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マリの大豆生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、マリにおける大豆生産量は1980年の800トンから2022年には20,070トンに増加し、約25倍の成長を遂げました。特に2000年代後半以降、数年ごとに生産量が大きく変動しているものの、2016年以降は急激な増加傾向を示しており、近年の持続的な成長が顕著です。2020年代に入ると、15,000トンを超える規模に達し、2022年には過去最大の生産量を記録しました。これはマリの農業政策や国際的な需要の拡大が影響していると考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 20,070
2021年 15,904
2020年 14,685
2019年 10,440
2018年 6,693
2017年 5,801
2016年 11,769
2015年 5,261
2014年 2,175
2013年 2,580
2012年 3,387
2011年 3,049
2010年 1,871
2009年 1,874
2008年 1,937
2007年 5,188
2006年 2,004
2005年 2,124
2004年 2,500
2003年 2,373
2002年 2,258
2001年 2,100
2000年 2,075
1999年 2,004
1998年 2,000
1997年 1,835
1996年 1,760
1995年 1,800
1994年 1,613
1993年 1,700
1992年 1,449
1991年 1,395
1990年 1,500
1989年 1,200
1988年 1,200
1987年 1,000
1986年 800
1985年 800
1984年 800
1983年 800
1982年 800
1981年 800
1980年 800

マリの大豆生産量推移データは、同国の農業セクターにおける劇的な変化を示しています。1980年代までの20年間、年間800トン前後の低水準で横這いを続けていましたが、1990年代に入ると生産量が徐々に増加し始めました。この時期の上昇は、国内の農業技術向上や市場のニーズの変化によるものと考えられます。

2000年代中盤に入ると、生産量は急激に伸びを見せる一方で、大きな変動も見られました。特に2007年の5,188トンや2015年の5,261トン、そして2016年の11,769トンという急増と、2008年や2009年の大幅な下降が繰り返されています。このような変動は、気候の不安定さや農業インフラの未整備、また外部要因である政治的・地政学的要素が影響している可能性があります。西アフリカ地域では、特にマリは干ばつや降雨不足といった気候変動の影響を受けやすい地域であり、大規模農業を持続的に成長させるのは非常に困難とされています。

その一方で、2016年以降は年間生産量が急上昇し、持続可能な増加傾向に入っています。例えば2020年以降における14,685トンや2022年の20,070トンという記録的生産量は、政府が行った大豆栽培奨励政策や、農業インフラの整備が成果を挙げ始めたことを示していると考えられます。また、世界的に植物性タンパク質の需要が高まる中で、大豆の需要が増加していることも背後にあると推測されます。

一方で、課題も残されています。マリの生産量は急成長しているものの、未だに主要生産国であるアメリカやブラジル、中国など大豆大国に比べると規模は小さく、市場競争では強い立場を確立するのは容易ではありません。また、気候変動の影響や政治的な安定性の不足が生産量に直接的なリスクをもたらしており、これが今後の持続可能な成長に影響を与える可能性が指摘されます。

これらの課題に対して、具体的な対策としては以下のような施策が考えられます。まず、降雨の少ない地域でも安定して栽培可能な高耐久性の大豆の品種を普及させることが重要です。また、乾燥地帯の灌漑技術の適用やスマート農業技術を導入し、生産効率を向上させる必要があります。さらに、地域内外での協力を強化し、輸出市場の多様化を図ることも鍵となります。例えば、アフリカ内の自由貿易協定(AfCFTA)を活用し、輸出先を広げることが経済的な安定に寄与するでしょう。

結論として、マリの大豆生産量は近年大幅な成長を遂げており、同国の農業部門が成長している兆候を示しています。しかし、大きな機会を活かすためには、気候変動や地政学的リスクを考慮した持続可能な農業政策が必要不可欠です。今後、国際的な支援や地域協力を通じて、マリが西アフリカにおける主要な大豆生産国としての地位を確立することが期待されます。