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アルゼンチンの大豆生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に更新した最新データによると、アルゼンチンの大豆生産量は1961年の957トンから劇的な増加を遂げ、2015年には61,446,556トンとピークに達しました。しかし、近年では天候や経済的要因によって減少し、2022年の生産量は43,861,066トンとなっています。このデータは、アルゼンチンが大豆生産国としての国際的な地位を確立した一方で、長期的な課題に直面していることを示唆しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 25,044,978
-42.9% ↓
2022年 43,861,066
-5.1% ↓
2021年 46,217,911
-5.25% ↓
2020年 48,780,407
-11.73% ↓
2019年 55,263,891
46.25% ↑
2018年 37,787,927
-31.26% ↓
2017年 54,971,626
-6.51% ↓
2016年 58,799,258
-4.31% ↓
2015年 61,446,556
15.07% ↑
2014年 53,397,715
8.3% ↑
2013年 49,306,200
22.96% ↑
2012年 40,100,196
-17.98% ↓
2011年 48,888,536
-7.19% ↓
2010年 52,675,464
69.96% ↑
2009年 30,993,380
-32.97% ↓
2008年 46,238,088
-2.62% ↓
2007年 47,482,784
17.13% ↑
2006年 40,537,364
5.87% ↑
2005年 38,289,744
21.26% ↑
2004年 31,576,752
-9.31% ↓
2003年 34,818,552
16.06% ↑
2002年 30,000,000
11.6% ↑
2001年 26,880,852
33.5% ↑
2000年 20,135,800
0.68% ↑
1999年 20,000,000
6.77% ↑
1998年 18,732,172
70.22% ↑
1997年 11,004,890
-11.59% ↓
1996年 12,448,200
2.6% ↑
1995年 12,133,000
3.52% ↑
1994年 11,719,900
6.11% ↑
1993年 11,045,400
-2.34% ↓
1992年 11,310,000
4.12% ↑
1991年 10,862,000
1.51% ↑
1990年 10,700,000
64.62% ↑
1989年 6,500,000
-34.34% ↓
1988年 9,900,000
47.76% ↑
1987年 6,700,000
-5.63% ↓
1986年 7,100,000
9.23% ↑
1985年 6,500,000
-7.14% ↓
1984年 7,000,000
75% ↑
1983年 4,000,000
-3.61% ↓
1982年 4,150,000
10.08% ↑
1981年 3,770,000
7.71% ↑
1980年 3,500,000
-5.41% ↓
1979年 3,700,000
48% ↑
1978年 2,500,000
78.57% ↑
1977年 1,400,000
101.44% ↑
1976年 695,000
43.3% ↑
1975年 485,000
-2.22% ↓
1974年 496,000
82.35% ↑
1973年 272,000
248.72% ↑
1972年 78,000
32.2% ↑
1971年 59,000
120.15% ↑
1970年 26,800
-15.72% ↓
1969年 31,800
44.55% ↑
1968年 22,000
7.32% ↑
1967年 20,500
12.64% ↑
1966年 18,200
7.06% ↑
1965年 17,000
21.43% ↑
1964年 14,000
-26% ↓
1963年 18,920
68.63% ↑
1962年 11,220
1072.41% ↑
1961年 957 -

アルゼンチンは、大豆の主要生産国の一つであり、特に南アメリカ地域ではブラジル、アメリカ合衆国に次ぐ大豆の供給国として世界市場において重要な役割を果たしています。この国の大豆生産量は、1960年代にはほとんど目立たない水準に留まっていましたが、1970年代以降に急激に増加しました。この成長は、大豆が高収益性の作物として採用されたことや、アルゼンチンの地理的条件(例えば広大で肥沃な土壌)がそれを支えたことによるものです。さらに、トウモロコシや小麦から大豆への作付け転換などの農業慣行の変化も、この飛躍的成長を後押ししました。

データを詳しく見ると、1984年には生産量が7,000,000トンを突破し、以降1990年代には年間約10,000,000トン以上の生産が維持されました。特筆すべきは、2000年代の大豆生産量の爆発的な成長であり、2015年には過去最高の61,446,556トンを記録しました。これは、遺伝子組み換え(GMO)大豆の普及や近代的な農業技術の導入が成果を上げたことを示しています。しかし、それ以降は減少傾向が見られ、2022年の生産量は43,861,066トンにまで減少しています。

この減少にはいくつかの要因が挙げられます。第一に、天候の不安定性、特に干ばつや異常気象が収量に影響を与えています。例えば、2018年には厳しい干ばつが発生し、生産量が急落しています。第二に、農業における政策的な不安定性や経済的な制約が、大豆農家の負担を増加させています。アルゼンチンでは、頻発するインフレーションや通貨の不安定さが投資を阻害し、生産効率の向上が遅れがちとなっています。また、地政学的リスクとして、世界の農産物市場における国際競争や輸出税政策が影響を与えている点も見逃せません。

以上を踏まえると、アルゼンチンにおける大豆生産には以下の課題と改善策が求められます。まず、気候変動によるリスクに対応する新しい農業技術や作物育種の導入が急務とされています。被災地域の農家に対する補助金や災害保険の拡充も重要です。また、政策面では、農家の収益を保護する税制の見直しや、インフラ整備による国内流通の効率化が生産性向上に寄与すると考えられます。加えて、国際的には、気候安定型の農業技術の研究を他国と協力して進めることが、アルゼンチンの競争力を高める鍵となるでしょう。

今後、アルゼンチンは持続可能な方法で大豆生産の維持・拡大を進めるために、農業経済と環境保護を両立させる政策の実現が求められます。また、大豆が主要輸出品であることから、地政学的な安定を確保しつつ、輸出先の多様化を目指すことが重要です。国際市場での地位を維持しつつ、国内農業の効率と安定性を向上させる取り組みが大豆生産の未来を切り開くカギとなるでしょう。