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トルコの大豆生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organizationが提供する最新データによると、トルコの大豆生産量は過去60年以上にわたり大きな変動を見せており、1960年代の年間生産量が5,000トン前後だったのに対し、一時的には250,000トン(1987年)に達するなど、成長と縮小を繰り返してきました。近年では2010年以降、概ね100,000トンから180,000トンの範囲で推移しています。ただし、2022年の生産量は155,000トンと、直近の高生産期であった2021年(182,000トン)から減少しており、安定的な増加には至っていません。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 137,500
-11.29% ↓
2022年 155,000
-14.84% ↓
2021年 182,000
17.25% ↑
2020年 155,225
3.48% ↑
2019年 150,000
7.14% ↑
2018年 140,000 -
2017年 140,000
-15.15% ↓
2016年 165,000
2.48% ↑
2015年 161,000
7.33% ↑
2014年 150,000
-16.67% ↓
2013年 180,000
56.52% ↑
2012年 115,000
12.46% ↑
2011年 102,260
18.17% ↑
2010年 86,540
125.12% ↑
2009年 38,442
11.55% ↑
2008年 34,461
12.38% ↑
2007年 30,666
-35.17% ↓
2006年 47,300
63.1% ↑
2005年 29,000
-42% ↓
2004年 50,000
-41.18% ↓
2003年 85,000
13.33% ↑
2002年 75,000
50% ↑
2001年 50,000
12.36% ↑
2000年 44,500
-32.58% ↓
1999年 66,000
10% ↑
1998年 60,000
50% ↑
1997年 40,000
-20% ↓
1996年 50,000
-33.33% ↓
1995年 75,000
7.14% ↑
1994年 70,000
11.11% ↑
1993年 63,000
-33.68% ↓
1992年 95,000
-13.64% ↓
1991年 110,000
-32.1% ↓
1990年 162,000
0.62% ↑
1989年 161,000
7.33% ↑
1988年 150,000
-40% ↓
1987年 250,000
25% ↑
1986年 200,000
60% ↑
1985年 125,000
108.33% ↑
1984年 60,000
30.43% ↑
1983年 46,000
27.78% ↑
1982年 36,000
140% ↑
1981年 15,000
552.17% ↑
1980年 2,300
-30.3% ↓
1979年 3,300
-2.94% ↓
1978年 3,400
-38.18% ↓
1977年 5,500
-35.29% ↓
1976年 8,500
25.93% ↑
1975年 6,750
-20.59% ↓
1974年 8,500
14.86% ↑
1973年 7,400
-42.19% ↓
1972年 12,800
16.36% ↑
1971年 11,000
-8.33% ↓
1970年 12,000
9.09% ↑
1969年 11,000
29.41% ↑
1968年 8,500
54.55% ↑
1967年 5,500
17.02% ↑
1966年 4,700
-6% ↓
1965年 5,000 -
1964年 5,000
-9.91% ↓
1963年 5,550
38.75% ↑
1962年 4,000
-11.11% ↓
1961年 4,500 -

トルコの大豆生産量の推移を考察すると、1961年の4,500トンから始まり、1980年代中盤にかけて急激な成長を遂げたことがわかります。特に1985年から1987年にかけては、3年間で125,000トンから250,000トンという約2倍の成長を記録しました。この急成長は、農業技術の近代化や政府による支援策、国外需要の増大などが一因と考えられます。しかしその後は、生産量が1990年代の中頃にかけて大幅に落ち込み、その背景には市場価格の変動、輸入大豆で代替される傾向、および国内農業政策の変化があったと推測されます。

2000年代に入り、トルコの大豆生産量は依然として変動が続きましたが、国全体の農業セクターが徐々に統合され、生産性の向上が進められた結果、2010年以降、安定した中規模の生産が見られるようになりました。2021年には182,000トンという高値を記録しましたが、2022年には155,000トンとやや減少し、市場の安定的な成長を阻む何らかの外的要因が影響している可能性があります。この点で、新型コロナウイルスのパンデミックや2022年以降のウクライナ情勢といった地政学的リスク、さらには異常気象や水資源不足の影響も排除できません。

他国の状況を見ると、中国やアメリカは依然として世界の大豆生産を主導しており、収量の規模ではトルコを遥かに上回っています。特にアメリカは大豆の主輸出国として、年間1億トン以上の生産を実現しています。また、近隣諸国ではロシアやウクライナも農業大国であり、彼らの大豆関連市場はトルコの輸出・輸入関係にも直接的な影響を与えています。このように競争が激化する中、トルコ国内の相対的な競争力を高めることが必要条件となっています。

課題としては、輸入大豆に依存している現状があります。トルコは大豆の主要な輸入国であり、国外からの供給に頼る構造が続いています。この点では、国内の大豆生産をさらに進めるために、耕地面積の拡大や農業のデジタル化、気候に適した種子の研究開発、さらには農業従事者に対する技術支援を優先的に進める必要があります。また、水資源不足や異常気象への対応力を高めるため、ドリップ灌漑技術の導入や気候変動に耐える品種の開発も重要です。

将来的な対策として、地域間協力の枠組みを強化し、近隣諸国と農業技術や市場情報を共有する方法が効果的です。たとえば、トルコはEUやロシア、中東諸国との農業分野での協力関係を拡大し、大豆の生産と消費のバランスを整えることが期待されます。また、地政学的リスクに備えるため、食料安全保障の観点から、長期的な生産計画と備蓄を進めることも急務です。加えて、国際機関であるFAOやOECD(経済協力開発機構)と連携しながら、資源効率の高い農業政策を策定することが求められます。

結論として、トルコの大豆生産量は過去数十年で確実に成長を遂げてきましたが、大規模な安定成長にはまだ道半ばと言えます。持続可能な発展を目指すには、国内外の課題に目を向け、技術と政策の両面から包括的な対策を講じる必要があります。こうした取り組みは、トルコの継続的な食料確保と経済的安定性を図る上で、不可欠な要素となるでしょう。