Skip to main content

エクアドルの大豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによれば、エクアドルの大豆生産量は1961年の75トンから顕著な増加を見せ、1970年代から1980年代にかけて大幅に生産量が拡大しました。しかし、その後1990年代以降は大きく乱高下を繰り返しながら減少傾向を示しました。例えば、1987年には146,060トンと過去のピークを記録しましたが、直近の2022年には29,454トンにまで低下しています。この減少には複数の地政学的、経済的要因が影響を及ぼしていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 13,112
-55.48% ↓
2022年 29,454
46.7% ↑
2021年 20,077
-26.29% ↓
2020年 27,238
-31.07% ↓
2019年 39,515
54.94% ↑
2018年 25,504
-27.14% ↓
2017年 35,006
-16.23% ↓
2016年 41,788
27.8% ↑
2015年 32,697
0.05% ↑
2014年 32,681
-51.94% ↓
2013年 68,000
3.03% ↑
2012年 66,000
-15.38% ↓
2011年 78,000
11.43% ↑
2010年 70,000
2.94% ↑
2009年 68,000
6.25% ↑
2008年 64,000
16.36% ↑
2007年 55,000
139.13% ↑
2006年 23,000
-61.44% ↓
2005年 59,650
-44.46% ↓
2004年 107,399
-1.3% ↓
2003年 108,816
-0.28% ↓
2002年 109,122
-3.71% ↓
2001年 113,324
20.43% ↑
2000年 94,100
22.49% ↑
1999年 76,824
650.6% ↑
1998年 10,235
8.59% ↑
1997年 9,425
-87.87% ↓
1996年 77,700
-14.58% ↓
1995年 90,959
-53.05% ↓
1994年 193,721
35.12% ↑
1993年 143,368
4.33% ↑
1992年 137,420
65.59% ↑
1991年 82,990
-50.21% ↓
1990年 166,694
8.6% ↑
1989年 153,492
16.87% ↑
1988年 131,338
-10.08% ↓
1987年 146,060
91.53% ↑
1986年 76,261
21.27% ↑
1985年 62,885
32.45% ↑
1984年 47,479
237.35% ↑
1983年 14,074
-62.39% ↓
1982年 37,419
12.76% ↑
1981年 33,184
-1.09% ↓
1980年 33,549
12.19% ↑
1979年 29,903
17.77% ↑
1978年 25,391
31.76% ↑
1977年 19,270
28.17% ↑
1976年 15,035
22% ↑
1975年 12,324
181.5% ↑
1974年 4,378
184.66% ↑
1973年 1,538
81.58% ↑
1972年 847
-22.08% ↓
1971年 1,087
81.17% ↑
1970年 600
95.44% ↑
1969年 307
176.58% ↑
1968年 111
-47.14% ↓
1967年 210
100% ↑
1966年 105
5% ↑
1965年 100
11.11% ↑
1964年 90
5.88% ↑
1963年 85
6.25% ↑
1962年 80
6.67% ↑
1961年 75 -

エクアドルの大豆生産量は、1960年代初期から徐々に増加していましたが、特に1970年代後半から1980年代にかけて急成長しました。この成長は、エクアドル国内の農業開発政策の強化や農地の拡大、さらに大豆の需要増加による輸出の活発化が背景にあります。1987年には146,060トンという記録的な生産量を達成し、大豆はエクアドルの重要な輸出作物の一つとして期待されるようになりました。

しかしながら、1990年代以降は生産量の不安定さが目立っています。1997年には9,425トンにまで急激に減少しましたが、その後一時的に回復を見せる年もありました。それでも、総じてエクアドルの大豆生産量は減少傾向にあります。この減少の一因としては、農地の利用競争、インフラ不足や農業技術の停滞、さらには国際的な競争の激化が挙げられます。例えば、ブラジルやアメリカのような主要な大豆生産国が圧倒的な生産効率を持つ中で、エクアドルの大豆は市場競争力を保つことが難しい状況に陥っています。

加えて、地政学的リスクや気候変動の影響も無視できません。エルニーニョ現象や干ばつ、洪水といった極端な気象条件はエクアドルの農業全般に大きな被害をもたらしています。例えば、2017年や2021年の生産量の落ち込みは、まさにこれら自然災害の影響によるものと推察されます。また、エクアドルの農業政策の一貫性の欠如も、計画的な生産拡大を難しくしている要因の一つです。

直近の2020年代においては、高齢化した農業就業者や不十分な資金支援に直面する中、エクアドルの農業部門は持続可能な発展が課題となっています。他国の大豆生産状況と比較すると、例えばアメリカが2022年に1億2,000万トン以上、ブラジルが約1億5,000万トンの生産を記録する中で、エクアドルの生産量は極めて小規模です。この事実は、エクアドル政府と農業関係者が潜在的に改善可能な分野に取り組む必要があることを示唆しています。

今後の課題としては、持続可能な農業モデルの導入が挙げられます。これには、農業インフラの改善、灌漑技術の普及、高収量品種の導入が含まれます。また、大豆以外の高付加価値作物への転換や農産物加工技術の向上を推進することで、国内外の市場に対応する多角的なアプローチが求められます。

加えて、地域間協力を強化し、隣接国との連携を通じた技術移転や共同プロジェクトを進めることが効果的でしょう。国際金融機関や開発機関の援助を得ながら、大豆の価値連鎖を最大化することで、エクアドル農業部門全体の効率性と収益性を向上させることも重要です。

結論として、エクアドルの大豆生産は、地理的条件や過去の経験から一定の可能性を秘めている一方で、多様な課題に直面しています。そのため、農業政策の強化、技術革新、国際的な連携が不可欠です。これが実現すれば、現状の困難を乗り越え、持続可能かつ競争力のある農業セクターを育成できるでしょう。