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ザンビアの大豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、ザンビアの大豆生産量は過去50年で著しく増加しています。1973年にはわずか173トンだった生産量が、2022年には475,353トンに達し、特に2010年以降の成長が顕著です。この増加は、国の農業政策や地政学的背景、多国間の需要と供給のバランスに影響を受けており、近年ではアフリカにおける主要な生産国の1つとしての地位を確立しています。一方で、1980年代後半や1990年代初頭の停滞期や、1992年、2001年のような著しい減少が見受けられ、歴史的に不安定な傾向も見られます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 760,067
59.9% ↑
2022年 475,353
15.63% ↑
2021年 411,115
38.49% ↑
2020年 296,866
5.5% ↑
2019年 281,389
-7.05% ↓
2018年 302,720
-13.86% ↓
2017年 351,416
31.38% ↑
2016年 267,490
18.19% ↑
2015年 226,323
5.67% ↑
2014年 214,179
-17.96% ↓
2013年 261,063
28.58% ↑
2012年 203,038
74.22% ↑
2011年 116,539
4.16% ↑
2010年 111,887
-5.81% ↓
2009年 118,794
109% ↑
2008年 56,839
2.98% ↑
2007年 55,194
-4.53% ↓
2006年 57,815
-35.52% ↓
2005年 89,660
273.58% ↑
2004年 24,000
100% ↑
2003年 12,000
33.33% ↑
2002年 9,000
282.98% ↑
2001年 2,350
-91.7% ↓
2000年 28,311
6.02% ↑
1999年 26,704
115.77% ↑
1998年 12,376
-57.75% ↓
1997年 29,292
-26.86% ↓
1996年 40,050
89.55% ↑
1995年 21,129
-14.21% ↓
1994年 24,630
-5.27% ↓
1993年 26,001
271.12% ↑
1992年 7,006
-74.72% ↓
1991年 27,713
3.44% ↑
1990年 26,791
30.19% ↑
1989年 20,578
-4.87% ↓
1988年 21,632
60.69% ↑
1987年 13,462
-15.37% ↓
1986年 15,906
7.93% ↑
1985年 14,738
12.05% ↑
1984年 13,153
65.4% ↑
1983年 7,952
8.87% ↑
1982年 7,304
98.86% ↑
1981年 3,673
84.67% ↑
1980年 1,989
53.71% ↑
1979年 1,294
-54.5% ↓
1978年 2,844
123.23% ↑
1977年 1,274
34.96% ↑
1976年 944
38.21% ↑
1975年 683
70.75% ↑
1974年 400
131.21% ↑
1973年 173 -

ザンビアの大豆生産量は、このデータから明らかなように、経済的・政策的背景の変化や国際市場の需要に応じて劇的に変動してきました。1973年から1982年の間、生産量は比較的緩やかに、かつ着実に増加していました。しかし1979年や1987年、1992年の大幅な落ち込みが示すように、気候変動や農業生産基盤の脆弱性が強く影響を与える時期もありました。特に1992年の生産量は7,006トンと急激に減少しており、この年の干ばつの影響が推測されます。

注目すべきは、2005年以降の大幅な生産量の拡大です。2005年の89,660トンから2013年の261,063トン、さらに2022年には475,353トンまで成長し、この期間においてザンビアはアフリカ大陸内での大豆の主要生産国としての地位を急速に高めました。この成長の要因の一つとして、農業分野への政策支援が挙げられます。具体的には、肥料や種子の補助金制度、近代的な農業技術の導入、そして多国間での自由貿易協定などの経済的枠組みがプラスに働きました。

しかし、この成長には課題も伴います。ザンビアの農業は依然として気候変動に対して脆弱であり、特に雨季に依存した農業モデルを採用しているため、降雨不足や豪雨による影響を受けやすい状況にあります。また、輸出市場の国際競争力を高めるためには、農産品の品質基準を国際規格に合わせる努力が必要です。例えば、世界の主要消費国であるアメリカ、中国、インド、欧州連合諸国(ドイツ、フランス、イギリスを含む)では、大豆製品の需要が継続的に増加していますが、それに応えるためにザンビアの農業インフラや輸出体制を強化することが重要です。

さらに、ザンビアにおける経済的不安定さや地政学的背景も、大豆産業の将来の成長に影響を与える要因です。特定の年の生産量の急減は、頻繁に発生する政情不安やインフラの不足、そして世界的な市場変動などが原因と考えられます。例えば、2021年から2022年にかけての生産量急増は国際市場の高需給調整の影響もありましたが、これに依存しすぎることはリスクを伴います。

将来的には、気候変動に対応できる農業技術の導入が必要です。乾燥に強い大豆の新品種の導入や灌漑システムの整備、農業従事者への技術指導を強化することで、気候の影響を最小限に抑える努力が求められます。また、地域間協力を通じて、南部アフリカ経済共同体(SADC)の枠組みで、他の地域と共に最大限の成長を実現するための戦略を練ることが提案されます。

結論として、ザンビアは大豆生産において高いポテンシャルを示していますが、気候変動、市場の変動、地政学的リスクという複数の課題を克服する必要があります。国際機関や政府としては、持続可能な農業モデルの推進と地域経済統合を通じ、経済的な競争力をさらに高めるための具体的な対策を取るべきです。これにより、ザンビアは地域のリーダーとしての位置を確立し、さらに世界市場でも重要なプレイヤーとなる可能性を秘めています。