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ウガンダの大豆生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、ウガンダの大豆生産量は1961年の1,000トンから急激な変動を経て、2021年には265,870トンに達し、その後2022年には140,000トンと減少しました。この長期的な推移は、ウガンダの農業分野における技術革新、地政学的要因、そして気候変動や市場動向の影響を反映しています。

年度 生産量(トン)
2022年 140,000
2021年 265,870
2020年 160,000
2019年 126,000
2018年 107,624
2017年 28,097
2016年 25,730
2015年 28,013
2014年 27,929
2013年 23,205
2012年 23,000
2011年 31,847
2010年 27,000
2009年 27,000
2008年 22,000
2007年 176,000
2006年 175,000
2005年 158,000
2004年 158,000
2003年 187,000
2002年 166,000
2001年 144,000
2000年 128,000
1999年 101,000
1998年 92,000
1997年 84,000
1996年 87,000
1995年 79,000
1994年 75,000
1993年 67,000
1992年 59,000
1991年 59,000
1990年 36,944
1989年 15,788
1988年 14,000
1987年 8,000
1986年 9,528
1985年 8,000
1984年 8,000
1983年 7,000
1982年 6,000
1981年 5,000
1980年 3,000
1979年 3,000
1978年 6,000
1977年 6,000
1976年 8,000
1975年 4,000
1974年 4,000
1973年 5,000
1972年 7,000
1971年 4,000
1970年 5,000
1969年 4,000
1968年 7,000
1967年 3,000
1966年 1,000
1965年 1,000
1964年 1,000
1963年 400
1962年 1,000
1961年 1,000

ウガンダにおける大豆生産の推移は、国内外の農業や経済環境の変化を映し出しています。1960年代初頭、ウガンダの大豆生産量は年間1,000トン前後で推移しており、これは農業技術やインフラの乏しさ、また当時の国内需要の低さを反映したものでした。その後、1967年に3,000トン、1968年には7,000トンと急激に生産量が伸び、これは農業の近代化や政府の政策支援による影響と考えられます。しかしその後の1970年代から1980年代半ばには、生産量が数千トン台で不安定な状態を続け、国内の政治的混乱や紛争が産業全般に悪影響を与えていたことが要因とされています。

特に注目すべきは、1988年以降の生産量の急増です。この頃、ウガンダでは経済再建計画と共に農業分野への投資が進み、大豆は食品加工用だけでなく、動物飼料や輸出作物としての需要が増加しました。1990年には36,944トン、1991年には59,000トンと急速に生産量が拡大し、2000年には128,000トン、2002年には166,000トンに達しました。この成長は、技術の向上や土地利用の増加、大豆の経済的な重要性の高まりによるものと考えられます。しかし2008年には、22,000トンと大きく低下しました。これは気候の変動や、その影響を受けた収量の減少、さらには市場価格の変動が背景にあったとされています。

近年の生産量を見ると、2018年には一時107,624トンまで回復し、2021年には265,870トンという過去最高の生産量を記録しましたが、その翌年の2022年には140,000トンと急減しており、大豆生産が持続的に拡大するには未解決の課題があることが示唆されています。

ウガンダの大豆生産量に影響を与える要因として、まず気候変動が挙げられます。同国は降雨パターンの変化に大きく依存しており、干ばつや豪雨などの影響を受けやすいです。また、農業従事者の資源やインフラへのアクセスの制約も、特に地方部では生産性の向上を妨げています。市場面では、大豆製品の国際需要の変動が農家の利益に直結するため、価格安定に向けた政府の支援が重要といえます。

他国と比較すると、例えばアメリカやブラジルなどの主要生産国に比べると、ウガンダの大豆生産量は依然として小規模です。しかし、同国内での需要増大や、近隣国への輸出拡大の可能性を考慮すると、成長の余地は非常に大きいといえます。そのため、農業の効率化に向けた具体的対策として、灌漑システムの導入や、気候変動に強い品種の開発と普及が必要です。また、生産者がより良い価格で取引できるよう、協同組合を通じた流通の強化や市場の多様化も有効でしょう。

さらに、地政学的リスク、例えば近隣国での紛争や政情不安が、ウガンダの農業や輸出市場に悪影響を及ぼす可能性も無視できません。これを回避するためには、地域協力体制を強化し、共同で食糧安全保障を確保する取り組みが重要です。

今後の課題として、農業技術の導入を妨げる資金問題や、農地利用の効率化に向けた政策の実行の遅れを挙げることができます。国際機関や非政府組織からの支援を効果的に活用し、国内政策と調和させることが、持続可能な成長の鍵となるでしょう。特に、気候変動の影響を受けやすい農家を支援するために、農業保険制度の導入や、気象データの提供を強化することが期待されます。

ウガンダの大豆生産は、潜在能力をさらに開花させることで、国内の食糧安全保障の向上や輸出振興に寄与する可能性を秘めています。一方で、その潜在力を最大化するためには、農業および市場の課題を解決するための一貫した戦略が不可欠です。