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モロッコの大豆生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したモロッコの大豆生産量データによると、1980年代から1990年代初頭にかけて大豆生産量は大きく増加したものの、1990年代半ば以降は減少傾向を示し、2000年代以降はほぼ一定の水準(年間約1,000トン)で推移しています。この動向はモロッコ国内の農業政策や気候条件、国際市場需要の変化に影響を受けていると考えられます。

年度 生産量(トン)
2022年 1,000
2021年 1,000
2020年 1,000
2019年 1,000
2018年 1,000
2017年 1,000
2016年 1,000
2015年 1,000
2014年 1,000
2013年 1,000
2012年 1,000
2011年 1,000
2010年 1,000
2009年 1,000
2008年 1,000
2007年 1,000
2006年 1,000
2005年 1,000
2004年 1,000
2003年 1,000
2002年 1,000
2001年 1,000
2000年 1,200
1999年 1,120
1998年 800
1997年 1,000
1996年 2,460
1995年 4,010
1994年 4,000
1993年 4,000
1992年 4,300
1991年 15,000
1990年 8,560
1988年 3,000
1987年 4,000
1986年 2,000
1985年 1,000
1984年 800
1983年 500
1982年 300
1981年 500

モロッコの大豆生産量は1981年には年間500トンで始まりました。その後、大豆生産は1980年代を通じて増加し、1987年には4,000トン、1991年には15,000トンというピークに達しました。この増加はモロッコでの国内需要の拡大、輸出市場に向けた生産強化、および政府の農業開発戦略の一環としての取り組みが背景にあると考えられます。

しかし、1990年代中期以降、モロッコの大豆生産量は急激に減少しました。この時期、1992年には4,300トン、1996年には2,460トン、1997年には1,000トンまで減少し、2000年以降は年間1,000トンの一定水準で長期間推移しています。この低迷の主な要因として、気候変動による干ばつの影響、水資源の枯渇、農業インフラの限界、そして国際市場における競争激化が挙げられます。特に、大豆は水を多く必要とする作物であり、モロッコの乾燥した気候環境において持続的な生産が難しい点が大きな課題と言えます。

さらに、国際市場からの輸入大豆が国内消費を満たしているため、国内生産の重要性が相対的に低下したことも現状を説明する要素です。例えば、大豆は家畜飼料や食用油としての需要が高い穀物ですが、輸入品が品質とコストの面で競争優位に立っているため、モロッコの農業者にとって大豆生産が経済的に魅力的でなくなっています。

地政学的な側面を考慮すると、モロッコは欧州、中東、アフリカ市場へのアクセスに有利な立地条件を有しているものの、水資源を巡る地域的な競争や気候変動に伴う砂漠化の進行が重大なリスクとなっています。大豆のような水要求量の高い作物の生産は、これらの環境的、地政学的な脅威の影響を特に受けやすいと考えられます。

将来的に大豆生産を再び拡大するためには、いくつかの課題克服と政策の見直しが必要です。たとえば、より持続可能な農業技術の導入、品種改良による水使用効率の向上、節水型灌漑システムの普及を進めることで、大豆生産の安定化が図れる可能性があります。また、地域間協力を強化し、例えばサブサハラ地域やヨーロッパ市場との連携を深めることで、輸出の拡大と市場競争力の強化が期待されます。

結論として、モロッコの大豆生産の推移は1980年代の成長期、1990年代半ばの急激な低迷、そして2000年以降の停滞という明確な3つの時期に分けられます。この状況を踏まえて、気候適応策の推進と農業技術革新に注力することで、持続可能な形で大豆生産を改善する余地が残されていると言えます。国際機関や地域パートナーシップを活用しながら、大豆を含む主要作物の生産基盤を強化することが、モロッコの食料安全保障と地域経済の安定に貢献する重要なステップとなるでしょう。