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ミャンマーの大豆生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関の最新データによると、ミャンマーの大豆生産量は1961年から顕著な増加を見せ、2008年には240,000トンでピークを迎えました。しかしそれ以降、2010年を境に急激に減少に転じ、2022年には131,223トンまで減少しました。特に2011年以降、生産量の減少傾向が明確で、過去のピーク値と比較すると約45%の低下となっています。このデータはミャンマーの食料生産と輸出における重要な基礎情報を提供しており、その変動には内政不安や気候変動、国際市場の需給関係が大きな影響を与えています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 137,699
4.94% ↑
2022年 131,223
-1.83% ↓
2021年 133,664
-1.09% ↓
2020年 135,132
-4.8% ↓
2019年 141,939
-1.24% ↓
2018年 143,717
-1.2% ↓
2017年 145,465
-2.49% ↓
2016年 149,185
-3.31% ↓
2015年 154,300
-1.41% ↓
2014年 156,500
-2.55% ↓
2013年 160,600
-1.23% ↓
2012年 162,600
0.43% ↑
2011年 161,900
-36.39% ↓
2010年 254,500
0.32% ↑
2009年 253,700
5.71% ↑
2008年 240,000
12.36% ↑
2007年 213,600
6.37% ↑
2006年 200,800
8.02% ↑
2005年 185,900
17.81% ↑
2004年 157,800
7.71% ↑
2003年 146,500
20.08% ↑
2002年 122,000
2.78% ↑
2001年 118,700
9.4% ↑
2000年 108,500
11.4% ↑
1999年 97,400
16.09% ↑
1998年 83,900
14.31% ↑
1997年 73,400
19.35% ↑
1996年 61,500
-4.95% ↓
1995年 64,700
32.31% ↑
1994年 48,900
45.54% ↑
1993年 33,600
12.75% ↑
1992年 29,800
12.45% ↑
1991年 26,500
3.86% ↑
1990年 25,515
-5.34% ↓
1989年 26,955
-1.04% ↓
1988年 27,239
0.84% ↑
1987年 27,013
18.3% ↑
1986年 22,835
-2.69% ↓
1985年 23,466
6.33% ↑
1984年 22,070
7.23% ↑
1983年 20,582
6.8% ↑
1982年 19,271
11.96% ↑
1981年 17,212
14.57% ↑
1980年 15,023
-4.42% ↓
1979年 15,717
-0.63% ↓
1978年 15,817
-4.38% ↓
1977年 16,541
33.05% ↑
1976年 12,432
-7.49% ↓
1975年 13,439
15.01% ↑
1974年 11,685
-14.81% ↓
1973年 13,717
5.53% ↑
1972年 12,998
2.31% ↑
1971年 12,705
0.03% ↑
1970年 12,701
19.05% ↑
1969年 10,669
0.97% ↑
1968年 10,567
18.16% ↑
1967年 8,943
-1.98% ↓
1966年 9,124
23.48% ↑
1965年 7,389
-6.39% ↓
1964年 7,893
-29.58% ↓
1963年 11,209
5.06% ↑
1962年 10,669
837.52% ↑
1961年 1,138 -

ミャンマーの大豆生産量は、1961年以来徐々に増加し、特に1980年代後半から2000年代にかけて急成長を遂げました。1980年の15,023トンから、2008年には240,000トンという驚異的な成長を記録し、この期間で16倍以上の伸びを達成しています。こうした増加の背景には、国内の農業政策による集約型生産の導入や、農地の拡張、そして世界的な大豆需要の増加が寄与しています。特に中国やインドなどのアジア諸国での大豆製品需要の拡大が、ミャンマーの生産拡大を後押ししました。

しかしながら、2010年を境に大豆の生産量は急激に低下し、2022年には131,223トンと約45%の減少を記録しました。この変化の背景にはいくつかの要因が考えられます。一つは、2011年以降のミャンマー国内における政治的混乱や内戦の長期化により、農業インフラが損なわれたことです。これにより、農地の管理や灌漑システムの維持が困難となり、農作物の生産性に悪影響を及ぼしました。さらに、近年顕著化している気候変動の影響も無視できません。例えば、旱魃や集中豪雨などの極端な気象現象が頻発し、収穫量の不安定化を招いている可能性があります。

もう一つ重要な要因として、近年の国際市場の変動があります。アジア諸国を中心にした大豆の主要輸入国は、価格競争や品質評価の面で他地域の大豆を選ぶ傾向を強めています。そのため、ミャンマー産大豆の供給需要バランスが崩れ、国内生産が減少する一因となりました。また、大豆以外の作物への農地転換による影響も指摘されています。一部の地域では、利益率の高い他の作物が優先されることで、大豆の栽培面積が縮小してきたとの報告があります。

これらの減少傾向を改善するためには、まず国内外に向けた政策の見直しが重要です。国内的には、農地の効率的な利用や最新農業技術の導入、灌漑設備の再構築を進めることが求められます。政府が農家への直接的な支援を強化し、肥料や種子の提供、農業機械の導入促進などを図るべきです。また、国際的には、輸出先国との交渉を進め、ミャンマー産大豆の市場競争力を高めるためのブランド価値の構築が必要です。そのためには、品質向上とともに、認証制度などを活用して国際的な信頼を得ることが大切です。

さらに、気候変動への対策も不可欠です。例えば、耐乾性や耐病性を持つ作物品種の開発を進める研究支援が考えられます。また、地域共同体を活用した防災システムの強化や情報共有体制の整備を通じて、災害時の被害を最小限に抑える取り組みも重要です。

ミャンマーの大豆生産の持続可能な発展は、国内の農村地域の安定だけでなく、国全体の経済成長や食料安全保障にとっても極めて重要です。他国の事例では、ブラジルやアメリカなどの大規模な大豆生産国が農業改革や技術革新を行うことで、世界市場での地位を確立しています。これらの実例を参考に、ミャンマーも国内の生産環境を最適化し、将来的な供給安定化と国際競争力の強化を目指す必要があります。国連や国際農業機関との協力を深め、専門的な助言や資金援助を活用するも一案です。