインしており、この3国で世界の大豆生産量の大半を占めています。一方、日本は約24万トンでランキング23位に位置し、アジア全域での主要生産国の一つとなっています。ただし、中国やインドといった隣国に比べて生産規模は劣る状況です。
順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
---|---|---|---|
1 | ブラジル | 南アメリカ | 120,701,031 |
2 | アメリカ合衆国 | 北アメリカ | 116,377,000 |
3 | アルゼンチン | 南アメリカ | 43,861,066 |
4 | 中国 | アジア | 20,280,000 |
5 | インド | アジア | 12,986,720 |
6 | カナダ | 北アメリカ | 6,543,158 |
7 | ロシア連邦 | ヨーロッパ | 6,003,153 |
8 | パラグアイ | 南アメリカ | 4,532,103 |
9 | ボリビア (多民族国家) | 南アメリカ | 3,457,144 |
10 | ウクライナ | ヨーロッパ | 3,443,800 |
11 | 南アフリカ | アフリカ | 1,148,300 |
12 | ナイジェリア | アフリカ | 1,060,000 |
13 | イタリア | ヨーロッパ | 943,400 |
14 | ウルグアイ | 南アメリカ | 647,830 |
15 | ザンビア | アフリカ | 475,353 |
16 | セルビア | ヨーロッパ | 398,556 |
17 | フランス | ヨーロッパ | 375,820 |
18 | ベナン | アフリカ | 306,198 |
19 | インドネシア | アジア | 301,000 |
20 | ルーマニア | ヨーロッパ | 258,530 |
21 | カザフスタン | アジア | 250,385 |
22 | オーストリア | ヨーロッパ | 248,420 |
23 | 日本 | アジア | 242,800 |
24 | メキシコ | 南アメリカ | 241,371 |
25 | トーゴ | アフリカ | 236,450 |
26 | マラウイ | アフリカ | 220,000 |
27 | イラン(イスラム共和国) | アジア | 210,000 |
28 | ガーナ | アフリカ | 200,000 |
29 | クロアチア | ヨーロッパ | 194,770 |
30 | エチオピア | アフリカ | 190,000 |
31 | 朝鮮民主主義人民共和国 | アジア | 180,000 |
32 | トルコ | アジア | 155,000 |
33 | ブルキナファソ | アフリカ | 152,540 |
34 | コロンビア | 南アメリカ | 141,987 |
35 | ウガンダ | アフリカ | 140,000 |
36 | ハンガリー | ヨーロッパ | 134,470 |
37 | ミャンマー | アジア | 131,223 |
38 | 大韓民国 | アジア | 129,925 |
39 | ドイツ | ヨーロッパ | 120,500 |
40 | スロバキア | ヨーロッパ | 98,760 |
41 | バングラデシュ | アジア | 98,646 |
42 | カメルーン | アフリカ | 97,703 |
43 | チェコ | ヨーロッパ | 65,540 |
44 | オーストラリア | オセアニア | 57,200 |
45 | カンボジア | アジア | 56,436 |
46 | ベトナム | アジア | 52,146 |
47 | ジンバブエ | アフリカ | 51,408 |
48 | モザンビーク | アフリカ | 50,000 |
49 | ポーランド | ヨーロッパ | 43,780 |
50 | グアテマラ | 南アメリカ | 43,000 |
51 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | ヨーロッパ | 42,642 |
52 | タンザニア連合共和国 | アフリカ | 41,069 |
53 | エジプト | アフリカ | 38,000 |
54 | アンゴラ | アフリカ | 37,374 |
55 | ネパール | アジア | 35,138 |
56 | ウズベキスタン | アジア | 34,862 |
57 | ルワンダ | アフリカ | 34,056 |
58 | モルドバ共和国 | ヨーロッパ | 32,400 |
59 | エクアドル | 南アメリカ | 29,454 |
60 | ベリーズ | 南アメリカ | 27,135 |
61 | コンゴ民主共和国 | アフリカ | 27,007 |
62 | タイ | アジア | 20,802 |
63 | マリ | アフリカ | 20,070 |
64 | ラオス人民民主共和国 | アジア | 14,772 |
65 | ブルガリア | ヨーロッパ | 10,180 |
