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ホンジュラスの大豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データ(2024年7月更新)によると、ホンジュラスにおける大豆生産量はここ数十年で大きな変動を示しています。1993年の2,113トンから1995年には10,000トンに急増しましたが、その後は一転して減少傾向が続き、2000年代には年間約1,500~3,000トンで推移する低水準が長く続きました。2014年以降、若干の持ち直しが見られるものの、2022年の1,619トンという数字はかつての高水準に及ばず、生産量の停滞が顕著です。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,194
35.52% ↑
2022年 1,619
-1.61% ↓
2021年 1,645
1.34% ↑
2020年 1,623
-20.15% ↓
2019年 2,033
-6.75% ↓
2018年 2,180
-1.36% ↓
2017年 2,210
0.45% ↑
2016年 2,200
0.92% ↑
2015年 2,180
-0.91% ↓
2014年 2,200
73.25% ↑
2013年 1,270 -
2012年 1,270 -
2011年 1,270 -
2010年 1,270
-0.42% ↓
2009年 1,275
-3.24% ↓
2008年 1,318
-4.42% ↓
2007年 1,379
-13.83% ↓
2006年 1,600
3.63% ↑
2005年 1,544
2.59% ↑
2004年 1,505
-2.4% ↓
2003年 1,542
3.28% ↑
2002年 1,493
-0.47% ↓
2001年 1,500
-50% ↓
2000年 3,000 -
1999年 3,000 -
1998年 3,000
-57.14% ↓
1997年 7,000
-12.5% ↓
1996年 8,000
-20% ↓
1995年 10,000
78.59% ↑
1994年 5,599
165% ↑
1993年 2,113 -

ホンジュラスの過去30年ほどにおける大豆生産の動向を見ると、1990年代半ばに生産量がピークを迎えた後、急激な減少に転じ、その後安定した低迷期に入ったことが分かります。この背景には、気候条件の悪化、土壌の劣化、農業技術の停滞といった複合的な要因が関与していると考えられます。特に1998年頃以降、大豆生産量は3,000トン前後で横ばい状態が続き、その後2000年代には1,500トン程度まで縮小し、持続的な成長が見られませんでした。

注目すべき点は、2014年に一度2,200トン超に回復したものの、この改善が一時的であったことです。その後は再び生産量の減少に転じ、2022年には1,619トンとさらに低い水準に落ち込んでいます。他の主要生産国であるアメリカやブラジルに比べ、生産規模が小さく、設備投資や研究開発、農業イノベーションへの取り組みも少ないことが課題として浮かび上がります。これらの国々は、科学的な土壌改良や品種改良を進めることで、持続可能な形で大豆生産の増加を実現しています。

地政学的リスクもまた、ホンジュラスの農業に影響を及ぼしています。例えば、気候変動が中南米全体に及ぼす影響は深刻で、ホンジュラスも例外ではありません。干ばつや激しい豪雨といった極端な気候変動が農業生産に悪影響を及ぼし、収穫量の変動を招いています。さらに、政治的な不安定性やインフラの未整備といった地元の問題が、生産と輸出を抑制する要因となっている可能性があります。

新型コロナウイルス感染症の影響も無視できません。2020年以降、世界的な物流網の混乱や労働力不足がホンジュラスの大豆産業に打撃を与えました。この影響から完全に回復するには、まだ時間を要する状況にあります。

今後、ホンジュラスがこの流れを改善し、大豆生産量を持続的に増加させるためには、いくつかの具体的な対策を講じる必要があります。まず、気候変動に適応する農業技術の導入が不可欠です。灌漑設備の改良や耐候性のある大豆品種の開発・普及がその中心となるでしょう。また、小規模農家への資金援助や教育プログラムを拡充することで、生産技術の向上と持続可能な農地の管理を支援することが求められます。さらに、地域間協力を強化し、南米の大豆生産大国と知識や技術を共有する枠組みを構築することも、将来的に重要な課題と言えます。

このような施策を通じ、ホンジュラスが安定的かつ持続可能な形で大豆の生産量を増やすことができれば、国内の食糧安全保障の強化や輸出市場拡大につながるでしょう。この目標を達成するためには、国際社会の支援が不可欠であり、国連や国際金融機関による資金援助や技術指導が一層重要になると考えられます。