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ラオス人民民主共和国の大豆生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organizationにより提供された最新データによると、ラオス人民民主共和国の大豆生産量は1961年の3,100トンから2022年の14,772トンまで増加しています。この間、特定の年で顕著な変動が見られ、生産量のピークは2009年の19,425トンでしたが、その後は減少や回復を繰り返す動きが確認されています。近年では、2020年以降は14,000トン台の安定した生産量を維持しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 5,888
-60.14% ↓
2022年 14,772
2.01% ↑
2021年 14,481
-0.78% ↓
2020年 14,594
19.9% ↑
2019年 12,172
45.25% ↑
2018年 8,380
5.28% ↑
2017年 7,960
-58.39% ↓
2016年 19,130
2.44% ↑
2015年 18,675
9.63% ↑
2014年 17,035
22.51% ↑
2013年 13,905
118.63% ↑
2012年 6,360
-53.98% ↓
2011年 13,820
20.86% ↑
2010年 11,435
-41.13% ↓
2009年 19,425
83.34% ↑
2008年 10,595
1.34% ↑
2007年 10,455
-12.51% ↓
2006年 11,950
7.66% ↑
2005年 11,100
135.17% ↑
2004年 4,720
-39.48% ↓
2003年 7,799
160.66% ↑
2002年 2,992
-0.33% ↓
2001年 3,002
-44.44% ↓
2000年 5,403
-7.64% ↓
1999年 5,850
36.05% ↑
1998年 4,300
87.36% ↑
1997年 2,295
-29.28% ↓
1996年 3,245
-32.91% ↓
1995年 4,837
-19.25% ↓
1994年 5,990
32.49% ↑
1993年 4,521
-12.16% ↓
1992年 5,147
-6.42% ↓
1991年 5,500
30.64% ↑
1990年 4,210
-14.95% ↓
1989年 4,950
11.31% ↑
1988年 4,447
18.65% ↑
1987年 3,748
44.1% ↑
1986年 2,601
26.38% ↑
1985年 2,058
-43.24% ↓
1984年 3,626
2.52% ↑
1983年 3,537
-16.18% ↓
1982年 4,220
8.21% ↑
1981年 3,900
18.25% ↑
1980年 3,298
4.04% ↑
1979年 3,170
-4.8% ↓
1978年 3,330
-25.35% ↓
1977年 4,461
159.66% ↑
1976年 1,718
-49.47% ↓
1975年 3,400
-10.53% ↓
1974年 3,800
1.33% ↑
1973年 3,750 -
1972年 3,750
2.74% ↑
1971年 3,650
-1.35% ↓
1970年 3,700
5.71% ↑
1969年 3,500 -
1968年 3,500
2.94% ↑
1967年 3,400
3.03% ↑
1966年 3,300
3.13% ↑
1965年 3,200 -
1964年 3,200
1.59% ↑
1963年 3,150
5% ↑
1962年 3,000
-3.23% ↓
1961年 3,100 -

ラオスの大豆生産量の推移を見ると、1960年代から1980年代までの間は、ほぼ横ばいか小幅な変動にとどまっていました。この時期の背景として、国内の農業技術の未発達、農地の管理不足、さらには地政学的リスクが影響していたと考えられます。特に1975年の3,400トンから1976年の1,718トンへの急減は、国内政情の混乱の影響が顕著だったと推定されます。その一方で、1977年には4,461トンという回復が見られることから、一定の農業政策や環境改善が実施された可能性があります。

1990年代に入ると、大豆生産量は増加を見せ始め、特に1999年の5,850トンへの上昇から2005年には11,100トン、2009年には19,425トンと急激な成長が記録されています。この時期、ラオス政府が農業改革やインフラ整備を進めたこと、あるいは中国やタイなど近隣諸国からの需要が高まったことで、こうした生産量の拡大が実現したと考えられます。しかし、2009年以降は一時的に減少し、2012年には6,360トンまで低下しました。この時期には気候変動や市場価格の変動、輸送や流通の問題が影響していたと推測されます。

2020年以降のデータを見ると、大豆生産量はやや安定し、14,000トン台を維持しています。この安定した生産量は、ラオスの農業政策や輸出市場の安定化、新技術の導入による収穫高の改善が寄与していると考えられます。また、パンデミックの影響が農業分野にも及んだ一方で、大豆という扱いやすい作物に注力する方針が功を奏したのかもしれません。

現在の課題として、まず市場価格の変動に強い生産体制を構築することが挙げられます。さらに、収穫量の向上を目指して効率的な灌漑システムの導入や、持続可能な肥料の利用を進める必要があります。加えて、品種改良や技術指導を通じて、収穫量のみならず品質も向上させることが急務です。これにより、隣国である中国やベトナムなどの需要に応え、さらなる輸出拡大を実現できるでしょう。

地政学的に見ると、ラオスは中国やタイ、ミャンマーなどと接する内陸国であり、こうした位置関係が農業ビジネスの展開に大きな意味を持ちます。特に中国の大豆需要は高く、ラオスがこの市場に対し安定した供給網を確立することは、経済成長にも寄与するでしょう。しかし、気候変動の影響が増大する中で、洪水や干ばつのリスクも無視できません。これを踏まえた農場管理の強化や、災害保険制度の促進も考慮すべき課題です。

結論として、ラオスの大豆生産量は長期的に増加を続けていますが、気候変動や市場競争といったリスクに対応する戦略が求められます。今後は技術革新とともに、国際的な協力を通じた農業の発展モデルを確立することで、生産基盤の強化および国益増進に向けた取り組みを進める必要があります。FAOやASEANのような国際機関との連携を通じて、輸出拡大と気候変動対応を両立させる政策を展開することが求められるでしょう。