66 | ニカラグア | 南アメリカ | 10,000 |
67 | スイス | ヨーロッパ | 6,175 |
68 | ベネズエラ (ボリバル共和国) | 南アメリカ | 6,091 |
69 | スロベニア | ヨーロッパ | 5,340 |
70 | エルサルバドル | 南アメリカ | 5,205 |
71 | 中国、台湾 中国省 | アジア | 5,000 |
72 | ガボン | アフリカ | 3,932 |
73 | スリランカ | アジア | 3,842 |
74 | スペイン | ヨーロッパ | 3,790 |
75 | リベリア | アフリカ | 3,348 |
76 | キルギスタン | アジア | 3,076 |
77 | グルジア | アジア | 3,000 |
78 | ブルンジ | アフリカ | 2,410 |
79 | シリア・アラブ共和国 | アジア | 2,350 |
80 | リトアニア | ヨーロッパ | 2,290 |
81 | ケニア | アフリカ | 2,000 |
82 | ホンジュラス | 南アメリカ | 1,619 |
83 | ペルー | 南アメリカ | 1,596 |
84 | モロッコ | アフリカ | 1,000 |
85 | キューバ | 南アメリカ | 1,000 |
86 | 東ティモール | アジア | 821 |
87 | アルバニア | ヨーロッパ | 686 |
88 | ギリシャ | ヨーロッパ | 680 |
89 | フィリピン | アジア | 626 |
90 | コートジボワール | アフリカ | 575 |
91 | パナマ | 南アメリカ | 98 |
92 | 北マケドニア | ヨーロッパ | 73 |
93 | ブータン | アジア | 58 |
94 | マダガスカル | アフリカ | 46 |
95 | イラク | アジア | 33 |
96 | アゼルバイジャン | アジア | 30 |
97 | タジキスタン | アジア | 21 |
98 | ルクセンブルク | ヨーロッパ | 20 |
99 | パキスタン | アジア | 9 |
100 | スリナム | 南アメリカ | 4 |
2022年度の大豆生産量データは、地政学的影響や世界的な需要動向を反映した結果となっています。大豆は食料、飼料、バイオ燃料の原料として幅広く利用されており、その生産動態は各国の農業政策や世界市場での影響力を大きく左右します。今回のデータでは、ブラジル、アメリカ合衆国、アルゼンチンの南北アメリカ大陸が大豆の生産を牽引しており、グローバルな供給の主力となっています。この3国の生産量を合わせると全体の約8割に達し、特にブラジルは気候条件と土地資源の豊富さを背景に、世界最大の生産国として台頭しています。米国も機械化された農業と輸出基盤の強化により、競争力を維持しつつあります。
一方、アジア地域では、中国が約2,028万トンを生産し、インドがそれに続く役割を果たしています。しかし、中国は国内需要を満たすために依然として大規模な大豆輸入国であり、輸入依存が高い状況が続いています。日本に関しては、23位の約24万トンの生産量を記録していますが、需要量の多くを輸入に依存する構造が変わっていません。
このデータから、いくつかの課題と対策が浮かび上がります。まず、ブラジルやアルゼンチンなど南米諸国では、大豆生産の拡大が森林の伐採や生物多様性の喪失といった環境問題を引き起こしています。これを受けて、持続可能な農業への移行が急務となっています。例えば、ブラジルでは「零定植」技術などの導入が始まっていますが、この技術を普及させるためのさらなる投資が期待されます。
また、中国や日本のように輸入依存度が高い国々では、食料安全保障を確保するために国内生産の拡大や多様な輸入先の確保が重要です。例えば、品種改良や機械化を進めることで単位面積当たりの収穫量を向上させることができます。また、中国とインドは人口増加に伴い、食用油の需要がさらに拡大する可能性があり、農産物貿易の競争がより激化することが予想されます。
最近の地政学的リスクも、大豆貿易の安定性に影を落とす要因となっています。2022年以降、ウクライナとロシアの紛争が肥料価格の高騰を招き、多くの農業国が生産コストの増加に直面しています。また、気候変動による異常気象も南米での旱魃や洪水を誘発し、大豆生産の不確実性を高めています。
今後の持続可能な発展のためには、国際的な協力が不可欠です。例えば、各国で大豆の栽培ガイドラインを共有し、持続可能な農業技術を開発・導入する枠組みを強化することが考えられます。また、輸入依存国は多国間貿易協定を通じて安定的な供給を確立すること、さらには国内での需要と供給のバランス改善にも注力すべきです。
結論として、2022年の大豆生産量ランキングは、各国が抱える農業政策の現状とその影響を浮き彫りにしています。生産大国における環境保護と生産拡大のバランス、輸入国における食料安全保障や地政学リスクの緩和、そして気候変動への対策が未来の重要な課題となるでしょう。各国や国際機関がこれらの課題に対応しつつ、持続可能な農業政策を推進することが求められています。