Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、ブルンジの大豆生産量は1961年から2022年にかけて大きく変動しました。特に2000年代以降、生産量の著しい拡大が見られ、2006年には初めて3,000トンを突破しました。2015年に生産量が急落した後、2016年以降はおおむね安定傾向を示していますが、2020年代に入り、年間2,400トン前後で停滞しています。長期的な視点では、生産量増加の背景に農業技術や支援の向上がある一方で、減少や停滞は複数の課題や外的要因が影響していると考えられます。
ブルンジの大豆生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 2,311 |
-4.1% ↓
|
2022年 | 2,410 |
-0.72% ↓
|
2021年 | 2,427 |
-2.85% ↓
|
2020年 | 2,498 |
-2.55% ↓
|
2019年 | 2,564 |
7.42% ↑
|
2018年 | 2,387 |
10.14% ↑
|
2017年 | 2,167 |
-9.52% ↓
|
2016年 | 2,395 |
36.63% ↑
|
2015年 | 1,753 |
-51.95% ↓
|
2014年 | 3,648 |
3.81% ↑
|
2013年 | 3,514 |
69.35% ↑
|
2012年 | 2,075 |
-18.29% ↓
|
2011年 | 2,540 |
-9.72% ↓
|
2010年 | 2,813 |
-12.1% ↓
|
2009年 | 3,200 |
1.59% ↑
|
2008年 | 3,150 |
1.61% ↑
|
2007年 | 3,100 |
3.33% ↑
|
2006年 | 3,000 |
42.86% ↑
|
2005年 | 2,100 |
16.67% ↑
|
2004年 | 1,800 |
12.5% ↑
|
2003年 | 1,600 |
18.52% ↑
|
2002年 | 1,350 |
12.5% ↑
|
2001年 | 1,200 |
50% ↑
|
2000年 | 800 |
128.57% ↑
|
1999年 | 350 |
-12.5% ↓
|
1998年 | 400 |
-17.57% ↓
|
1997年 | 485 |
21.32% ↑
|
1996年 | 400 |
-20% ↓
|
1995年 | 500 |
25% ↑
|
1994年 | 400 |
-12.16% ↓
|
1993年 | 455 |
-7.53% ↓
|
1992年 | 492 |
-17.92% ↓
|
1991年 | 600 |
20% ↑
|
1990年 | 500 |
-16.67% ↓
|
1989年 | 600 | - |
1988年 | 600 | - |
1987年 | 600 | - |
1986年 | 600 |
20% ↑
|
1985年 | 500 |
150% ↑
|
1984年 | 200 |
-50% ↓
|
1983年 | 400 |
100% ↑
|
1982年 | 200 |
-75% ↓
|
1981年 | 800 |
116.22% ↑
|
1980年 | 370 |
-7.5% ↓
|
1979年 | 400 | - |
1978年 | 400 |
-42.86% ↓
|
1977年 | 700 | - |
1976年 | 700 | - |
1975年 | 700 |
-12.5% ↓
|
1974年 | 800 |
14.29% ↑
|
1973年 | 700 | - |
1972年 | 700 | - |
1971年 | 700 | - |
1970年 | 700 | - |
1969年 | 700 | - |
1968年 | 700 | - |
1967年 | 700 | - |
1966年 | 700 | - |
1965年 | 700 | - |
1964年 | 700 | - |
1963年 | 700 | - |
1962年 | 700 | - |
1961年 | 700 | - |
ブルンジは、長らく食料安全保障が主要課題となっている小規模農業国の一つです。1961年から1970年代中頃までは、大豆生産量がほぼ700トンで安定していました。その後1978年から1980年代半ばにかけて、生産量が徐々に減少し、1980年代初頭に200トン台まで落ち込むこともありました。この時期は、地政学的な不安定さや農業資源の不足、気候変動の影響が背景にあると推測されます。
2000年以降の生産量の増加は注目に値します。この時期、大豆の需要は国内外で増加し、それに応じた農業投資や種子の改良技術が導入されたことが背景にあります。特に2005年から2009年にかけての急増は、生産性向上を目的とした農業政策と関連している可能性が高いです。このような背景から、ブルンジは大豆生産を国の食料供給基盤として強化する重要性を認識し始めたものと思われます。
一方で、2015年には1,700トン台まで生産量が急減しました。この要因として、気象条件の悪化や土壌劣化が挙げられるほか、地域的な衝突や政治的緊張が生産活動に影響を与えた可能性があります。その後、生産量は持ち直しましたが、2022年時点では2,400トン前後で停滞しています。この停滞は、農業支援の限界やインフラ整備の不足などの構造的な課題に起因していると考えられます。
ブルンジにおける大豆生産の重要性は、栄養面・経済面の両側面から明白です。大豆は高タンパク・高栄養の作物であるため、小規模農家や都市住民の栄養改善に寄与します。また、世界的な植物性タンパク需要の増加に伴い、輸出産業としての可能性を秘めています。しかし、ブルンジがこの潜在能力を充分に活かすためには、いくつかの課題に取り組む必要があります。
まず、気象変動への対応が必要です。頻発する干ばつや洪水は作物の生産量に直接影響を及ぼします。ブルンジ政府および国際協力機関は、灌漑設備の導入や気候に強い大豆品種の開発を進めるべきです。次に、生産者への技術支援と金融支援の拡充が求められます。小規模農家は生産手法の改善や肥料・農薬の購入に限界があるため、マイクロファイナンスや農業教育の提供が効果的です。
さらに、国内市場の拡大と輸出可能性を強化するためには、物流インフラの整備が不可欠です。特に、周辺国(ルワンダ、タンザニア、コンゴ民主共和国など)との連携を強化し、地域市場の需要を取り込む仕組みを構築することが、経済的な持続可能性を向上させるでしょう。
結論として、ブルンジの大豆生産は過去数十年で一定の成長を見せているものの、現在は停滞気味であり、持続的な発展には多面的な政策と国際協力が不可欠です。FAOを含む国際機関は、資金援助や技術提供を通じてブルンジ農業の発展を支援するべきです。また、ブルンジ政府においては、中長期的な農業計画を策定し、生産能力の向上を目指して取り組むことが求められます。このような取り組みにより、ブルンジは栄養改善と輸出産業拡大の両立を実現し、地域全体の食料安全保障にも寄与できるでしょう。