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ネパールの大豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が提供する最新データによると、ネパールの大豆生産量は1961年には2,000トンでしたが、その後ゆっくりと増加し、1980年代に入って急激な成長を遂げました。2000年代には、年間20,000トン以上の生産が安定的に続き、2022年には過去最高となる35,138トンを記録しました。一方で、一部の年には生産量の減少が見られ、その背景には気象条件の変動や農業基盤の課題が影響している可能性が挙げられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 36,672
4.36% ↑
2022年 35,138
14.65% ↑
2021年 30,648
-11.28% ↓
2020年 34,544
9.43% ↑
2019年 31,567
14.04% ↑
2018年 27,681
-4.75% ↓
2017年 29,061
0.5% ↑
2016年 28,917
2.11% ↑
2015年 28,319
0.29% ↑
2014年 28,237
-3.37% ↓
2013年 29,221
3.36% ↑
2012年 28,270
-0.17% ↓
2011年 28,318
28.48% ↑
2010年 22,041
2.73% ↑
2009年 21,456
2.16% ↑
2008年 21,003
0.2% ↑
2007年 20,961
1.85% ↑
2006年 20,580
3.83% ↑
2005年 19,820
2.36% ↑
2004年 19,363
3.65% ↑
2003年 18,681
3.66% ↑
2002年 18,022
3.16% ↑
2001年 17,470
4.11% ↑
2000年 16,780
-5.84% ↓
1999年 17,820
14.72% ↑
1998年 15,533
7.72% ↑
1997年 14,420
5.18% ↑
1996年 13,710
-2.7% ↓
1995年 14,090
25.66% ↑
1994年 11,213
-4.57% ↓
1993年 11,750
2.8% ↑
1992年 11,430
-10.21% ↓
1991年 12,730
-0.86% ↓
1990年 12,840
1.1% ↑
1989年 12,700
8.55% ↑
1988年 11,700
15.84% ↑
1987年 10,100
24.69% ↑
1986年 8,100
10.96% ↑
1985年 7,300
17.74% ↑
1984年 6,200
24% ↑
1983年 5,000 -
1982年 5,000 -
1981年 5,000 -
1980年 5,000 -
1979年 5,000 -
1978年 5,000
11.11% ↑
1977年 4,500 -
1976年 4,500 -
1975年 4,500 -
1974年 4,500 -
1973年 4,500
12.5% ↑
1972年 4,000 -
1971年 4,000
14.29% ↑
1970年 3,500 -
1969年 3,500
16.67% ↑
1968年 3,000 -
1967年 3,000
20% ↑
1966年 2,500 -
1965年 2,500 -
1964年 2,500
25% ↑
1963年 2,000 -
1962年 2,000 -
1961年 2,000 -

ネパールはアジアのヒマラヤ地域に位置し、主に農業が経済の基盤となっています。その中でも大豆生産は重要な役割を果たしており、国内の食料需要を満たすだけでなく、経済活動においても一定の貢献をしています。しかし、大豆生産量の推移を見ると、増加基調にあるものの年によってばらつきが見られ、その原因を探る必要があります。

1960年代から1980年代にかけての緩やかな増加は、大豆の栽培がまだ限定的であったことや、農業技術が発展途上であったことを示唆しています。しかし1980年代になると、生産量が急増する転換期を迎えました。この変化の背景には、農業技術の改善や大豆栽培の普及、政府による農業支援政策が影響していると考えられます。この成長は、食料の多様化に対応するために大豆が重要な作物として認識され始めた結果といえるでしょう。

1990年代中盤には一部で生産量が減少した時期がありました。これには、気候変動による降雨パターンの変化や、インフラの未整備などが関与していると思われます。さらに2000年代以降は再び生産量が堅調に増加し、20,000トンを上回る安定期に入りました。この時期には、農薬や肥料の普及、灌漑施設の整備など技術面での向上が寄与している可能性があります。

2020年代に入ってからは特に大きな増加が見られ、2022年には35,138トンに達しました。この背景には、生産性向上を目的とした土地改良政策や農民の啓発活動、さらに国際市場の需要拡大が挙げられます。一方で、2018年や2021年など、一部の年では減少が見られることから、依然として安定供給への課題が残されていると言えます。このような減少の要因には、気候変動による自然災害や生産コストの上昇といった外部的要因が含まれていると推察されます。

ネパールの大豆生産における今後の課題としては、気候リスクの管理、輸送や加工施設のインフラ改善、さらに国内外市場へのアクセス強化が挙げられます。他国の事例を見ると、中国やインドでは、大豆の生産拡大が農地の効率的利用や多収性品種の導入、輸出の強化を通じて行われています。一方、日本や韓国では、天然資源の少なさを補うために輸入大豆を活用しながら、国内での高品質品種の開発を進めています。ネパールもこのような成功例を参考にしつつ、自国に適したモデルを構築することが重要です。

さらに地政学的視点からも、大豆を含む主要農作物は国家の食料安全保障に直結するため、政府および国際機関による支援が欠かせないでしょう。特に、近年のグローバルな需給変動や価格高騰のリスクへの対策が必要です。具体的には、生産者と消費者を結びつけるサプライチェーンの強化と、農業経営を支援する金融政策や技術供給の改革が推奨されます。また、地域の協力体制を深めるべく、南アジア諸国との農業協定を推進することも考えられます。

結論として、ネパールの大豆生産は長期的には成長し続けており、これをさらに維持・発展させるための具体的な施策が重要です。生産性向上に加え、持続可能性を考慮した農業技術の導入、効率的な資源管理、そして市場連携を重視すべきです。これらは、国内の経済安定化と国際的な競争力向上の両面で大きな意味を持つでしょう。